マイボーム腺の詰まりとマッサージ、温め方と予防法

マイボーム腺の詰まりとマッサージ

この記事でわかること
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マイボーム腺の詰まりの原因

油分の固まりや角化物による詰まりのメカニズム

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効果的なマッサージ法

温罨法と組み合わせた正しいケア方法

🌡️

温度と時間の目安

最適な温度と実施頻度で症状改善をサポート

マイボーム腺の詰まりとは

マイボーム腺は、まぶたの縁に並んでいる皮脂腺で、涙の蒸発を防ぐ油分を分泌する重要な役割を担っています。このマイボーム腺から分泌される油分が固まり、腺の出口が詰まってしまう状態をマイボーム腺梗塞と呼びます。詰まりの原因は、脂質が固まることや角化物の蓄積によるもので、白色や透明の固形物として観察されます。マイボーム腺の詰まりが進行すると、涙の油層が減少してドライアイの症状が悪化し、目の乾燥感やゴロゴロとした異物感が生じます。

参考)ドライアイに効果のあるマッサージを教えてください。 |ドライ…


マイボーム腺機能不全(MGD)は、マイボーム腺の閉塞や炎症によって特徴づけられる状態で、涙の油層の欠乏につながります。加齢や炎症によって油分の質や量が悪化し、マイボーム腺が詰まりやすくなることが知られています。特に日本を含むアジア地域では、欧米よりもMGDの患者が多いとされており、適切なケアの重要性が指摘されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1771385/


詰まりが小さい場合は無症状ですが、大きくなるとまぶたのふちに白いできものが見られ、麦粒腫や霰粒腫といった炎症性疾患のリスクが高まります。マイボーム腺の詰まりを放置すると、慢性的なドライアイや不快な症状が続くため、早期のセルフケアが推奨されます。

参考)マイボーム腺機能不全の治療・ドライアイ|眼科|伊藤医院|埼玉…

マイボーム腺マッサージの正しいやり方

マイボーム腺マッサージは、詰まった油分の排出を促進し、固まった脂質や角化物を除去する目的で行われます。最も効果的な方法は、まぶたを温めた後に行うマッサージで、温罨法と組み合わせることでさらに高い効果が期待できます。

参考)マイボーム機能不全(MGD) href=”https://nagata-eye.com/ipl-treatment/mgd/” target=”_blank”>https://nagata-eye.com/ipl-treatment/mgd/amp;#8211; ながた裕子眼科


マッサージの基本的な手順は以下の通りです。まず、手を清潔に洗ってから、指のはらを使ってまつげの根元周囲をやさしくマッサージします。力を入れすぎると眼球や周囲の組織にダメージを与える可能性があるため、あくまで「やさしく」行うことが重要です。具体的には、目頭から目尻に向かって軽くなでるようにマッサージし、上下のまぶたをやさしく押しながら行います。

参考)Qhref=”https://www.fukagayaganka.com/news/2013/03/” target=”_blank”>https://www.fukagayaganka.com/news/2013/03/amp;A|美濃加茂市 眼科|ふかがや眼科


専用の目元用シャンプー(ベビーシャンプーなど)を使用したリッドハイジーンと組み合わせると、マイボーム腺周囲の細菌量を減少させ、汚れを効果的に除去できます。ベビーシャンプーは目に入ってもあまり刺みないため、安心して使用できます。泡タイプのベビーシャンプーを手のひらに取り、人差し指と中指でまぶたの縁をやさしくマッサージし、最後にぬるま湯で洗い流します。

参考)リッドハイジーン


マイボーム腺のマッサージ方法とリッドハイジーンの詳細(伊藤医院)
注意点として、押さえると痛みがある間はマッサージを行わないでください。また、強く圧迫すると眼球だけでなく脈拍などにも影響するため、軽く押さえる程度に留めることが大切です。清潔な手で行い、異常があるときは中止して眼科医に相談しましょう。​

温罨法によるマイボーム腺の詰まり解消

温罨法(おんあんぽう)は、まぶたを温めることでマイボーム腺の詰まりを緩和する国際標準治療として認められている方法です。温めることで固まった油分を溶かし、まぶたの血流を改善する効果があります。マイボーム腺から分泌される油の融点は体温付近ですが、加齢や炎症により融点が上昇すると固まりやすくなります。そのため、適切な温度でまぶたを温めることが重要です。

参考)MGDについて|一般の方|LIME研究会


温罨法の最適な温度については、研究により約40℃前後が効果的とされています。具体的には、38℃前後でじっくり5分間温めることが推奨されており、マイボーム腺の油を十分に溶かすことができます。温度と時間の両方が重要で、温度が低すぎたり時間が短すぎたりすると効果が十分に得られません。

参考)マイボーム腺機能不全の治療(温罨法)について


温罨法の実施方法にはいくつかの選択肢があります。最も手軽な方法は、市販のホットアイマスクや「あずきのチカラ」のような蒸気温熱ピローを使用する方法です。これらの製品は電子レンジで温めて目元に乗せるだけで、約5分間適切な温度を保つことができます。もう一つの方法は、蒸しタオルを使用する方法で、濡れたタオルを電子レンジで加熱し、ポリ袋に入れて乾いたタオルで包んでまぶたに乗せます。注意点として、濡れたタオルを直接あてると乾く時に温度が下がり油が再び固まる可能性があるため、必ず乾いたタオルで包むようにしてください。

参考)https://www.nakamura-ganka.com/eye_byouki/57813


温罨法の効果的なプロトコルに関する研究(Evidence-Based Strategies for Warm Compress Therapy)
実施頻度は1日2回(朝と晩)が効果的で、2週間以上続けることで症状の改善が期待できます。温罨法を行うと「気持ちいい」「目が楽になる」「目があけやすくなる」といった実感が得られることが多く、継続しやすいケア方法です。

参考)マイボーム腺機能不全(MGD)という疾患をご存じですか?

マイボーム腺梗塞の症状と対処法

マイボーム腺梗塞の症状は、詰まりの程度によって異なります。初期段階では無症状のことが多く、まぶたのふちに小さな白い塊が見られる程度です。しかし、サイズが大きくなると、目のゴロゴロ感や異物感、違和感といった不快な症状が現れます。さらに進行すると、まぶたの内側に白い塊ができ、涙の油分が減少してドライアイの症状が悪化します。

参考)マイボーム腺梗塞 – 目の病気と治療 – ひかる眼科(川口市…

マイボーム腺から分泌される油の状態も、梗塞の進行度を示す指標となります。正常な場合は透明でサラサラした油が分泌されますが、詰まりが進むとだんだん濁ってうねうねとした形状になり、最終的にはマヨネーズのような白濁した油しか出なくなります。このような末期状態になる前に、適切な対処を行うことが重要です。youtube​

セルフケアによる対処法としては、前述の温罨法とマッサージの組み合わせが最も効果的です。1日5分、朝晩の2回行うことで効果が早く出やすくなります。霰粒腫や麦粒腫を繰り返す方は、症状が落ち着いている間も定期的にマッサージを行うと、再発しにくくなることが期待できます。

参考)https://www.kuki-eye-clinic.jp/pdf/booklet-2024.pdf


セルフケアで改善しない場合は、眼科でのマイボーム腺圧出という治療が行われます。これは点眼麻酔を行った上で、専用のピンセットや鋭利なメスを使って固まった塊を押し出す処置です。無理に自分で取ろうとすると、炎症を起こしたり周囲のマイボーム腺やまつげの毛根にダメージを与えたりするリスクがあるため、大きな梗塞は必ず眼科医に相談してください。

参考)ドライアイ・マイボーム腺梗塞・涙の疾患でお悩みなら|三ッ沢・…

マイボーム腺の詰まりを予防する生活習慣

マイボーム腺の詰まりは、日常生活の工夫によってある程度予防することができます。まず重要なのが食生活の見直しです。油分の多い食事を控えることで、マイボーム腺から分泌される油の質を改善できます。特に動物性脂肪の過剰摂取は、油の融点を上昇させる要因となるため、バランスの良い食事を心がけましょう。

参考)626. マイボーム腺梗塞ってなに?


目元の清潔を保つことも重要な予防策です。朝と夜の1日2回、ぬるま湯でまつげの生え際付近を洗うことで、マイボーム腺周囲の汚れや細菌を減らすことができます。目の周りに汚れが残っていると、マイボーム腺の感染や炎症が起きやすくなり、詰まりの原因となります。リッドハイジーンを習慣的に行うことで、マイボーム腺が正常な状態を保ち、慢性的なドライアイの予防や改善につながります。

参考)【目もとを清潔に洗う方法】アイシャンプーを使った目の洗い方|…


予防的なセルフケアとして、定期的な温罨法の実施も効果的です。症状がない時期でも週に数回まぶたを温めることで、マイボーム腺の詰まりを未然に防ぐことができます。市販のホットアイマスクを使用すれば、リラックスタイムとしても活用でき、継続しやすくなります。

参考)日常生活でできる予防をご紹介

コンタクトレンズを使用している方は、適切な装用時間を守り、目を休める時間を確保することも大切です。長時間のデジタルデバイス使用も目の負担となるため、適度に休憩を取り、意識的にまばたきを増やすことで涙の分泌を促進しましょう。

表:マイボーム腺の詰まり予防のための生活習慣

予防策 具体的な方法 実施頻度
温罨法 ホットアイマスクやタオルで5分間温める 1日2回(朝・晩)
リッドハイジーン 専用シャンプーでまつげの根元を洗浄 1日1〜2回
マッサージ 指のはらでやさしくまつげの根元をマッサージ 温罨法の後に実施
食生活の改善 油分の多い食事を控える 継続的に
目元の清潔 ぬるま湯でまつげの生え際を洗う 1日2回

これらの予防策を日常生活に取り入れることで、マイボーム腺の詰まりを効果的に防ぎ、快適な目の状態を維持することができます。​