緑内障の芸能人と症状や原因、公表後の治療法と予防

緑内障を公表した芸能人とその闘病

この記事でわかること
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緑内障と闘う芸能人

病気を公表し、治療を続ける芸能人の実例を知ることができます。

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緑内障の基礎知識

初期症状から原因、日常生活に潜むリスクまで詳しく解説します。

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未来への備え

セルフチェック方法や予防、最新の治療法について学べます。

緑内障を公表している芸能人とその症状

 

緑内障は、日本の成人の20人に1人が罹患するとされる身近な病気です 。多くの芸能人や有名人も緑内障と診断されたことを公表し、病気への理解を呼びかけています。

  • 大桃美代子さん
    タレントの大桃美代子さんは、47歳の時に緑内障と診断されたことを公表しています 。当初は花粉症やPM2.5が原因の目の不調だと考えていたそうですが、検診で病気が判明しました 。医師からは「最終的には失明の可能性もある」と告げられ、大きなショックを受けたと語っています 。大桃さんはその後手術を受け、現在も治療を続けながら、自身の経験を通して早期発見の重要性を訴えています 。
  • 生島ヒロシさん
    フリーアナウンサーの生島ヒロシさんも、緑内障の手術を受けた経験を公表しています 。早期に手術を決断し、病気の進行を食い止めるための治療を続けている一人です 。生島さんのように、緑内障は自覚症状がないまま進行することが多いため、早期発見と適切な治療選択が非常に重要です 。
  • 古村比呂さん
    女優の古村比呂さんは、緑内障の定期健診を受けていることをブログで報告しています 。他のがん治療の影響も考慮しながら、目の健康状態を注意深く観察している様子がうかがえます 。
  • ロザンヌ・バーさん
    アメリカの著名なコメディアンであるロザンヌ・バーさんも、緑内障と黄斑変性症により視力を失いつつあることを公表しています 。

これらの芸能人の公表は、緑内障が決して他人事ではないことを社会に広く知らせるきっかけとなっています。テレビやメディアで活躍する彼ら彼女らが抱える病気の現実を知ることは、私たち自身の健康を見つめ直す上で大きな意味を持つでしょう。

緑内障の一般的な情報や治療法について、より専門的な解説が掲載されています。
日本眼科学会:緑内障

緑内障の初期症状と自分でできるセルフチェック方法

緑内障の最も恐ろしい特徴の一つは、初期段階では自覚症状がほとんどないことです 。病気がかなり進行するまで視野の異常に気づきにくいため、「サイレント・シーフ(静かなる泥棒)」とも呼ばれています。しかし、注意深く観察すれば、いくつかの初期サインに気づける可能性があります。

主な初期症状

  • 視界がかすむ: なんとなく視界がぼやけたり、かすんで見えたりすることがあります。これは視野の一部が欠け始めているサインかもしれません 。
  • 視野が欠ける・狭まる: 初期では視野の周辺部に見えない部分が現れます 。片方の目で補完してしまうため、日常生活では非常に気づきにくい症状です。進行すると、見えない範囲が中心部にまで広がり、視野が著しく狭くなります 。
  • その他: まれに、目の痛み、頭痛、吐き気といった急性の症状(急性緑内障発作)が現れることもあります。

自宅でできるセルフチェック

緑内障の早期発見には、定期的な眼科検診が最も重要ですが、自宅でできる簡単なセルフチェックも有効です 。異常を感じたら、すぐに専門医に相談しましょう。

  1. 片目ずつの見え方チェック
    片目を手で隠し、カレンダーやポスターなど、部屋の少し離れた場所にある対象物を見ます。中心にある一点を見つめたまま、その周りが以前と比べて見えにくくなっていないか、欠けている部分がないかを確認します 。両目で行い、左右の見え方を比べてみましょう。
  2. 新聞や本の文字を読む
    片目ずつ、新聞や本の文字が読みにくい部分がないかチェックします 。文字がかすんだり、一部が消えて見えたりしないかを確認してください。
  3. オンラインツールを活用する
    一部のウェブサイトでは、ノイズフィールドテスト(FDTチェック)を簡易的に試すことができます 。特殊な縞模様を見て、視野の異常を調べる方法で、緑内障の早期発見に役立つとされています 。

これらのセルフチェックはあくまで簡易的なものです。緑内障は40歳を過ぎると発症リスクが高まるため 、自覚症状がなくても定期的に眼科で専門的な検査を受けることが、視力を守るための最も確実な方法です 。

緑内障のセルフチェック方法について、図解付きでわかりやすく解説されています。
ロート製薬:緑内障セルフチェック

緑内障の主な原因と日常生活に潜むリスク

緑内障発症のメカニズムは完全には解明されていませんが、多くのリスク因子が関与していると考えられています 。これらの要因が複数重なることで、発症の可能性が高まります。

緑内障の主なリスク因子

緑内障になりやすいとされる主な要因は以下の通りです。

  • 高い眼圧: 眼球内の圧力(眼圧)が高い状態が続くと、視神経が圧迫され、ダメージを受けやすくなります 。これが緑内障の最も代表的なリスク因子です。
  • 加齢: 40歳以上になると発症リスクが顕著に増加します 。年齢とともに視神経が脆弱になることが一因と考えられています。
  • 遺伝(家族歴): 血縁関係のある家族に緑内障の患者がいる場合、発症リスクが高まることが知られています 。
  • 強度近視: 近視が強い人は、眼球の構造上、視神経がダメージを受けやすい傾向があります 。
  • その他の病気: 糖尿病高血圧低血圧片頭痛睡眠時無呼吸症候群などの全身疾患も、緑内障のリスクを高める可能性があります 。

日常生活に潜む意外なリスク

病気だけでなく、普段の何気ない生活習慣が緑内障のリスクを高めている可能性があります 。

  • 🚬 喫煙: 喫煙は血管を収縮させ、目への血流を悪化させます 。これにより視神経への負担が増し、眼圧が上昇しやすくなるため、緑内障の進行を早める可能性があります 。
  • 😴 睡眠不足やストレス: 睡眠不足は眼圧の上昇につながり、精神的なストレスは自律神経の乱れを引き起こして血流を悪化させ、視神経に悪影響を与える可能性があります 。
  • 👔 きついネクタイや服装: 意外に思われるかもしれませんが、首周りを強く締め付ける服装は、頭部への血流を阻害し、眼圧を上昇させる一因となり得ます。
  • 🎺 息を強くこらえる行為: 重量挙げや管楽器の演奏など、強く息をこらえる動作は、一時的に眼圧を急上昇させることがあります。

これらのリスク因子を複数持っているからといって必ず緑内障になるわけではありません。しかし、リスクを自覚し、改善できる生活習慣を見直していくことが、予防の第一歩となります。

緑内障のリスク因子について、さらに詳しい情報が掲載されています。
こにし・もりぞの眼科:緑内障になりやすい人は?リスク因子や特徴を詳しく紹介

緑内障の最新治療法と進行を遅らせるための予防策

一度損傷した視神経は元に戻すことができないため、緑内障の治療は、病気の進行を食い止め、現在の視野と視力を維持することを目的とします 。治療の基本は、眼圧を安全なレベルまで下げる「眼圧下降療法」です。

緑内障の主な治療法

治療法は主に以下の3つがあり、患者さんの症状やライフスタイルに合わせて選択されます。

  1. 薬物療法(点眼薬
    最も一般的な治療法で、毎日1〜2回点眼薬を使用し、眼圧をコントロールします 。房水(目の中を循環する液体)の産生を抑える薬や、排出を促進する薬など、様々な種類があります。血圧の薬と同様に、毎日欠かさず点眼を続けることが非常に重要です 。
  2. レーザー治療
    レーザーを眼内の組織に照射し、房水の流れを改善することで眼圧を下げます 。点眼薬の効果が不十分な場合や、副作用で点眼が続けられない場合などに行われます。外来で比較的短時間で行える治療法です。
  3. 手術療法
    薬物療法やレーザー治療で十分に眼圧が下がらない場合に行われます 。房水の新たな排出路を作成する「線維柱帯切除術」などが代表的です。

注目の最新治療「低侵襲緑内障手術(MIGS)」

近年、従来の外科手術よりも患者さんの負担が少ない「低侵襲緑内障手術(MIGS)」が注目されています。その一つが、極小のステント(iStentなど)を目の中に埋め込み、房水の排出を助ける手術です 。この手術は、白内障手術と同時に行われることが多く、より安全に眼圧を下げることが期待されています 。

今日からできる予防とセルフケア

緑内障の確実な予防法はまだ確立されていませんが、リスクを減らし、進行を緩やかにするために日常生活でできることがあります 。

  • 定期的な眼科検診: 40歳を過ぎたら、自覚症状がなくても定期的に眼科検診を受けましょう 。これが最も重要な予防策です 。
  • 適度な有酸素運動: ウォーキングなどの軽い運動は、全身の血流を改善し、眼圧を下げる効果が期待できます 。
  • バランスの取れた食事: 緑黄色野菜に含まれる抗酸化物質(ビタミンC、E、ルテインなど)は、視神経を保護する働きがあると考えられています。
  • 十分な睡眠とストレス管理: 心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを整えることが、目の健康にもつながります。
  • 禁煙: 喫煙は緑内障の明確なリスク因子です。禁煙は目のためだけでなく、全身の健康のために不可欠です 。

緑内障は生涯にわたって付き合っていく必要のある病気です。しかし、早期に発見し、適切な治療とセルフケアを続けることで、失明のリスクを大幅に減らすことが可能です。

緑内障の最新治療について、福井県済生会病院の先進的な取り組みが紹介されています。
社会福祉法人 恩賜財団 済生会:緑内障の最新治療法

【独自視点】緑内障は歴史上の人物も悩ませた?滝沢馬琴の失明

緑内障は現代の病気というイメージがあるかもしれませんが、歴史を遡ると、この病に苦しんだとされる著名な人物がいます。その一人が、江戸時代後期の戯作者、滝沢馬琴(たきざわばきん)です。

馬琴は、28年もの歳月をかけて超大作『南総里見八犬伝』を書き上げたことで知られていますが、その執筆活動は壮絶なものでした。彼は67歳の時に右目を失明し、さらに74歳で残された左目の光も失ってしまいます 。

失明の原因は急性緑内障か?

高齢での失明というと白内障を思い浮かべるかもしれませんが、馬琴が残した日記には、失明に至る過程で「目の痛みを伴った」という記述が残されています 。白内障や網膜剥離といった他の代表的な失明原因の病気では、通常、痛みは伴いません 。この「痛み」という記述から、専門家は馬琴の失明の原因が急激に眼圧が上昇する「急性緑内障」だったのではないかと推測しています 。

馬琴は当時、執筆のために目を酷使する生活を送っていました 。長年の無理がたたり、緑内障を発症したのかもしれません。彼は高価な眼鏡を作らせるなど、様々な治療を試みたようですが、効果はなかったと伝えられています 。

失明後も続いた執筆への執念

驚くべきは、両目を失明した後も馬琴の創作意欲が衰えなかったことです。彼は息子の嫁であるお路(みち)に口述筆記をさせ、『南総里見八犬伝』の執筆を続けました 。最初はうまくいかなかった口述筆記も、次第に息が合っていき、ついに76歳でこの大作を完成させたのです 。

家族が名医の診察を勧めましたが、馬琴は「これ以上余命を望むつもりはない」とそれを断ったといいます 。彼は暗闇の中で約7年間生き、82歳でその生涯を閉じました。

滝沢馬琴の逸話は、緑内障という病が古くから存在し、人々の人生に大きな影響を与えてきたことを物語っています。そして、光を失ってもなお、創作への情熱を燃やし続けた彼の生き様は、現代を生きる私たちに強い感銘を与えてくれます。


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