眼底検査の費用と保険適用
眼底検査の保険診療における費用
眼底検査の費用は、保険適用の有無や検査方法によって大きく変わります。日本の公的医療保険では、眼底検査の費用は診療報酬点数によって定められており、1点が10円で換算されます。医師が病気の診断や経過観察のために必要と判断した場合、健康保険が適用されるため、患者の自己負担は大幅に軽減されます。
参考)眼底検査(眼底写真 / Funduscopy) – 神戸きし…
保険診療で眼底検査を受ける場合、精密眼底検査では片眼56点、両眼112点となり、総額1,120円です。3割負担の方であれば約336円で受診できます。より詳細な汎網膜硝子体検査(散瞳検査を含む)では、片眼150点、両眼300点で総額3,000円となり、3割負担では約900円となります。散瞳検査をした場合には、片眼で450円、両眼で900円が自己負担額の目安です。
参考)眼底検査(散瞳検査)
一般的な眼底カメラを使用する検査では、デジタル撮影が58点(580円)で、3割負担の場合は約174円となります。眼底検査のみを単独で行うケースは少なく、視力検査や眼圧検査、屈折検査などを併用することがほとんどであるため、実際の費用は行われた検査の組み合わせによって異なります。
参考)「眼底検査の費用」はいくらかかる?発見できる病気などを医師が…
保険適用となる眼底検査は、糖尿病網膜症や緑内障の疑いがある患者に対して行われる場合に限られ、医師が診察の一環として実施する必要があります。企業や自治体の健康診断に含まれている場合は、追加料金なしで受けられることもあります。
参考)眼底検査・眼圧検査とは?費用・やり方・わかることまで徹底解説
眼底検査の自費診療における費用
人間ドックや眼科検診を目的として眼底検査を受ける場合は、自費診療となることがあります。自費診療では各医療機関が診療報酬点数を基に料金を設定しているため、施設によって費用は異なりますが、一般的に1,000円から3,000円程度が相場となります。
具体的な例として、倉敷成人病健診センターでは無散瞳眼底カメラ検査が1,375円(税込)でオプションとして提供されています。塩竈市立病院の人間ドックでは、眼底検査を1,100円で追加可能です。さいたま市の国民健康保険人間ドックでは、眼底検査を実施しない場合に費用が1,232円減額されることから、眼底検査の価格が推測できます。
参考)さいたま市/2025年度(令和7年度)のびのび健診(特定健康…
眼科ドック(包括的眼科健診)では、検査項目の内容により料金プランが多様化しており、5,000円から20,000円程度のコースが存在します。散瞳の有無によっても料金が変わり、散瞳なしが16,000円、散瞳ありが17,000円といった設定をしている施設もあります。三谷眼科では8,800円、目白安田眼科では21,600円(税込)といった事例があり、受診者のニーズに合わせた選択が可能です。
自費診療の場合、眼底カメラ撮影(両眼)が580円、精密眼圧検査が820円、眼底OCT検査が2,430円といった料金設定をしている眼科クリニックもあります。料金が気になる方は、事前に医療機関や健診センターに確認しておくと安心です。
眼底検査の追加検査とOCT検査の費用
眼底検査の結果、より詳細な評価が必要と判断される場合、OCT(光干渉断層計)検査や視野検査、蛍光眼底造影検査などの追加検査が行われます。これらは保険診療の場合、診療報酬点数に基づいて算定されます。
OCT検査は、光干渉断層計という検査機器を使用して網膜の断層画像を撮影する検査で、従来の診察や眼底検査だけではできなかった網膜の断面を観察できます。OCT検査は190点(1,900円)で、3割負担の場合は約570円となります。OCT検査だけですと3割負担の方で約600円、1割負担の方は約200円です。
OCTアンギオグラフィ検査(血管撮影を含む)では、3割負担で約1,800円、1割負担の方は約600円となります。人間ドックのオプションとしてOCT検査のみを追加する場合は2,200円、OCT検査と眼底検査(両眼)のセットでは4,180円といった料金設定をしている施設もあります。
参考)OCTアンギオグラフィ検査 – 医療法人社団サンピアザたけだ…
視野検査では、静的量的視野検査(ハンフリー視野計など)が片眼290点で、両眼では580点(5,800円)となり、3割負担の場合は約1,740円です。蛍光眼底造影検査は400点(4,000円)で3割負担では約1,200円、自発蛍光眼底撮影は510点(5,100円)で3割負担では約1,530円となります。
一般的な眼底カメラ撮影の場合、保険診療では3割負担で1,760円程度、OCT検査の場合は3割負担で1,200円程度です。ただし、眼底検査は単独で行われることが少なく、眼圧検査や視力検査などと組み合わせて実施されるため、具体的な費用は検査の組み合わせによって変動します。
参考)眼底検査の費用はいくらですか? |健康診断・人間ドック
眼底検査を受けるべきタイミングと対象者
眼底検査は、すべての人に有用な検査ですが、特に受けておくべき方がいます。目の病気は早期には自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行していることが多いのです。
40歳以上の方は、加齢に伴って緑内障や加齢黄斑変性といった病気のリスクが高まるため、年1回程度の定期的な検査が推奨されます。糖尿病や高血圧などの生活習慣病がある方も、網膜の血管に影響が出やすいため、眼底検査で異常の有無を確認することが重要です。糖尿病網膜症は視力を脅かす重要な眼疾患であり、症状が乏しいため、自覚症状が出る前に検査が必要です。
参考)緑内障・糖尿病網膜症
家族に緑内障など目の病気の既往がある方、強度近視の方、目に違和感を感じる方も積極的に検査を受けることが推奨されます。眼底検査は短時間で受けられるうえ、目の病気だけでなく全身の血管の状態を知る手がかりにもなります。眼底は体内の血管の状態を直接見ることができる唯一の場所であり、全身の健康状態を知る手がかりにもなります。
糖尿病と網膜症に関する知識を十分に知ることが大切であり、日頃から目に関心を持ち、定期的に眼底検査を受けるべきです。早期発見・早期治療により失明を防ぐことができます。特に日本人に多い正常眼圧緑内障は、眼底検査と眼圧検査を併用してチェックすることで見逃しを防げます。
参考)糖尿病で失明しないために
協会けんぽの生活習慣病予防健診では、医師が必要と判断した場合のみ眼底検査を受診できる仕組みになっています。当日の内科診察により、医師が判断します。
参考)https://wellnage.kakogawa.or.jp/files/kenshin/health_checkup/kyoukai_guide.pdf
眼底検査の種類と散瞳検査の違い
眼底検査には、散瞳検査と無散瞳検査の2つの主要な方法があります。健診などスクリーニングで眼底検査を行う場合は無散瞳のことが多いですが、病変部を詳しく診たいときは眼薬を使用し、散瞳を行います。
参考)眼底検査の謎を解き明かします【3】href=”https://www.myopia-square.com/2025/06/09/5409/” target=”_blank”>https://www.myopia-square.com/2025/06/09/5409/amp;#8211; 疑問にお答…
無散瞳眼底検査は、直径5cmくらいのレンズ(倒像鏡)を用いて行われ、視神経乳頭(緑内障がわかる)と黄斑(さまざまな黄斑疾患がわかる)などを観察します。無散瞳で見えるのはせいぜいこれらの部分であり、瞳に光を当てると瞳が小さくなってしまうため(縮瞳)、無散瞳眼底検査はラフで部分的な眼底検査となります。ただし、スクリーニング的な意義が高く、実際に無散瞳眼底検査で緑内障を疑い、緑内障が発見されることが多いのです。
散瞳検査では、散瞳薬を点眼して瞳孔を広げることで、網膜をより広く、詳細に観察しやすくなります。散瞳ありの検査では網膜の広範囲を観察しやすく、より詳しい評価が可能ですが、一時的にまぶしさが強くなり、ピントが合いにくくなります。散瞳検査を行った場合には眼圧上昇の可能性があるため、精密眼圧測定を追加で行う必要があります。
保険3割額のご負担で、片目の検査は450円、両目では900円となります。無散瞳型眼底カメラ(画角45度)による両眼の眼底撮影は、精密眼底検査に比べて検査時間が短く、日常生活にすぐに戻りやすいというメリットがあります。
参考)https://www.jacd.info/method/ganteikensa.htm
検査前には、現在使用中の薬、既往症(緑内障や白内障手術の有無など)、アレルギーの有無、交通手段(車の運転の予定がある場合、注意が必要)などを確認する必要があります。散瞳後は数時間にわたり光に敏感になる場合があり、車の運転や精密作業は控えるのが望ましいです。
健康診断における眼底検査のコスト最適化
健康診断や人間ドックで眼底検査を受ける場合、施設ごとに料金設定が異なるため、事前に確認することが重要です。一部の自治体では補助制度を設けている場合もあるため、お住まいの地域の保健所に問い合わせることをお勧めします。
協会けんぽの生活習慣病予防健診では、眼底検査が含まれており、医師が必要と判断した場合のみ受診可能です。令和7年度の眼底検査の自己負担額は最高79円となっており、非常に低廉です。ただし、別途検査費用582円(税込)が必要な場合もあります。
人間ドックのオプション検査として眼底検査を追加する場合、佐久総合病院では990円、長野中央病院では1,320円(両眼)、あづみ病院では眼底検査のみの料金は明示されていませんが、1日ドックには含まれています。眼底検査につきましては、実施する医療機関と実施しない医療機関があるため、受診券同封の実施医療機関一覧を確認する必要があります。
健康診断料金表によると、眼底検査は770円から1,760円の範囲で設定されている施設が多く見られます。2025年度の健康診断料金表では、眼底検査が770円、眼圧検査が935円と明記されています。
医療機関独自のオプション検査や2次検査にかかる費用については、各実施医療機関に確認する必要があります。OCT検査はオプション検査として受けられる施設かどうか、希望する場合は対応可否を受診予定の施設に確認するといいでしょう。
眼底検査は、目の健康を維持するうえでとても重要な役割を持つ検査です。保険診療では非常に低廉な自己負担で受診でき、自費診療でも比較的手頃な価格で受けられることから、定期的な検査を習慣にすることが推奨されます。