声帯結節手術と費用の内訳

声帯結節手術の費用

この記事でわかること
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手術費用の相場

入院手術と日帰り手術の費用の違い、保険適用時の自己負担額について

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高額療養費制度

医療費が高額になる場合の負担軽減制度の活用方法

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治療の選択肢

手術以外の保存療法や再発予防のための音声治療について

声帯結節の入院手術費用

声帯結節の手術は保険適用となっており、全身麻酔下で1泊2日の入院により実施される場合、健康保険3割負担が適用されると約70,000円~80,000円の費用がかかります。この費用には手術費用に加えて、別途麻酔費用や諸検査費用が含まれています。声帯ポリープや声帯結節の切除術の手術費用自体は、3割負担で56,250円となっています。

参考)手術費用|メトロポリタンENTサージクリニック東京


手術はラリンゴマイクロサージェリー(喉頭顕微鏡下手術)という方法で行われ、全身麻酔をかけた上で、直達喉頭鏡を用いて顕微鏡で喉頭を観察しながら病変を切除します。この手術方法により、声帯病変の細部までしっかり確認しながら正確な切除が可能になります。手術後は約5日間の絶対沈黙が必要となり、さらに2~3週間は大声やカラオケ、職業的な声の使用を控える必要があります。

参考)声帯ポリープ・声帯結節の症状と治療について|岩野耳鼻咽喉科


入院期間は施設によって異なりますが、一般的には1泊2日から数日間の入院が必要です。医療費が高額になる場合には、高額療養費制度の利用が可能で、被保険者の所得に応じて自己負担額が軽減されます。ただし、多くのケースでは声帯手術の自己負担額が高額療養費制度の上限を超えることは少ないため、7~10万円程度が実際の負担となります。

参考)「声帯ポリープの検査費用」はどのくらい?治療費用も含めて徹底…

声帯結節の日帰り手術費用

近年では、局所麻酔による日帰り声帯ポリープ・結節手術も選択肢として広がっています。日帰り手術では表面麻酔を行い、ファイバースコープを挿入してポリープや結節を摘出します。全身麻酔とは異なり、意識のある状態で座ったまま手術を行うことができ、発声を行いながら声帯の状態を確認できるという利点があります。

参考)日帰り声帯ポリープ手術|六本木・おおたかの森モーニングクリニ…


日帰り手術の費用は、3割負担で片側が約14,000円~、両側が約28,000円~となっており、入院手術と比較すると患者さんの経済的及び時間的負担が少ない治療法です。局所麻酔での手術費用は片側約15,000円、両側だと約30,000円となります。ただし、声帯結節の手術は非常にデリケートであるため、結節の形状によっては表面麻酔での日帰り手術が適さない場合もあります。

参考)http://www.good-voice.co.jp/sub6-clinic-op.htm


日帰り手術は入院の必要がなく短時間で行うことができるため、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えられます。しかし、声帯結節の状態や大きさ、患者さんの全身状態によっては全身麻酔下での入院手術が推奨される場合もあるため、主治医とよく相談して治療方法を選択することが重要です。

参考)声帯ポリープ・声帯結節の治療・手術

声帯結節の保険適用と高額療養費制度

声帯結節の手術は健康保険の適用対象であり、通常は医療費の3割が自己負担となります。しかし、医療費が高額になる場合には、高額療養費制度を利用することでさらに負担を抑えることが可能です。この制度は被保険者の所得に応じて、通院・入院の支払額が一定額に軽減される仕組みです。

参考)限度額適用認定・高額療養費制度 耳鼻科の治療費・手術費用


高額療養費制度を利用するには、事前に加入している健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険などに申請して「限度額適用認定証」を取得しておくことが推奨されます。手術日までにこの手続きを行い、手術当日までに認定証を提出することで、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられます。事後申請も可能ですが、一旦全額を支払う必要があるため、事前申請がスムーズです。

参考)https://hiwatashi-jibika.com/surgery/%E5%BD%93%E9%99%A2%E3%81%AE%E6%97%A5%E5%B8%B0%E3%82%8A%E6%89%8B%E8%A1%93%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6


また、民間の医療保険に加入している場合、声帯手術を受けると契約内容によっては給付金が受け取れることがあります。手術を受ける際には契約している保険会社に事前に連絡して確認することが大切です。さらに、1月から12月の1年間で本人またはご家族が支払った医療費が10万円以上になると、確定申告を行うことで還付金を受け取ることができる医療費控除の対象にもなります。そのため、声帯手術の領収書はしっかり保管しておきましょう。

参考)声帯ポリープ・声帯結節の手術ついて|岩野耳鼻咽喉科

声帯結節の保存療法と治療選択肢

声帯結節の治療では、必ずしも手術が必要というわけではなく、保存療法という選択肢もあります。保存療法では、声を出さない沈黙によって声帯への無用の刺激を避け、吸入などで炎症を抑えます。薬物療法では、消炎酵素剤、消炎鎮痛剤、ステロイドなど、症状に合わせた薬剤を使って炎症を鎮めます。漢方薬を使うことで改善する場合もあります。​
保存療法は効果が現れるまで時間がかかるケースが多く、数ヶ月続けてもほとんど効果が現れない場合もあります。そのため、声のかすれといった症状を早く改善したい場合や、声を出すことが不可欠な仕事の方には手術が推奨されます。また、声帯ポリープや声帯結節は良性疾患ですが、ごくまれに切除した部分が病理検査でがんと診断されることがあるため、喉頭がんのハイリスクグループに含まれる場合には切除が第一選択として推奨されます。​
治療方法を選択する際には、患者さんの職業や生活スタイル、症状の程度を考慮することが重要です。声を使う職業の方で声の安静が難しい場合には、声帯注射による当面の声の改善という選択肢もあります。声帯ポリープや結節は手術で切除しても、声の酷使という原因が残っていれば再発しやすいため、どんな治療を受けるにしても喉に負担をかけない生活を心がけることが基本になります。

参考)言語聴覚士による音声治療・声の症状 声とめまいのクリニック …

声帯結節手術後の再発予防と音声治療

声帯結節は手術で切除しても、声の使い方が改善されなければ再発しやすい疾患です。そのため、術後の再発防止には音声治療(音声リハビリテーション)が欠かせません。音声治療では、呼吸法や呼気と声帯を閉じるタイミングを治す発声法の改善をしっかり受けることが重要です。言語聴覚士が声帯結節の患者さんの発声法を指導し、のどに負担をかけない発声法を習得することで再発を予防します。

参考)声帯結節


再発予防のためには、日常生活での工夫も必要です。加湿器やマスクの使用、うがい、十分な水分摂取を行い、声を使い過ぎないようにすることが大切です。特に、喉の乾燥は声帯にとって大敵であり、一日に約1.5リットルから2リットルの水を意識的に摂取することが推奨されます。また、冷たい飲み物やアイスクリームは避け、温かい飲み物を選ぶことで喉を労わることができます。

参考)地声を守れ!声帯結節を防ぐ実践ボイトレ法 #地声 声帯結節 …


声帯結節の主な成因は声の濫用にあるため、「酷使濫用の除去」すなわち「安静」の増加と、声の物理的衝撃を増加させるような発声様式である「誤用の除去」が治療の中心となります。手術を受けた場合でも、切除直後の発声状態の観察と、言語聴覚士と行う発声調整が非常に重要です。喫煙は声帯ポリープや結節の発生の主な原因といわれており、術後の禁煙も重要な再発予防策となります。声を使う職業の方は特に、正しい発声方法を専門家から学び、日常的に実践することで長期的に声の健康を守ることができます。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/60/4/60_295/_pdf


岩野耳鼻咽喉科での声帯ポリープ・声帯結節の手術について – 手術方法や費用の詳細が掲載されています
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声帯結節の音声治療(日本音声言語医学会誌) – 声帯結節の音声治療の専門的な論文で、治療戦略について解説されています