身体障害の種類と一覧について

身体障害の種類と等級

身体障害の主な5つの分類
👁️

視覚障害

視力や視野の低下による障害で、1級から6級まで認定される

👂

聴覚・平衡機能障害

聴力の低下や平衡感覚の障害で、2級から6級まで認定される

🦵

肢体不自由

上肢・下肢・体幹の機能障害で、1級から7級まで認定される

❤️

内部障害

心臓や腎臓など内臓機能の障害で、1級から4級まで認定される

💬

音声・言語・そしゃく機能障害

発声や会話、咀嚼の障害で、3級から4級まで認定される

身体障害は、身体障害者福祉法により5つの大きなカテゴリーに分類されています。各障害には1級から7級までの等級が設定されており、1級が最も重度の障害を示します。ただし、身体障害者手帳の交付対象となるのは6級までで、7級は単独では手帳交付の対象外となります。7級の障害が2つ以上ある場合のみ6級とみなされ、交付対象となる仕組みです。障害の程度によって受けられる福祉サービスや支援の内容が異なるため、正確な等級判定が重要となります。

身体障害の視覚障害における等級

視覚障害は、視力の低下や視野の狭窄によって日常生活に支障をきたす状態を指します。身体障害者手帳における視覚障害は1級から6級まで認定され、視力と視野の両方の基準で判定されます。

1級の認定基準は、両眼の視力の和が0.01以下のもの、または良い方の眼の視力が0.02以下のものです。これは実質的に失明に近い状態を意味し、日常生活のほぼすべての場面で支援が必要となります。2級は両眼の視力の和が0.02以上0.04以下、3級は0.05以上0.08以下と段階的に設定されています。

視野障害については、両眼の視野がそれぞれ10度以内かつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のものが2級に該当します。また、ゴールドマン型視野計で測定した場合の周辺視野角度の合計が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が28度以下のものも視覚障害として認定されます。

6級の最も軽度な等級では、一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下で、両眼の視力の和が0.2を超えるものが該当します。視覚障害者の日常生活では、白杖の使用や点字ブロック、音声案内などの支援が活用されています。

厚生労働省の眼の障害に関する認定基準(視力測定方法や矯正視力の扱いについて詳細な規定が記載されています)

身体障害の聴覚障害と平衡機能障害

聴覚障害は、両耳または片耳の聴力レベル(dB)によって判定され、2級から6級までの認定があります。平衡機能障害は、内耳の三半規管などの異常により姿勢の保持やバランスが困難になる状態で、3級と5級の2段階で認定されます。

聴覚障害の2級は、両耳の聴力レベルがそれぞれ100dB以上のもので、いわゆる「両耳全ろう」の状態です。この等級では補聴器を使用してもほとんど音が聞こえないため、手話や筆談などのコミュニケーション手段が必要となります。3級は両耳の聴力レベルがそれぞれ90dB以上で、耳に口を近づけて大声で話してもらわないと理解できない状態です。

4級には2つの基準があり、両耳の聴力レベルがそれぞれ80dB以上のものか、両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下のものが該当します。語音明瞭度とは、言葉の聞き取りやすさを示す指標で、50%以下の場合は会話の半分以上が理解できない状態を意味します。

6級は両耳の聴力レベルがそれぞれ70dB以上、または一側耳の聴力レベルが90dB以上で他側耳の聴力レベルが50dB以上のものです。この等級では補聴器の使用により一定のコミュニケーションが可能となる場合が多くあります。

平衡機能障害は、めまいやふらつきが継続的に発生し、歩行や立位の保持が困難な状態です。3級は「平衡機能の極めて著しい障害」、5級は「平衡機能の著しい障害」と定義されています。日常生活では転倒のリスクが高いため、手すりや杖などの補助具が必要となります。

身体障害の肢体不自由における分類

肢体不自由は、上肢(肩から手先まで)、下肢(股関節から足先まで)、体幹(胴体)の機能障害を指し、1級から7級まで最も細かく等級が設定されています。この障害は、先天性の疾患、事故による外傷、脳血管障害の後遺症など、さまざまな原因で発生します。

上肢障害の1級は、両上肢の機能をほとんど失っているもの、または両上肢を手関節以上で欠くものが該当します。これは両手がまったく使えない、もしくは両手首から先がない状態を意味し、食事や着替えなど日常生活のすべての動作に介助が必要となります。2級では、一上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの、または一上肢の機能をほとんど失っているものが含まれます。

下肢障害の特徴として、脚の長さの差も等級判定の基準となる点が挙げられます。4級では一下肢が健側に比べて10センチメートル以上または健側の長さの10分の1以上短いものが該当します。この脚長差により歩行時のバランスが崩れ、腰痛や膝の痛みなどの二次的な障害が発生することもあります。

体幹機能障害は、脊椎や骨盤の損傷により座位や立位の保持が困難になる状態です。1級は「座っていることができないもの」、2級は「座位または立位の保持が困難なもの」、3級は「歩行が困難なもの」と定義されています。車椅子の使用や住宅のバリアフリー化など、生活環境の整備が重要となる障害です。

関節の可動域制限や筋力低下の程度も等級判定の重要な要素で、肩関節、肘関節、手関節、股関節、膝関節、足関節のいずれかの機能が「ほとんど失われている」「著しい障害がある」「軽度の障害がある」という3段階で評価されます。

身体障害の内部障害の詳細

内部障害は、外見からは分かりにくい障害で、心臓、腎臓、呼吸器、膀胱・直腸、小腸、肝臓、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能の7つの機能障害が含まれます。認定等級は1級から4級までで、他の障害と比べて段階が少ない特徴があります。

心臓機能障害は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。重度の心不全患者や、ペースメーカーを埋め込んでいる方が該当します。実は、ペースメーカー等を装着している方は、2014年の制度改正により、装着後の実際の活動能力に応じて1級、3級、4級に区分されるようになりました。以前は一律1級とされていましたが、より実態に即した認定基準に変更されています。

腎臓機能障害で最も多いのは、人工透析を受けている方です。透析には血液透析と腹膜透析の2種類があり、血液透析は週に2〜3回、1回4時間程度病院で治療を受けます。腹膜透析は自宅で1日4回程度、透析液の交換を行う方法で、通院の負担が少ないという利点があります。透析治療を受けている方の多くは1級に認定され、身体障害者手帳の交付により医療費の助成などの支援を受けることができます。

呼吸器機能障害は、肺の機能低下により酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなる状態です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺線維症などが原因となり、重度の場合は在宅酸素療法(HOT)として常時酸素ボンベを携帯する必要があります。外出時には携帯用の小型酸素ボンベを使用しますが、その重さや酸素の残量を気にしながらの生活となります。

肝臓機能障害は、肝硬変などにより肝臓の機能が著しく低下した状態で、黄疸、腹水、意識障害などの症状が現れます。膀胱・直腸機能障害は、人工膀胱や人工肛門(ストーマ)を造設している方が対象です。小腸機能障害は、小腸の大部分を切除した場合などに認定され、栄養吸収が困難となるため経管栄養や中心静脈栄養が必要となります。

HIV による免疫機能障害は、ヒト免疫不全ウイルスの感染により免疫システムが破壊され、日和見感染症を起こしやすくなる状態です。現在は治療法の進歩により、適切な服薬管理を行えば通常の生活を送れるケースも増えています。

東京都福祉保健局の内部障害に関する詳細解説(各内部障害の特性と必要な配慮について掲載)

身体障害における音声・言語・そしゃく機能障害の理解

音声機能、言語機能、そしゃく機能の障害は、コミュニケーションや食事に関わる重要な機能の障害です。認定等級は3級と4級のみで、他の障害と比べて段階が少ない特徴があります。

音声機能障害とは、主に喉頭レベルでの声と発声に関わる能力の障害です。喉頭がんなどで喉頭を摘出した場合や、声帯麻痺により音声を発することができない、または声が著しく不明瞭な状態が該当します。喉頭摘出後の方は、食道発声法や電気式人工喉頭などの代替発声手段を用いてコミュニケーションを図ります。

言語機能障害は、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)による失語症や構音障害が主な原因となります。失語症は言葉の理解や表出が困難になる障害で、「話す」「聞く」「読む」「書く」のすべてに影響が及ぶ場合があります。構音障害は、舌や口唇などの発声器官の麻痺により、言葉が不明瞭になる状態です。

そしゃく機能障害は、歯の欠損や顎の骨・関節の異常により、食物を噛むことが困難な状態を指します。重度の場合は流動食や刻み食など、食事形態の調整が必要となります。そしゃく機能の低下は栄養摂取にも影響するため、体重減少や栄養不良を防ぐための食事指導が重要です。

この障害の特徴として、聴覚障害を併せ持つ「ろうあ」の方は、聴覚障害と言語障害の重複障害として1級に認定される場合があります。これは、聞こえないことと話せないことの両方により、コミュニケーションが極めて困難になるためです。

身体障害者手帳の申請と福祉サービスの活用

身体障害者手帳は、障害のある方が様々な福祉サービスや支援を受けるために必要な公的証明書です。手帳の取得により、医療費の助成、公共交通機関の運賃割引、税金の減免、障害者雇用枠での就労など、多くのメリットがあります。

申請の条件として、対象疾患に関する障害が一定以上(6級以上)あり、かつその障害が永続すると認められることが必要です。「永続する」とは、治療により回復する見込みがない状態を意味し、一時的な障害は認定の対象外となります。ただし、一時的な人工肛門造設でも、6か月以上継続する場合は認定される可能性があります。

申請に必要な書類は、身体障害者診断書・意見書(発行から1年以内のもの)、本人の写真(縦4cm×横3cm)、交付申請書、マイナンバーカード、本人確認書類です。診断書は身体障害者福祉法第15条に基づく指定医のみが作成でき、自治体のウェブサイトで指定医の一覧を確認できます。

申請から交付までは通常1か月程度かかりますが、専門的な審査が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。審査の結果、診断書の意見等級と異なる等級になる場合や、障害に該当しない(非該当)となる場合もあります。

利用できる福祉サービスは、障害者総合支援法に基づき提供されます。介護給付では、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、短期入所などのサービスがあります。訓練等給付では、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助(グループホーム)などが利用可能です。

障害者雇用においては、身体障害者手帳の所有者は実雇用率の算定対象となり、企業の法定雇用率達成に貢献します。重度身体障害者(1級・2級)は、雇用率算定で2名分としてカウントされるため、雇用の機会が広がる可能性があります。短時間労働者の場合も、一定の条件を満たせば算定対象となります。

日常生活では、バリアフリー化された住宅への改修費用の助成、補装具(車椅子、義肢、補聴器など)の購入費用の助成、自動車運転免許取得費用の助成なども利用できます。地域によって支援内容が異なるため、お住まいの自治体の障害福祉担当窓口で詳しい情報を確認することをお勧めします。

厚生労働省の障害福祉サービス一覧(各サービスの対象者や内容について詳細に記載されています)