喉がゴロゴロ鳴る原因は痰?後鼻漏や逆流性食道炎の可能性も

喉がゴロゴロ鳴る原因

喉がゴロゴロ鳴る主な原因
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痰や後鼻漏

鼻水が喉に流れる後鼻漏や、気道の分泌物である痰が絡むことでゴロゴロ音が発生します。

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逆流性食道炎

胃酸が食道に逆流し、喉を刺激することで炎症や不快感、ゴロゴロ音を引き起こします。

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嚥下機能の低下

特に高齢者では、食べ物や唾液をうまく飲み込めず、喉に残ることでゴロゴロ音が出やすくなります。

喉がゴロゴロ鳴る主な原因、痰と後鼻漏のメカニズム

 

喉の奥でゴロゴロと音が鳴る最も一般的な原因の一つが、「痰(たん)」と「後鼻漏(こうびろう)」です 。これらは、私たちの身体が異物や炎症から気道を守ろうとする防御反応の結果として生じます。

痰は、気管や気管支から分泌される粘液で、ホコリやウイルス、細菌などの異物を絡め取って体外に排出する重要な役割を担っています 。風邪やインフルエンザ、気管支炎などで気道に炎症が起こると、この痰の分泌量が増加し、粘り気も強くなります。増えすぎた痰が喉に絡みつくことで、空気の通り道が狭くなり、呼吸のたびにゴロゴロ、ゼロゼロといった音(雑音)が発生するのです 。

一方、後鼻漏は、鼻水が鼻の奥からのどに流れ落ちる症状を指します 。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)があると、鼻水の量が増えたり、粘り気が強くなったりします 。特に就寝中は、体が水平になるため鼻水がのどに流れ込みやすくなり、朝起きた時に喉に痰が絡んだような不快感やゴロゴロ音を強く感じることがあります 。

後鼻漏によって流れ込んだ鼻水は、喉に張り付いて不快感を与えるだけでなく、咳を引き起こす原因にもなります 。この状態が長く続くと、声がれや喉の痛みにつながることも少なくありません。

痰の色によって、ある程度の原因を推測することも可能です 。

  • 透明・白色の痰: アレルギー性鼻炎気管支喘息の初期、風邪のひき始めなどに見られます。
  • 黄緑色の痰: 細菌感染を伴う副鼻腔炎や気管支炎の可能性があります。白血球が細菌と戦った残骸が混じることで色がつきます。
  • 赤色・錆色の痰: 血液が混じっている可能性があり、肺がんや肺結核などの重篤な病気のサインであることも。速やかに医療機関を受診する必要があります。

このように、喉のゴロゴロ音は、単なる不快な症状ではなく、体からの重要なサインなのです。

後鼻漏の詳しい情報については、以下のクリニックのサイトが参考になります。
後鼻漏(鼻水がのどに流れる)の原因と治し方 | かわむら耳鼻咽喉科クリニック

喉のゴロゴロと逆流性食道炎や喘息との関連性

喉のゴロゴロ音は、痰や後鼻漏だけでなく、消化器系の疾患である「逆流性食道炎」や、呼吸器系の疾患である「気管支喘息」が原因で引き起こされることがあります 。

逆流性食道炎は、胃の内容物、特に強い酸性である胃酸が食道に逆流してしまう病気です 。主な症状は胸やけや呑酸(どんさん:酸っぱい液体が口まで上がってくる感じ)ですが、逆流した胃酸が喉(咽頭・喉頭)まで達すると、その刺激によって喉の粘膜が炎症を起こします 。この炎症が、喉の違和感や異物感、そしてゴロゴロという音の原因となるのです。特に、食後や横になった時に症状が悪化しやすいのが特徴です 。

あまり知られていませんが、咳が長引く「咳喘息」や、一般的な「気管支喘息」でも喉のゴロゴロ音が出現することがあります 。喘息は、アレルギーなどが原因で気道が慢性的に炎症を起こし、狭くなる病気です。発作時には、ヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴(ぜんめい)が特徴的ですが、炎症によって気道からの分泌物、つまり痰が増えるため、それが喉に絡んでゴロゴロと聞こえることがあります 。特に夜間から早朝にかけて咳やゴロゴロ音が強くなる傾向があります。

逆流性食道炎と喘息は、互いに影響を及ぼし合うことも指摘されています。逆流した胃酸が気道を刺激して喘息発作を誘発したり、喘息の咳によって腹圧が上がり、胃酸の逆流を助長したりすることがあるのです 。

以下のような症状が伴う場合は、これらの病気を疑う必要があります。

疑われる病気 特徴的な症状
逆流性食道炎 胸やけ、呑酸(酸っぱいゲップ)、食事中や食後の咳、声がれ
気管支喘息・咳喘息 夜間〜早朝の咳、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)、息苦しさ、季節の変わり目や寒暖差での悪化

これらの症状に心当たりがある場合は、自己判断で放置せず、消化器内科や呼吸器内科、耳鼻咽喉科などの専門医に相談することが重要です。

逆流性食道炎と咳の関係については、こちらのクリニックの解説が分かりやすいです。
のどが原因の咳 | 表参道内科・呼吸器内科クリニック

喉の不快感につながるストレスや乾燥、喫煙などの生活習慣

特定の病気だけでなく、日常生活に潜む様々な要因も、喉のゴロゴロ感や不快感を引き起こす原因となります 。特に、「ストレス」「乾燥」「喫煙」は、喉の健康に大きな影響を与える3大要因と言えるでしょう。

意外に思われるかもしれませんが、精神的なストレスは喉の症状に直結することがあります 。強いストレスや不安を感じると、自律神経のバランスが乱れ、喉の筋肉が異常に緊張したり、食道の動きが悪くなったりします 。その結果、喉に何かが詰まったような感じ(ヒステリー球、咽喉頭異常感症)や、ゴロゴロとした不快感が生じることがあるのです 。検査をしても特に異常が見つからないのに、喉の不快感が続く場合は、ストレスが原因かもしれません。

また、喉の粘膜は常に潤っていることで、そのバリア機能を正常に保っています。しかし、空気が乾燥していると、喉の水分が奪われて粘膜が乾き、外部からの刺激に弱くなってしまいます 。

  • 冬場の暖房: 暖房器具の使用は室内の湿度を大幅に低下させます。
  • 夏場の冷房: 冷房もまた、空気中の水分を結露させるため、室内を乾燥させます。
  • 口呼吸: 鼻呼吸には空気の加湿・加温機能がありますが、口呼吸では乾燥した冷たい空気が直接喉に当たり、粘膜を傷つけやすくなります。

このような環境や習慣は、喉のイガイガやゴロゴロ感の直接的な原因となります。

そして、喉にとって最も有害な習慣の一つが「喫煙」です 。タバコの煙には数千種類もの化学物質が含まれており、その多くが喉の粘膜にとって強い刺激物となります。長期間の喫煙は、声帯や気管に慢性的な炎症を引き起こし、痰の分泌を過剰にさせます。その結果、常に喉に痰が絡んだ状態になり、ゴロゴロとした音が続く「喫煙者声」と呼ばれる状態になることもあります 。喫煙は、喉だけでなく、肺がんやCOPD慢性閉塞性肺疾患)など、命に関わる病気の最大のリスク因子でもあります。

これらの生活習慣に心当たりがある方は、症状の改善と健康維持のために、ライフスタイルの見直しを検討することが推奨されます。

ストレスと喉の違和感の関係については、漢方薬メーカーのサイトで詳しく解説されています。
喉の違和感、詰まる感じがする『咽喉頭異常感症(ヒステリー球)』の原因と対処法 | 「漢方セラピー」 – クラシエ

【独自視点】喉のゴロゴロは嚥下機能低下のサイン?高齢者の誤嚥性肺炎リスク

これまで述べてきた原因とは少し視点を変えて、特に高齢者において喉のゴロゴロ音が続く場合、それは「嚥下(えんげ)機能の低下」という、より深刻な問題のサインである可能性を考慮する必要があります 。

嚥下機能とは、食べ物や飲み物、そして唾液などを、口から食道、胃へとスムーズに飲み込むための一連の動作を指します。加齢に伴い、喉周りの筋力が衰えたり、唾液の分泌量が減少したり、神経の働きが鈍くなったりすると、この嚥下機能が低下していきます 。

機能が低下すると、飲み込んだはずの水分や食べ物の一部、あるいは唾液がうまく食道に送られず、喉(咽頭)に残留してしまうことがあります。この残留物が、呼吸のたびに振動してゴロゴロという音を立てるのです 。食事中や食後に特にゴロゴロ音が気になる場合は、嚥下機能の低下を疑うべき重要な兆候です。

この状態で最も懸念されるのが「誤嚥(ごえん)」です。誤嚥とは、食べ物や唾液などが誤って気管に入ってしまうことです 。健康な人であれば、誤嚥しても強い咳反射(むせ)によって異物を気管から排出できます。しかし、嚥下機能が低下している高齢者では、この咳反射も弱まっていることが多く(不顕性誤嚥)、気付かないうちに唾液や食べ物に含まれる細菌が肺に入り込み、肺炎を引き起こしてしまうのです 。これが「誤嚥性肺炎」です。

誤嚥性肺炎は、高齢者にとって命に関わる非常に危険な病気です 。以下のようなサインが見られたら、単なる喉の不調と軽視せず、嚥下機能の低下を疑い、早期に対応することが極めて重要です。

  • 食事中にむせることが増えた
  • 食後にガラガラ声になる
  • 硬いものやパサパサしたものが食べにくくなった
  • 理由もなく体重が減少してきた
  • 夜間に激しい咳き込みがある

喉のゴロゴロ音が、実は命を守るための身体からの警告である可能性を、医療従事者として常に念頭に置いておく必要があります。

嚥下障害誤嚥性肺炎については、以下の医療機関のサイトが専門的で参考になります。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん) | みんなの医療ガイド | 兵庫医科大学病院

喉のゴロゴロを和らげるセルフケアと病院受診の目安

喉のゴロゴロという不快な症状は、原因に応じた適切な対処が必要です。ここでは、ご自身でできるセルフケアの方法と、医療機関を受診すべきタイミングについて解説します。

ご自身でできるセルフケア

症状が比較的軽い場合や、乾燥や一時的な炎症が原因である場合は、以下のセルフケアが効果的です 。

  • 十分な水分補給: こまめに水分を摂ることで、喉の粘膜を潤し、痰や鼻水の粘り気を和らげ、排出しやすくします 。白湯や常温の水がおすすめです。
  • 加湿: 加湿器を使用したり、濡れたタオルを部屋に干したりして、室内の湿度を50~60%に保ちましょう 。特に就寝中は乾燥しやすいため、マスクをして寝るのも効果的です 。
  • うがい: うがいは喉を直接潤し、付着したウイルスや細菌、ホコリなどを洗い流す効果があります 。緑茶や薄めた塩水でのうがいも殺菌効果が期待できます。
  • 喉への刺激を避ける: 喫煙や飲酒、香辛料の多い食事、大声を出すことなどは、喉の粘膜を刺激し炎症を悪化させるため控えましょう 。
  • のど飴やトローチ: のど飴をなめることで唾液の分泌が促され、喉が潤います 。殺菌成分や抗炎症成分が含まれた医薬品のトローチを利用するのも良いでしょう 。
  • 休息と栄養: 体の免疫力を高めるために、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけることも大切です 。

病院受診の目安

セルフケアを試みても症状が改善しない場合や、以下のような症状が見られる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

  • 症状が2週間以上続いている
  • 息苦しさや呼吸困難、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)を伴う
  • 胸やけや酸っぱいゲップが頻繁にある
  • 痰に血が混じる
  • 高いが出ている
  • 食事中にむせる、飲み込みにくいといった嚥下障害の兆候がある
  • 声がれが続く

喉のゴロゴロで受診する場合、まずは耳鼻咽喉科が第一選択となります。後鼻漏や喉頭の炎症の有無などを専門的に診てもらうことができます。胸やけなどの症状が強い場合は消化器内科、咳や息苦しさが主な症状であれば呼吸器内科の受診も検討しましょう。高齢者で嚥下障害が疑われる場合は、老年科やかかりつけ医に相談してください。

喉のゴロゴロは多くの人が経験する症状ですが、その裏には様々な原因が隠されています。放置せずに原因を突き止め、適切な対処を行うことが、健康を守る上で非常に重要です。


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