頸椎症性神経根症の症状としびれ・痛みの特徴

頸椎症性神経根症の症状

この記事で分かること
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神経根ごとの症状の違い

C5からC8まで、圧迫される神経根によって異なる痛みやしびれの範囲を詳しく解説します

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診断に必要な検査方法

レントゲンやMRI検査など、神経根症の診断に用いられる画像診断と神経学的検査について説明します

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保存療法と手術適応

75%の患者で自然軽快が期待できる保存療法から、手術が必要となる症例まで治療の選択肢を紹介します

頸椎症性神経根症における首と肩の痛み

頸椎症性神経根症は、中年から高齢者に多く発症し、首から肩甲骨にかけての痛みが初期症状として現れることが一般的です。多くの患者さんは「寝違えかと思っていたがなかなか治らず、そのうち肩や腕が痛くなってきた」という経過をたどります。

参考)href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.htmlamp;#x300C;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.htmlamp;#x981A;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.htmlamp;#x690E;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.htmlamp;#x75C…


痛みの特徴は、ズキズキとした痛み、鈍い痛み、電気が走るような痛みなど個人差が大きく、軽度から耐えられないほどの激痛まで幅があります。安静時には感じなくても、首を特定の方向に動かしたときや長時間同じ姿勢を続けた後に症状が悪化するのが特徴的です。

参考)頚椎症性神経根症とは – 症状と原因を詳しく解説 – 足立慶…


頑固な肩こりの原因が実は頸椎症性神経根症であることも珍しくありません。特に頸椎を後ろへ反らす動作で痛みやしびれが増強する場合、神経根症を疑う必要があります。

参考)部位別診療ガイド -「頚椎症性神経根症」|井尻整形外科

頸椎症性神経根症の手や腕のしびれと放散痛

片側の腕から手、指先にかけてのしびれや痛みは、頸椎症性神経根症の代表的な症状です。圧迫される神経根の部位によって、症状が出る範囲(皮膚分節:デルマトーム)が明確に異なります。

参考)頚椎症性神経根症|博豊会東京脊椎病院|事務部、看護部、診療技…


C5神経根が障害されると肩から上腕外側にしびれや痛みが現れ、上肢を横に挙げる力が弱くなります。C6神経根障害では肘を曲げる力の低下とともに、上腕の外側から前腕の親指側、親指・人差し指にしびれが出現します。C7神経根では中指を中心としたしびれと腕を伸ばす力の低下が特徴的で、C8神経根障害では薬指や小指のしびれと握力低下が認められます。

参考)頸椎症性脊髄症/頸椎症性神経根症


咳やくしゃみ、首を後ろに反らす動作で痛みが強まることも重要な特徴です。「ジンジン」「ピリピリ」といった異常感覚や、触った感覚が鈍くなる感じが現れ、症状は首から肩、腕、そして指先へと広がるように放散します。​

頸椎症性神経根症の診断に必要な検査

頸椎症性神経根症の診断では、どの神経根が障害されているかを正確に判断することが極めて重要です。画像診断で複数箇所の神経圧迫が認められる場合、今どの神経が痛みやしびれの原因になっているのかを詳細な検査と神経学的診察で見極める必要があります。

参考)頚椎症性神経根症


レントゲン検査では正面、側面、斜位を含む6方向から撮影し、骨棘の有無やアライメント不良、椎間板のつぶれ具合を確認します。前屈や後屈をしながら撮影することで、さまざまな角度から頸椎を評価できます。

参考)頚椎症性神経根症|症状や治療法、手術、再発予防など解説


MRI検査は椎間板や神経を直接観察できるため、最も正確な診断が可能な検査です。ルーチン撮影に加えて詳細な椎間孔撮影を追加することで、骨棘による神経根の圧迫状態を詳しく評価します。

参考)頚椎症性神経根症の治療・症状について


神経学的所見として、頸椎伸展テストやジャクソンテストが実施されます。頸椎伸展テストでは首を後ろにそらすと腕から手指にかけての症状が増強し、ジャクソンテストでは首を少し後ろにそらして頭を上から圧迫すると同様の症状が誘発されます。診断が困難な場合には、高位診断ブロック注射を行い、疑わしい神経根への効果を判定することもあります。

参考)頚椎症性神経根症について – 岐阜市 – 森整形外科リハビリ…

検査方法 確認できる内容 特徴
レントゲン検査 骨棘、椎間板の高さ、頸椎の角度 6方向から撮影し骨の変形を評価
MRI検査 椎間板、神経根、脊髄の状態 神経圧迫を直接確認できる最も正確な検査
CT検査 骨の詳細な形状、椎間孔の狭窄 3D-CTで立体的に評価可能
神経学的検査 筋力、感覚、腱反射の低下 スパーリングテストで症状の再現性を確認

頸椎症性神経根症の保存療法と治療期間

頸椎症性神経根症の治療では、ほとんどの症例で手術を行わない保存療法が第一選択となります。急性の頸部神経根症は一般的に自然治癒的な臨床経過をたどり、75%の患者で自然軽快が得られるとされています。症状は3週間から数ヶ月で落ち着いてくることが多く、その間に薬物療法やリハビリテーション、ブロック注射で痛みのコントロールを行います。

参考)頚椎症性神経根症


保存療法では、頸椎カラーを装着して首を固定し頸椎への負担を軽減します。痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤(ロキソニンなど)の処方や湿布の使用で炎症を抑えます。

参考)頚椎症性神経根症はどれくらいで治る?原因・治療・回復期間を解…


リハビリテーションとして、首を引っ張って圧迫されている神経を緩和する牽引療法、患部を温める温熱療法、電気刺激を加える電気治療などが実施されます。これらの治療により、首の筋肉のコンディションを整え、筋力を鍛えることで頸椎にかかる負担を減らすことができます。​
薬物療法やリハビリで症状が改善されない場合は、痛みの原因となっている神経に直接ステロイドと局所麻酔薬を注射するブロック注射が検討されます。神経の炎症を直接抑えることができ、安全性と正確性を高めるためエコーガイド下で実施されることが増えています。​

頸椎症性神経根症の手術適応と予後

手術が必要となるのは、保存的治療を行ってもなかなか症状が良くならない患者や、圧迫によって麻痺が出現している患者に限られます。痛みコントロールが難しく日常生活に支障が出ている症例、筋力低下や感覚麻痺などがある場合に手術が検討されます。

参考)頚椎症の予後【メディカルコンサルティング合同会社】 – メデ…


神経根症の予後は一般的に良好で、半数以上で症状が改善されるとされています。椎間板ヘルニアでは保存的治療が89%の症例で奏効し、症状軽減の多くは6ヶ月以内に認められます。通常3ヶ月ほどの期間で症状が改善することが多く、ほとんどの場合で手術は必要ありません。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/38/3/38_230/_pdf


ただし、神経根症は症状がよくなったり再燃したりを繰り返すこともあります。5年ほど前から症状があり、保存的加療を受けていたものの症状の増悪により手術に至った症例も報告されています。痛みが強く日常生活に支障がある場合は手術を検討すべきですが、痛みが軽度であれば保存療法から始めるのが妥当です。

参考)保存療法 vs 手術、どっちが効果的?頚椎症性神経根症の最新…


手術方法には前方除圧固定術などがあり、圧迫されている神経根を減圧することで症状の改善を図ります。手術はリスクも伴うため、そのタイミングの判断には慎重な検討が必要です。

参考)https://www.nagasaki-nouge.jp/wp-content/uploads/2019/03/Review20180605-tsunoda.pdf

頸椎症性神経根症の日常生活における注意点

頸椎症性神経根症と診断された患者さんは、日常生活で避けるべき姿勢や動作に注意する必要があります。痛みがあるうちは無理に首を動かしたりストレッチをしたりすることは避け、安静を第一とします。

参考)頸椎症性神経根症の人がやってはいけないことは?原因や治療法に…


姿勢管理では、立っている時も座っている時も背筋を伸ばし、頸椎への負担を軽減することが重要です。うつぶせ寝は避け、自分に合った枕を使って仰向けで眠るようにします。横向き寝もできる限り避けてください。​
長時間の同じ姿勢は症状を悪化させる要因となります。デスクワーク、スマホ操作、勉強、読書、テレビ視聴などの時間を短くし、20分ごとに休憩をとることが推奨されます。首を前屈してスマホを見続けている場合は特に注意が必要です。

参考)頚椎症性脊髄症・神経根症で、してはいけないこと、注意すること…


下を向く姿勢だけでなく、上を向く姿勢もできる限り避けるか時間を短くするようにしてください。重い物を持ち上げたり持ち運んだりすることも避けるべきです。​
日本整形外科学会の頚椎症性神経根症に関する公式情報では、症状や治療法について詳しく解説されており、患者教育の参考資料として活用できます。

避けるべき動作 理由 代替方法
長時間の下向き姿勢 神経根への圧迫が増強する 20分ごとに休憩をとり姿勢を変える
うつぶせ寝 首が不自然な角度に固定される 適切な高さの枕で仰向け寝
重量物の持ち運び 頸椎に過度な負荷がかかる 荷物を分散させるか他者に依頼する
首の急激な動き 症状の悪化や再燃の原因 ゆっくりとした動作を心がける

頸椎症性神経根症におけるリハビリテーションと予防

リハビリテーションでは、神経根への圧迫を軽減し頸椎にかかる負荷を減らすことが重要です。保存療法または手術によって痛みが落ち着いてから、姿勢訓練、肩関節まわりのストレッチ、筋力トレーニング、マッサージなどを実施します。手指のしびれがある場合には、手先を使った訓練を行い機能回復を図ります。​
首まわりの筋肉を強化することで良い姿勢が維持できるようになり、症状を和らげる効果が期待できます。ストレートネックや猫背は頸椎症性神経根症の原因となるため、普段から姿勢を正す意識を持つことが予防につながります。

参考)頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監…


生活習慣の改善として、不良姿勢の改善、適切な枕の使用、首に負担のかかる生活の見直しが推奨されます。枕の高さが合っていないと寝ている間に首への負担が強くなるため、適切な高さに調整することが重要です。​
スマホの見過ぎによってストレートネックになることが予想されるため、姿勢を正して使う意識を持ってください。僧帽筋、肩甲挙筋、大胸筋を伸ばすストレッチが頸椎の健康維持に有効ですが、痛みがある急性期には無理なストレッチは避けるべきです。​
C5-C6領域は他の頸椎に比べて血流が制限されやすい部位で、椎間板が必要な栄養を受け取れず回復力が低下しやすいとされています。このため、頸椎5番6番の間のヘルニアや神経根症が多く発生する傾向にあります。適切な運動と生活習慣の改善により、頸椎への血流を維持することが予防の観点から重要です。

参考)頚椎ヘルニアが頚椎5番6番の間に多い理由について詳しく解説