入眠障害と中途覚醒の両方の原因と対策

入眠障害と中途覚醒の両方

入眠障害と中途覚醒の両方に悩む方へ
😴

入眠障害

布団に入ってから30分〜1時間以上寝付けない状態

🌙

中途覚醒

夜中に何度も目が覚めて再入眠が困難な状態

⚠️

両方の症状が重複

2つ以上の不眠症状が重なって現れることが多い

入眠障害と中途覚醒の症状の違い

不眠症には主に4つのタイプがあり、入眠障害と中途覚醒はその代表的な症状です。入眠障害は床に入ってから30分以上経過しても眠れない状態を指し、睡眠障害の訴えで最も多く、不安や緊張が強い時に起こりやすいとされています。一方、中途覚醒は一度寝入ったものの夜間に何度も目が覚めてしまう症状で、日本人の成人の不眠で最も多く、中高年・高齢者に多く見られます。

参考)睡眠障害4つのタイプ


これら4つの症状は、どれか1つではなく2つ以上重複して現れる場合が多く、特に高齢者の場合は複数の症状を訴える人が多く見られます。夜中に目が覚めてトイレに立った後、再び眠るまで30分以上かかるというのは、「再入眠困難」のケースといえます。タイプによって対処方法や治療方法が異なるため、まずは自分の不眠の症状がどのタイプなのかを知っておくことが重要です。

参考)病名一覧


睡眠障害の世界的な有病率は成人人口の約10%に達し、女性は男性よりも多く罹患し、うつ病不安障害などの精神疾患のリスク因子となっています。不眠症状のある方のうち、慢性不眠症は成人の約10%に見られ、その原因はストレス、精神疾患、神経疾患、アルコール、薬剤の副作用など多岐にわたります。

参考)https://www.mdpi.com/2514-183X/7/4/30/pdf?version=1695892337

入眠障害と中途覚醒の両方が起こる原因

入眠障害と中途覚醒の両方が起こる原因は一つではなく、ストレス、生活習慣、そして様々な身体的な問題が複雑に関係しています。ストレスや不安は、中途覚醒の大きな要因であり、日常生活での心配事や緊張状態が続くと、寝つきだけでなく眠りの質にも悪影響が出て、夜中に目覚めやすくなります。ストレスが持続するとコルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌され、深い眠りを妨げます。​
ストレスや不安、心配事は、脳を覚醒させる神経伝達物質ノルアドレナリンやコルチゾールなど)の分泌を増やします。これにより、脳が過剰に活性化され、リラックスして深い眠りに入ることが難しくなります。日中のストレス、例えば仕事でのプレッシャー、人間関係の悩み、経済的な不安などの日常的なストレスは自律神経のバランスを崩し、夜間の心拍数呼吸数を上げてしまうことがあります。

参考)なぜ2時間おきに目が覚める?中途覚醒の原因と対策 href=”https://www.shinagawa-mental.com/othercolumn/4237/” target=”_blank”>https://www.shinagawa-mental.com/othercolumn/4237/amp;#821…


うつ病や不安障害などの精神疾患も不眠の原因となり、これらの精神疾患は脳内の神経伝達物質の異常を伴うことが多く、不眠、特に中途覚醒や早朝覚醒といった症状を伴うことが非常に多いです。睡眠は痛み、不安、夜間頻尿、幸福感、就寝時刻、食事摂取など様々な要因に影響されます。アルコール摂取、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、加齢による影響なども中途覚醒の原因となります。

参考)(睡眠障害)中途覚醒とは?

入眠障害と中途覚醒の両方の治療法

睡眠障害による入眠障害と中途覚醒が日常生活に支障をきたしている場合、生活習慣の改善だけでは不十分な場合があり、主な治療法として薬物療法と認知行動療法があります。薬物療法は、睡眠障害に対して即効性が期待できる治療法で、脳内の神経伝達物質を調整することで睡眠を促進します。主な薬の種類としては、睡眠導入薬(短時間で作用し、入眠しやすくする)、抗不安薬(不安やストレスによる不眠に対して用いられ、心を落ち着けて自然な眠りに誘導する)、抗うつ薬(うつ病や不安障害に伴う睡眠障害に対して効果がある)があります。​
認知行動療法は、うつ病や不安障害で用いられることの多い治療法ですが、睡眠障害にも効果があり、睡眠障害の原因となる行動や思考パターンを修正し、睡眠の質を高めていきます。認知行動療法は、薬物療法と同等、あるいはそれ以上の効果が長期間持続するとされており、不眠症の根本的な改善につながる治療法です。不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)の実際として、睡眠薬の減量時、睡眠薬の効果が不十分または無効の場合に選択肢として考えられますし、場合によっては最初の治療でも薬物療法と並んで選択されます。

参考)睡眠障害「中途覚醒」|夜中に目が覚める原因・対策・治療法 href=”https://www.shinagawa-mental.com/othercolumn/34361/” target=”_blank”>https://www.shinagawa-mental.com/othercolumn/34361/amp;…


睡眠障害早期の治療において、日本では睡眠導入剤が処方されることが多いですが、依存性の問題などから世界の趨勢は認知行動療法(CBT-I)です。現代日本では5人に1人が生涯を通じて何らかの精神疾患になると推計され、それに先行する睡眠障害にも3人に1人が悩まされています。専門の医療機関や専門家の指導のもと、認知行動療法を試してみることが推奨されます。

参考)【原因と対処法】睡眠障害による中途覚醒とは?睡眠の質を改善す…

入眠障害と中途覚醒に対するベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、その効果時間によって主に超短時間型、短時間型、中間型、長時間型の4つのタイプに分類されます。この分類は、薬が体内に吸収されてから効果が現れるまでの時間(効果発現時間)と、効果が持続する時間によって分けられます。入眠困難には超短時間型や短時間型が適しており、代表的な薬剤としてトリアゾラムハルシオン)、ブロチゾラムレンドルミン)、リルマザホン(リスミー)があります。

参考)ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果と副作用|種類や依存性について…


中途覚醒や早朝覚醒には中間型や長時間型が適しており、代表的な薬剤としてエスタゾラム(ユーロジン)、ニトラゼパムベンザリン、ネルボン)、フルラゼパム(ドラール)があります。マイスリー、ハルシオンは睡眠導入に用いられ、レンドルミンは睡眠導入と中途覚醒の両方に用いられます。睡眠薬として主に使われているのは、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系になり、これらの睡眠薬は脳の機能を低下させることで催眠作用を発揮します。

参考)睡眠薬レンドルミン、マイスリー、ハルシオン3種の特徴と持続時…


睡眠薬の作用時間の違いを見る一番のポイントは「半減期」であり、半減期とは薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。医師は患者さんの不眠のタイプに合わせて適切な睡眠薬を選択し、薬物療法は主治医の指示に基づき、用量・用法を守ることが重要です。近年では、依存性や副作用が少ないタイプの睡眠薬も開発されています。

参考)ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果・作用時間の比較 – 田町三田…

入眠障害と中途覚醒の対策と生活習慣改善

入眠障害と中途覚醒の改善が期待できる対策として、まず就寝前のスマートフォンの使用を控えることが推奨されます。スマートフォンやタブレットから発せられるブルーライトは、睡眠を促すメラトニンの分泌を抑制し、覚醒状態を維持させてしまうため、就寝1時間前からは使用を控えることが望ましいです。睡眠のリズムを一定にすることを心がけることも重要で、毎日同じ時間に就寝・起床することで、体内時計が整い、自然な入眠と質の高い睡眠が得られやすくなります。​
寝室から「考え事」を排除することも効果的で、布団に入ってから今日の出来事を反芻したり、明日の予定や心配事を延々と考えてしまったりすると、脳が休まらず覚醒レベルが上がってしまいます。「刺激制御法」という認知行動療法の一つの方法では、眠る時だけ寝室を使うようにする、寝室で睡眠以外の行動はしない、眠れなかったときは寝室から離れる、といった対応が推奨されます。

参考)寝室から「考え事」を排除する 〜睡眠衛生指導の事例4〜 |S…


生活習慣の改善としては、カフェインやアルコールの摂取を控えることが重要です。カフェインは覚醒作用があるため、午後以降の摂取は避けるべきです。アルコールは一時的に眠気を誘いますが、睡眠の質を低下させ、中途覚醒の原因となります。適度な運動も睡眠の質を改善する効果がありますが、就寝直前の激しい運動は逆効果となるため、日中や夕方に行うことが推奨されます。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10963640/

入眠障害と中途覚醒のセルフチェックと医療機関受診

入眠障害と中途覚醒のセルフチェックとして、以下のような項目があります。寝つくのに時間がかかる(ベッドに入ってから眠るまで30分〜1時間以上かかる)、夜、眠りに入ってから途中で目が覚めることがある、自分が起きたい時間よりも早く目が覚めてしまう、夜間帯の睡眠時間が足りていない気がする、眠りが浅い感じがしてぐっすり眠れていない、といった症状が該当します。

参考)不眠症の自己診断


日中の症状としては、気分について問題がある(憂うつである、やる気が出ない、イライラする、眠れないことへの不安が生じている)、日常生活の活動に支障が出ている(疲労感がある、仕事のミスが多い、作業に集中できない、学校の成績が落ちる、家事ができない)、日中の眠気がある、といった項目をチェックします。これらの症状が複数当てはまり、日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関の受診がおすすめです。

参考)不眠症のセルフチェック


横浜よりそいメンタルクリニックでは、中途覚醒をはじめとした睡眠障害について相談でき、経験豊富な専門医が在籍しており、環境面や設備面も充実しているので、専門的な治療を受けられます。つらい症状が続いている場合は専門医に相談しましょう。睡眠障害の管理には、睡眠衛生教育、行動戦略、心理療法(特に認知行動療法)、器具を使った治療(陽圧呼吸療法、舌下神経刺激など)、薬物療法が含まれます。

参考)https://www.mdpi.com/2514-183X/7/4/42/pdf?version=1701267417


不眠症の自己診断ツールを利用することで、自分の不眠のタイプを知ることができ、適切な対処法や治療法を選択する手がかりとなります。睡眠障害には主に4つのタイプがあり、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害に分けられ、それぞれのタイプによって対処方法や治療方法が異なります。まずは自分の症状を正しく把握し、必要に応じて専門家に相談することが、睡眠の質を改善するための第一歩となります。​
睡眠障害・睡眠問題に対する支援マニュアル(国立精神・神経医療研究センター)

※睡眠スケジュール法などの具体的な治療法について詳しく解説されています。

不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

※不眠症の原因、症状、治療法について信頼性の高い情報が掲載されています。