サルブタモール副作用と主な症状

サルブタモールの副作用

この記事のポイント
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主な副作用

動悸・脈拍増加・手の振戦・頭痛などの交感神経刺激症状が高頻度で出現

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重大な副作用

低カリウム血症やアナフィラキシーショックなど生命に関わる症状に注意

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使用上の注意

過度な吸入は心停止のリスクがあり、指示された用量を厳守することが重要

サルブタモール吸入後の動悸と脈拍増加

サルブタモール硫酸塩はβ2受容体刺激薬として気管支拡張作用を持つ一方で、心血管系にも影響を及ぼします。吸入後に動悸や脈拍増加を感じる患者は多く、これはβ2受容体が気管支だけでなく心臓にも存在するためです。臨床試験では0.1〜5%未満の頻度で心悸亢進が報告されており、特に高齢者や心疾患を有する患者では注意が必要とされています。

参考)喘息発作などの治療で使われる「サルタノールインヘラー」の特徴…


動悸の症状は通常軽度で一時的なものですが、心臓への負担が大きい場合は吸入ステロイドなどの他の薬剤への変更を検討する必要があります。不整脈や血圧変動も0.1%未満の頻度で発生することが報告されており、これらの症状が現れた場合は直ちに医師に相談することが推奨されます。

参考)サルブタモール硫酸塩(ベネトリンⓇ、サルタノールⓇ)に副作用…


サルブタモールの心血管系への作用は用量依存性があり、過度の使用は特に危険です。発作発現時は使用が過度になりやすいため、1回の吸入数や1日の吸入回数に十分注意を払う必要があります。

参考)https://jp.gsk.com/media/2dpbo0rj/sultanol-inh-guide_202410.pdf

サルブタモール使用時の振戦と神経系症状

サルブタモール吸入後に手の震え(振戦)を経験する患者は多く、これもβ2受容体刺激による典型的な副作用です。臨床データによると、振戦は0.1〜5%未満の頻度で発現し、交感神経が優位になることで生じます。特に手指に現れやすく、日常生活に支障をきたす場合もあります。

参考)サルブタモール錠2mg「日医工」の効果・効能・副作用


頭痛も同様の頻度で報告されており、睡眠障害や落ち着きのなさといった中枢神経系の症状も見られます。これらの症状は薬剤の血中濃度が高くなる吸入直後に生じやすいため、自動車の運転や機械の操作には注意が必要です。めまいや眠気、興奮なども0.1%未満の頻度で発生することが知られています。

参考)サルブタモール硫酸塩(サルタノール) href=”https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/salbutamol-sulfate/” target=”_blank”>https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/salbutamol-sulfate/amp;#8211; 呼吸器…


研究によると、サルブタモール200〜400μgの吸入により、2分以内に15%以上のFEV1改善が得られる一方で、振戦などの副作用も同時に出現することが確認されています。ただし、喘息発作の初期治療として1時間に3回吸入しても、動悸や振戦などの副作用は認められなかったという報告もあります。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1402544/

サルブタモールによる低カリウム血症のメカニズム

サルブタモールの重大な副作用として、重篤な血清カリウム値低下が報告されています。β2刺激薬であるサルブタモールは、血液中のカリウムを細胞内に移動させる作用があるため、使用により低カリウム血症を引き起こす可能性があります。この現象はインスリンと同様のメカニズムで、細胞のカリウム取り込みを増加させることによって生じます。

参考)喘息・COPD・気管支炎治療薬「サルタノールインヘラー」の特…


MSDマニュアルの低カリウム血症に関する詳細解説

低カリウム血症の症状としては、以下のようなものがあります:

  • 手足のだるさやこわばり
  • 筋力の低下
  • 脱力感
  • 不整脈

カリウム値が低下すると筋力低下や不整脈を起こすことがあり、過度に使用した場合は血清カリウム値の低下により心停止にいたることもあります。特に利尿薬を併用している患者や、嘔吐・下痢によりカリウムを喪失している患者では、サルブタモールによる低カリウム血症のリスクが高まります。

参考)https://medicalnote.jp/diseases/%E4%BD%8E%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E8%A1%80%E7%97%87


このような症状が現れた場合は、ただちに使用を中止し医療機関を受診することが重要です。​

サルブタモール吸入によるアナフィラキシーとショック

サルブタモール硫酸塩の重大な副作用として、ショックおよびアナフィラキシーが頻度不明ながら報告されています。アナフィラキシーは薬剤に対する過剰なアレルギー反応であり、以下のような症状が特徴的です:

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/12/101_3570/_pdf

症状の種類 主な症状 出現頻度
皮膚症状 血管性浮腫・蕁麻疹・発赤・瘙痒感 約90%
呼吸器症状 呼吸困難喘鳴・喉頭浮腫 約50%
循環器症状 血圧低下・徐脈 約30%
消化器症状 嘔吐・下痢・腹痛 約30%

実際の症例報告では、敗血症人工呼吸器管理中の患者にサルタノール200μgを吸入投与したところ、施行後30分で強い両側の喘鳴と顔面・体幹の発赤が出現し、アナフィラキシーと判断されアドレナリン筋注による緊急処置が行われました。呼吸器・循環器症状が激烈に進む場合には短時間に死亡することもあるため、気道確保、静脈路確保、心電図モニタなどの緊急処置が必要です。

参考)https://www.gifu-upharm.jp/di/mguide/pchange/1g/pc2782502102.pdf


過敏症としては、0.1%未満の頻度でそう痒感や血管性浮腫、頻度不明で発疹・血圧低下・蕁麻疹が報告されています。呼吸困難や唇の腫れなどの症状が現れたら、直ちに医療機関へ相談することが推奨されます。​

サルブタモール使用時の消化器症状と他の副作用

サルブタモール硫酸塩の使用により、消化器系の副作用も報告されています。0.1〜5%未満の頻度で食欲不振、悪心・嘔吐、下痢が発現することが知られており、これらは交感神経刺激作用の影響と考えられます。また、0.1〜5%未満の頻度で口渇が生じ、0.1%未満で口内炎も報告されています。​

その他の副作用として以下のものがあります:

  • 皮膚症状:湿疹(0.1〜5%未満)、発汗(0.1%未満)、潮紅・浮腫(頻度不明)
  • 筋骨格系:筋痙攣(頻度不明)、下肢疼痛(0.1%未満)

呼吸器内科東京クリニックによるサルタノールの詳細情報
サルブタモールの副作用の多くは軽度で一時的なものですが、人によって程度が異なります。主治医の指示に従い、推奨される用量を守ることが大切です。指示された使用量および回数どおりに正しく使用してもこの薬の効果が認められない場合は、できるだけ早く医師に相談する必要があります。​
小児が使用する場合は、家族の方も正しい使用方法を理解して監督することが重要です。副作用が心配な場合や副作用が現れた場合は、医師または薬剤師に相談してください。発作が重篤でサルブタモールが不十分な場合は、ただちに医療機関を受診することが推奨されます。​