涙点プラグの費用と保険適用
涙点プラグ挿入の費用と負担額の詳細
涙点プラグによるドライアイ治療は健康保険の適用対象となっており、患者の自己負担割合に応じて費用が変わります。具体的には、1割負担の方で片眼あたり約1,200円、3割負担の方で片眼あたり約3,600円程度が一般的な費用です。両眼に挿入する場合、3割負担の方で約7,000円から8,000円程度になります。
参考)https://www.nishimura-eyeclinic.com/dry-eye/
治療費用は、使用するプラグの種類(シリコン製またはコラーゲン製)によって若干異なる場合がありますが、基本的には大きな価格差はありません。初診の場合は、診察料や検査料が別途必要となるため、初診時の総費用は片眼で約5,190円程度となることがあります。
にしむら眼科のドライアイ治療の詳細情報(涙点プラグの費用詳細が掲載されています)
医療機関によって多少費用が異なる場合があるため、治療を受ける前に事前に確認することをおすすめします。なお、自費診療のIPL治療とは異なり、涙点プラグは保険適用となるため、経済的な負担が軽減されます。
参考)涙点プラグでドライアイが改善できる?治療方法や注意点を解説!…
涙点プラグの種類とそれぞれの費用
涙点プラグには主にシリコン製とコラーゲン製の2つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。シリコン製プラグには「スーパーフレックスプラグ」「パンクタルプラグF」などの製品があり、透明のシリコン素材でできています。費用は3割負担で片眼約3,600円程度となります。
シリコン製プラグのメリットは、涙をせき止める力が90%と高く、継続期間が平均7ヶ月(1日から2年半まで個人差あり)と長期間使用できる点です。デメリットとしては、固体の異物を入れるため白目にあたって充血やゴロゴロ感が出ることがあり、術後数日で抜けてしまうケースもあります。
参考)涙点プラグの種類
コラーゲン製プラグ(キープティア)は液体コラーゲンを涙点に注入するタイプで、両眼施術で1割負担約2,300円、3割負担約7,000円程度です。体温で固まるため異物感が少なく、どの涙点サイズにも対応できますが、2~3ヶ月程度で自然に吸収されるため、定期的な再注入が必要になります。
参考)ドライアイ治療
プラグの種類 | 費用(3割負担・片眼) | 継続期間 | 特徴 |
---|---|---|---|
シリコン製プラグ | 約3,600円 | 平均7ヶ月 | 涙をせき止める力が強い、取り外し可能 |
コラーゲン製プラグ(キープティア) | 約3,500円(両眼で約7,000円) | 2~3ヶ月 | 異物感が少ない、自然に吸収される |
涙点プラグ治療の適応と対象患者
涙点プラグ治療は、点眼治療で十分な効果が得られない涙液減少型ドライアイの患者に適応されます。具体的には、コンタクトレンズを使用していて点眼での治療効果が不十分な方が主な対象となります。また、シェーグレン症候群などの重症ドライアイ患者にも有効な治療法とされています。
参考)ドライアイ 涙点プラグ挿入|品川区南大井の大森海岸やまもと眼…
治療の適応判断には、涙の分泌量を測るシルマー検査や、涙の質を評価するBUT検査などが行われます。涙の分泌量が少ない、または涙の質が低下していて点眼だけでは改善が難しいと診断された場合に、涙点プラグ治療が推奨されます。
ドライアイが比較的軽症でも症状が非常に強い場合には適応となることがあり、また目の手術後に生じるドライアイの軽減にも用いられます。ただし、涙点プラグを挿入すると涙点が塞がれることで眼に汚れが溜まりやすくなるため、コンタクトレンズ装用者はアレルギーを起こしやすくなるという注意点があります。
参考)https://www.ganka.gr.jp/wp-content/uploads/2009/06/news05-02.pdf
涙点プラグの挿入手順と治療時間
涙点プラグの挿入は外来で簡単に行える処置で、所要時間は約5分程度です。治療の流れとしては、まず目薬で局所麻酔を行い、専用の測定器で涙点の大きさを確認します。その後、患者の涙点サイズに合ったプラグを選択し挿入します。
シリコン製プラグの場合、測定から挿入まで1分ほどで完了し、その間の痛みは一切ありません。プラグの突出がないことを確認できれば、治療は終了です。コラーゲン製プラグ(キープティア)の場合は、細い管を使って涙点に液体コラーゲンを注入した後、15分ほど目を閉じて体温で固まるのを待ちます。
治療当日から洗顔、洗髪、入浴が普通通りに可能です。シリコン製プラグの場合は、目頭を不必要に触れないように注意する必要があります。処置後は、プラグや涙点の状態、涙の状態を確認するため、定期検査を受ける必要があります。
参考)ドライアイ
涙点プラグの効果持続期間と脱落リスク
シリコン製プラグの効果持続期間は個人差が大きく、1日から2年半まで幅がありますが、平均的には約7ヶ月程度とされています。研究によると、パンクタルプラグPPでは約1年で50%が脱落し、脱落までの平均期間は287日でした。一方、イーグルプラグEPでは約3ヶ月で50%が脱落し、平均期間は59日と有意に短いことが報告されています。
参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/107_322.pdf
コラーゲン製プラグは、涙で少しずつ溶かされて3~4ヶ月程度で自然に消失します。したがって、効果を維持するためには定期的な再注入が必要です。季節性のドライアイの場合は、冬だけなど必要な時期に1回だけ注入することも可能です。
脱落のリスク要因としては、目を強く擦ることや涙点のサイズとプラグのサイズが合っていないことが挙げられます。脱落した場合でも、再度挿入することができます。プラグが何年も問題なく使用できるケースもある一方で、術後数日で抜けてしまうケースもあるため、定期的な診察で状態を確認することが重要です。
涙点プラグ治療の副作用とデメリット
涙点プラグ治療には、いくつかの副作用やデメリットが報告されています。シリコン製プラグの主なデメリットは、固体の異物を入れるため白目にあたり充血やゴロゴロとした異物感が生じることがある点です。また、体がアレルギー反応を起こしたり、感染や肉芽を形成(涙点の内側の組織が盛り上がってくる)する場合があります。
参考)プラグとドライアイ
涙点プラグを挿入すると涙点が塞がれることから、眼に汚れが溜まりやすくなります。そのため、コンタクトレンズを装用するとアレルギーなどを起こしやすくなり、専用の目薬で小まめに眼を洗うことが大切になります。涙の排出率が低下することで、流涙(落涙しやすくなる)や目やにが増えるといった症状が出る場合もあります。
コラーゲン製プラグの場合、効果期間が2~3ヶ月程度と短いため、効果を維持するには定期的な再注入が必要となり、通院の手間がかかります。また、コラーゲンプラグでは右左各1涙点ずつ計2涙点では効果がほとんど期待できないため、当初から計4涙点の施術を推奨されることが多くなります。
参考)235.涙点プラグの種類
飯田橋眼科のドライアイ治療ガイド(涙点プラグの治療方法と費用詳細)
プラグの迷入(涙管内に入り込んでしまう)のリスクもあり、定期的な検査で状態を確認する必要があります。痛み、充血などの異常を感じた場合は、すぐに医療機関に連絡することが推奨されています。