アルミ箔と燃えるゴミの分別ルール

アルミ箔と燃えるゴミの分別

アルミ箔と燃えるゴミの分別について
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自治体による分別方法の相違

アルミ箔の分別方法は居住する自治体によって大きく異なります。東京都葛飾区・江戸川区などは不燃ごみ、横浜市・京都市は燃えるごみ、札幌市は資源ごみと指定が異なります。

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燃えるゴミ分類の理由

アルミ箔は厚みが薄く、高温の焼却炉内(800℃以上)で燃焼するとほぼ灰になります。この特性が多くの自治体で燃えるゴミに分類される主要な理由です。

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焼却炉への潜在的なリスク

アルミニウムの融点は約660℃で、焼却炉内で一部溶け出して設備内に固着し故障につながる可能性があります。水素ガス発生による爆発事故リスクも報告されています。

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環境への影響と対応

アルミ箔が燃えるゴミで処理される場合、最終的に灰として埋め立てられます。リサイクル設備が整った自治体では資源ゴミとして回収し、再利用に回されることもあります。

アルミ箔が燃えるゴミとされる化学的・物理的根拠

 

アルミニウムは金属でありながら、薄く成形したアルミ箔は一般的に燃えるゴミとして分類されます。これは、アルミ箔の厚みがわずか0.01~0.3mm程度と極めて薄いため、公共焼却施設の標準燃焼温度である800℃以上の高温下では完全に灰状へ分解されるという物理化学的な特性に基づいています。

アルミニウムの融点は約660℃ですが、焼却炉のような酸素豊富な環境では急速に酸化が進み、酸化アルミニウム(Al₂O₃)へ変化します。一度酸化アルミニウムになると、融点は2072℃となり、焼却炉内では灰として安定した形態を保ちます。この科学的性質が、多くの自治体でアルミ箔を燃えるゴミと判断する基礎となっています。

また、厚生労働省の調査によると、国民一人当たりの家庭ごみ排出量は年間約400kgですが、このうちアルミ箔は食品包装や日用品を含めても0.6kg程度にとどまるため、焼却施設全体への負荷としても相対的に小さいと評価されています。

日本アルミニウム協会 – アルミ箔と環境について

アルミ箔を燃えるゴミとする自治体と分別指定の違い

日本全国の自治体によるアルミ箔の分別指定状況は以下の通りです。

分別分類 主要自治体例
燃えるゴミ 横浜市、京都市、福岡市、神戸市、仙台市、広島市、横須賀市など
不燃ゴミ 東京都葛飾区、江戸川区、港区、世田谷区、奈良市など
資源ゴミ 大阪市、札幌市(金属類として)

この分別の相違は、各自治体の焼却炉の処理能力や設備の老朽度、および資源回収インフラの整備状況によって決定されています。資源ゴミとして分別している自治体は、分別センターで磁選機やふるい分け装置を使用してアルミを分離し、リサイクル業者に売却することで資源循環を実現しています。

重要な注意点として、アルミ箔容器に食品残渣が付着している場合は、どの自治体であっても必ず燃えるゴミとして指定される傾向があります。これは衛生管理と焼却効率の観点から、汚れたままのアルミ箔をリサイクルラインに投入することが困難であるためです。

アルミ箔が燃焼する際の焼却炉への影響と施設トラブル

医療従事者が廃棄物処理の重要性を理解する上で、焼却炉内でアルミ箔がもたらす実際の悪影響を知ることは不可欠です。アルミニウムは燃えるゴミとして処理される場合でも、特定の条件下では焼却施設に深刻な問題を引き起こします。

設備内アルミニウムの固着問題

アルミの融点が660℃である一方、焼却炉の局所的な温度変化や冷却ゾーンでアルミニウムが再凝固する際、焼却灰や炉壁に固着することが報告されています。これが累積すると、焼却炉の通風口や灰搬出装置が詰まり、運転停止につながります。自治体の焼却施設では、定期メンテナンス時にアルミニウムの固着物を物理的に除去する作業が必要となり、保守コストが増加しています。

水素ガス発生による爆発リスク

焼却灰処理における最も危険な課題は、アルミニウムとの化学反応です。焼却後の灰をリサイクル施設で水分と接触させる過程で、アルミニウムがアルカリ環境下で反応し、水素ガスを発生させます。

2Al + 2NaOH + 2H₂O → 2NaAlO₂ + 3H₂↑

このプロセスで生成された水素ガスが焼却灰処理施設内に充満すると、爆発下限界の4.1%以上に達する可能性があります。実際に複数の自治体で灰処理施設での爆発事故が記録されており、2000年代以降、水素ガス対策が焼却場の安全基準に明記されるようになりました。

廃棄物処理における安全管理と化学反応

ダイオキシン抑制とアルミ箔の燃焼特性

一見矛盾しているように感じられるかもしれませんが、アルミ箔を燃えるゴミとして焼却することは、実はダイオキシン生成の抑制に寄与しているという側面があります。

ダイオキシン類は、塩素含有物質(主にプラスチック、特にポリ塩化ビニル樹脂)が不完全燃焼する際に発生します。焼却温度が200~400℃の低温域や、酸素供給が不足している環境では、ダイオキシン生成リスクが顕著に高まります。

アルミニウムは燃焼時に非常に高い発熱量を示し、紙や木と比較して約2倍の熱を放出します。公共焼却炉で混合廃棄物を処理する際、アルミ箔を含むことで焼却ガスの平均温度が上昇し、全体的な燃焼環境が最適化されるという効果があります。

日本の自治体の標準焼却基準は、ダイオキシン発生防止のため新炉で850℃以上、既存炉で800℃以上と定められています。この高温環境を維持する一因として、適度なアルミ箔の混入が焼却炉のエネルギーバランスに貢献しているとも考えられます。

また、医療廃棄物や医療機関から排出される関連廃棄物の場合、病院給食のアルミ容器やアルミホイル包装などが発生源となりますが、これらは医療用廃棄物処理基準に基づいて適切に分別・処理される必要があります。

アルミ箔複合材料とリサイクル分別における医療現場の役割

医療機関や調剤薬局では、医薬品のアルミ包装(PTPシート)やアルミ複合容器の廃棄が発生します。これらの複合材料のリサイクル適性は、単体のアルミ箔とは異なる特性を持ちます。

容器包装リサイクル法では、アルミ箔と紙またはプラスチックフィルムで構成された複合品について、その重量比率が最も高い素材に分類するという原則を採用しています。例えば、医薬品のアルミPTPシートは、アルミ(約40%)、プラスチック(約30%)、紙(約30%)で構成されることが多いため、重量比でアルミが最高比率に達した場合はアルミ資源として分類される可能性があります。

一般的な家庭用アルミ箔との区別方法として、以下の簡便な鑑別法があります。

  • 照光試験:蛍光灯に照らしてみて、光が透過して見えるのはアルミ蒸着品(薄い蒸着膜)で、透けない場合はアルミ箔です
  • 復元性試験:握りつぶした後に手を開いて、元の形に戻ろうとする場合はアルミ蒸着品、戻らない場合はアルミ箔です

医療機関の廃棄物管理責任者は、これらの複合材料の正確な分類が重要です。誤った分別は、リサイクル施設でのライン停止や処理効率低下を招き、最終的には焼却施設の負担増加につながるためです。

容器包装リサイクル法とアルミ複合品の分類基準

医療従事者が押さえるべきポイント

  • アルミ箔は自治体によって燃えるゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミに分別される
  • 汚れたアルミ箔は常に燃えるゴミ対象となる
  • 複合材料は素材の重量比率で分類される
  • 地域ルール確認は廃棄物管理の基本責務

医療機関の廃棄物管理体制では、各部門(給食、薬剤、医療材料管理など)から発生するアルミ箔・複合材料について、正確な分別知識を全職員に周知することが重要です。これにより、焼却施設への適切な負荷管理と環境保全に貢献できます。


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