脱毛症の種類と診断治療法

脱毛症の種類と診断治療法
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最も一般的な脱毛症の分類

脱毛症は発症原因と病態によって複数に分類されます。最も患者数が多いのはアンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症と女性型脱毛症)です

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脱毛症種類の分類方法

脱毛症は毛周期の異常による分類、瘢痕化の有無による分類、そして発症原因による分類に分けられます

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診断に必要な検査

ダーモスコピー、血液検査、頭皮生検など複数の検査を組み合わせることで正確な診断が可能です

脱毛症の種類と原因

脱毛症種類の分類基準と男性型脱毛症の特徴

 

脱毛症は単一の疾患ではなく、発症メカニズムと臨床経過に基づいて複数の種類に分類される疾患群です。医学的な分類方法としては、毛周期の乱れによる分類(成長期脱毛と休止期脱毛)、毛包の破壊の有無による分類(非瘢痕性脱毛症と瘢痕性脱毛症)、そして発症原因による分類があります。

脱毛症の中で最も患者数が多いのは男性型脱毛症(androgenetic alopecia, AGA)です。成人男性の3分の1以上に認められるとされており、思春期以降に顕在化し加齢とともに進行します。男性型脱毛症は前頭部(額の生え際)と頭頂部(つむじ周辺)での脱毛を特徴とし、ジヒドロテストステロン(DHT)という活性男性ホルモンが遺伝的感受性のある毛包に作用することで軟毛化(毛の細小化)が生じます。Ⅱ型5α-還元酵素によってテストステロンが変換されたジヒドロテストステロンが毛乳頭の男性ホルモン受容体に結合することで、毛周期における成長期が短縮され休止期が延長する「毛包のミニチュア化現象」が起こるのです。

男性型脱毛症の進行パターンは個人差があり、M字型(生え際から後退)、U字型(頭頂部から脱毛)、O字型(頭頂部で脱毛が円形に広がる)といった進行パターンが認識されています。遺伝要因が大きく関与するため、家族歴のある患者ではより早期に発症する傾向が報告されています。

脱毛症種類としての女性型脱毛症と休止期脱毛症の違い

女性型脱毛症(female pattern hair loss)は男性型脱毛症と同じアンドロゲン性脱毛症に分類されますが、脱毛パターンが異なるのが特徴です。女性では頭頂部から全体的に毛が薄くなる傾向を示し、男性のような著明な生え際後退は通常起こりません。閉経後に発症することが多いとされていましたが、最近では40代の女性にも発症が認識されるようになりました。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの疾患で男性ホルモン値が上昇した女性では、顔や体の多毛化と並行して脱毛が生じることがあります。

一方、休止期脱毛症は異なるメカニズムで発症します。この疾患では多くの毛髪が成長期から休止期へと急速に移行するため、一日当たり100本以上の毛髪が抜ける現象が起こります。急性身体的ストレス(高熱、手術、重篤な感染症)、体重の急激な減少、妊娠・出産、栄養不良、甲状腺疾患、鉄欠乏性貧血、亜鉛欠乏症などが誘因となることが知られています。ストレスが生じてから数ヶ月後に脱毛が顕著になるという潜伏期間が特徴的です。

休止期脱毛症は原因除去後に回復する可逆的な脱毛である点が男性型脱毛症と大きく異なります。ただし原因が多岐にわたり診断が困難になることがあるため、患者の既往歴、薬剤使用歴、生活習慣の詳細な聴取が重要となります。

脱毛症種類としての円形脱毛症の発症機序と重症度分類

円形脱毛症(alopecia areata)は自己免疫機序で発症する非瘢痕性脱毛症です。自分の毛包に対して免疫細胞が異常に反応してダメージを与えることで脱毛が生じます。この免疫異常には遺伝的素因が関与しており、尋常性白斑アトピー性皮膚炎関節リウマチなどの自己免疫疾患との合併頻度が高いことが報告されています。

円形脱毛症は脱毛の範囲と進行程度により複数の重症度に分類されます。単発型は脱毛斑が1個のみで、多くの場合は自然に回復する傾向があります。多発型では2個以上の脱毛斑が頭部に生じます。より重症な蛇行型(オフィアーシス型)では後頭部から側頭部にかけて帯状の脱毛が生じ、治癒が困難になることがあります。全頭型は頭部全体に脱毛が拡大する重症型で、さらに全身の毛包が影響を受ける汎発型では眉毛、まつ毛、体毛の脱落も伴います。

診断時に重要なのはダーモスコピーで観察される「感嘆符毛」( exclamation mark hair)という特徴的な所見です。毛根に近い部分が極度に細くなり、先端に向かって徐々に太くなるこの毛髪形態は、円形脱毛症の病勢が活動的であることを示唆しています。軽く引っ張ると容易に大量の毛髪が抜ける時期は活動期であり、治療反応性が異なるため重要な情報となります。

脱毛症種類の中の瘢痕性脱毛症と感染症性脱毛症

瘢痕性脱毛症(cicatricial alopecia)は毛包が完全に破壊される脱毛症で、一度毛包組織が失われると永続的な脱毛となる点が非瘢痕性脱毛症と異なります。原発性瘢痕性脱毛症は自己免疫機序で毛包が炎症・破壊される場合であり、慢性皮膚ループエリテマトーデス、毛孔性扁平苔癬、前頭部線維性脱毛症などが含まれます。続発性・二次性瘢痕性脱毛症では、牽引性脱毛症(ポニーテール、三つ編みなど物理的牽引)、熱傷、外傷、放射線照射が原因となります。

感染症による脱毛症として頭部白癬(しらくも)が重要です。これは白癬菌によって引き起こされる真菌感染症で、小児での斑状脱毛の一般的原因となっています。病理学的には毛髪と毛包に真菌が侵入して炎症を生じさせ、脱毛を引き起こします。治療されないまま放置されると永続的脱毛に進行する可能性があり、抗真菌薬による治療が必要です。その他、細菌感染による脂腺炎症、稀には深部真菌感染も脱毛の原因となることがあります。

脱毛症種類の診断における検査手技と見落としやすい合併症

脱毛症の診断には複数の検査手技を組み合わせることが重要です。ダーモスコピー(dermoscopy)またはトリコスコピー(trichoscopy)は簡便で非侵襲的な検査で、毛髪、毛細血管パターン、色素パターン、毛包周辺パターンの所見を観察して脱毛症の種類を推定できます。引っ張り検査(pull test)は穏やかに毛束を引っ張り休止期毛の本数を数える簡便な検査で、4~6本以上の休止期毛が抜ける場合は休止期脱毛の可能性を示唆します。

確定診断が必要な場合、特に瘢痕性脱毛症が疑われる場合には局所麻酔下での頭皮生検が行われます。組織学的検査により毛包の破壊程度、炎症の性質、瘢痕形成の有無が判定でき、治療方針の決定に重要です。血液検査では甲状腺機能(甲状腺ホルモン、TSH)、鉄代謝(血清鉄、フェリチン)、亜鉛値、肝機能、腎機能、および女性では男性ホルモン値(テストステロン、DHEAS)の測定が行われることがあります。

見落としやすい重要な合併症として、円形脱毛症患者では自己免疫疾患の精査が推奨されています。尋常性白斑との合併は比較的頻度が高く、甲状腺疾患やアトピー性皮膚炎の合併も報告されています。全身性の脱毛症症状がある場合は、SLE(全身性エリテマトーデス)などの全身性疾患の皮膚徴候である可能性を検討する必要があります。

MSDマニュアル:脱毛症の診断と治療アルゴリズムについて、各脱毛症の臨床特徴と検査所見が詳細に記載されている

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