聴神経腫瘍の手術費用と治療選択

聴神経腫瘍の手術費用

この記事のポイント
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手術費用の相場

3割負担で約40万円前後、保険適用で高額療養費制度の利用が可能

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入院期間と治療方法

手術では7〜14日程度の入院、ガンマナイフは1〜3日程度と短期間

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費用軽減制度

限度額適用認定証の事前申請で窓口負担を大幅に軽減できる

聴神経腫瘍の手術における保険適用と自己負担額

聴神経腫瘍の摘出手術は健康保険の適用対象となっており、実際の窓口負担は医療費の3割程度です。具体的な自己負担額は、3割負担の場合で約40万円前後が一般的な相場となっています。この金額には手術費用だけでなく、入院費や検査費用なども含まれます。

参考)当院で治療を受けられた方々の報告(2022年脳腫瘍45例より…


70歳以上の方は負担割合が異なり、1〜2割負担の方は15,000円〜57,600円程度、3割負担の方でも約90,000円〜170,000円程度となります。所得区分によって自己負担額が変動するため、事前に加入している保険組合に確認することをお勧めします。

参考)費用について


手術費用の総額は約60万円程度が目安で、差額ベッド代などの自費診療分を除いた医療費が保険適用の対象です。なお、入院期間は手術後の経過によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度の入院が必要となります。

参考)Dr.福島が解説する「聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)」…

聴神経腫瘍の手術入院期間と費用の関係

聴神経腫瘍の手術における入院期間は、治療施設や患者さんの状態によって異なりますが、平均的には手術後4〜5日から1週間で退院可能です。ただし日本では患者さんの希望により、1週間から10日ほど入院するケースが多く見られます。​
入院期間が費用に与える影響は大きく、入院日数が長くなるほど総医療費も増加します。当科での聴神経腫瘍患者さんの術後入院期間は平均で12日程度となっており、この期間を基準として費用の算出が行われます。

参考)紹介、特色


海外と比較すると、米国では聴神経腫瘍手術の3〜4日入院で1,500万〜2,000万円程度の医療費がかかりますが、日本の医療費は世界的に見て非常に安価です。日本では全国民に高度医療が行き渡る医療保険制度が整っているため、患者さんの経済的負担が軽減されています。​

聴神経腫瘍のガンマナイフ治療費用

ガンマナイフ治療は手術に代わる放射線治療の選択肢として、3cmまでの中等度の大きさで脳の圧迫症状がない聴神経腫瘍に適応されます。治療費用は総額で約60万円程度ですが、こちらも健康保険の適用対象となっています。

参考)治療費について


自己負担額は3割負担の場合で約18万〜20万円程度となり、70〜74歳の方は生まれた年によって1〜2割を負担します。75歳以上で後期高齢者医療制度(1割負担)に該当される方の月額上限額は44,000円です。

参考)ガンマナイフに関するよくある質問


ガンマナイフ治療の大きなメリットは、入院期間が手術と比べて短いことです。治療に要する日数は1日(日帰り)から2泊3日程度で、入院日数によって費用が異なります。局所麻酔下で治療が行われるため、高齢の方や全身状態に問題がある場合でも比較的安全に実施できます。

参考)聴神経腫瘍|主な適応疾患|日本ガンマナイフ学会


ガンマナイフ治療の費用について – 日本ガンマナイフ研究会

ガンマナイフ治療の詳細な費用と保険適用疾患について解説されています。

聴神経腫瘍治療の高額療養費制度活用法

高額療養費制度は、同じ月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度です。聴神経腫瘍の手術やガンマナイフ治療はこの制度の対象となります。

参考)ガンマナイフ治療 – 切らずに治療する –


自己負担限度額は所得や年齢に応じて異なり、一般的な所得の方(年収約370万円〜770万円)の場合、月額の上限は80,100円+(医療費−267,000円)×1%となります。事前に「限度額適用認定証」を加入している保険組合から取得し病院窓口に提示することで、支払い時点から限度額までの負担で済みます。

参考)サイバーナイフ治療


注意点として、高額療養費制度の計算は月単位(月初1日から月末日)で行われるため、治療が月をまたぐ場合は制度を十分に活用できない可能性があります。可能であれば主治医と相談し、同じ月内で治療を完結させることで経済的負担を最小限に抑えることができます。

参考)がん治療には必ず利用したい「高額療養費制度」


サイバーナイフ治療 – 関東脳神経外科

高額療養費制度と限度額適用認定証の詳細な手続き方法について解説されています。

聴神経腫瘍手術における生命保険の給付金対象

聴神経腫瘍摘出術は民間の生命保険における手術給付金の支払い対象となっています。保険会社によって給付倍率は異なりますが、一般的に40倍の給付金が設定されているケースが多く見られます。

参考)対象となる手術名一覧表(手術給付倍率表)から検索する場合


具体的な手術名としては「聴神経腫瘍摘出術」「経耳的聴神経腫瘍摘出術」「聴神経鞘腫摘出術」などが給付対象となります。たとえば手術給付金の基準額が5万円の場合、40倍の給付で200万円が支払われる計算になります。​
ただし実際の給付金額や支払い条件は、加入している保険契約の内容や診断書に記載された診断名・手術名によって異なります。治療を受ける前に保険証券を確認し、担当のライフプランナーや保険会社のカスタマーサービスに問い合わせることをお勧めします。

参考)対象となる手術名一覧表(手術給付倍率表)から検索する場合

ガンマナイフなどの定位放射線治療についても、保険会社によっては給付対象となる場合がありますので、併せて確認すると良いでしょう。

聴神経腫瘍の治療選択と費用対効果の考え方

聴神経腫瘍の治療方針には経過観察、手術治療、放射線治療(ガンマナイフ)の3つの選択肢があり、腫瘍の大きさや症状、患者さんの年齢や希望によって最適な方法が異なります。治療選択において費用対効果を考える際には、単純な治療費だけでなく、入院期間や社会復帰までの時間、合併症のリスクなども総合的に判断する必要があります。

参考)http://plaza.umin.ac.jp/KOHNO/Treatment.htm


3cm以上の大きな腫瘍や小脳・脳幹への圧迫症状がある場合は手術が適応となり、費用は3割負担で約40万円前後です。一方で3cmまでの中等度で圧迫症状がない場合はガンマナイフ治療が選択肢となり、自己負担は約18万〜20万円程度と手術より安価です。

参考)ガンマナイフ治療について


ガンマナイフ治療は入院期間が短く日常生活への復帰が早いメリットがありますが、腫瘍の縮小効果は手術に比べて限定的で、主に腫瘍の増大を抑える目的で行われます。一方手術は侵襲が大きく入院期間も長いですが、腫瘍を全摘出できる可能性があり、圧迫症状の改善も期待できます。​
高額療養費制度を活用することで、どちらの治療法を選択しても実質的な自己負担は所得に応じた上限額に抑えられます。そのため費用面だけでなく、治療効果や生活の質(QOL)、合併症のリスクなど多角的な視点から、主治医とよく相談して治療方針を決定することが重要です。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshns/26/2/26_175/_pdf


聴神経腫瘍・治療法の特徴と比較

経過観察・手術・放射線治療それぞれの特徴と選択基準について詳しく解説されています。