ヘバーデン結節の痛みを和らげる方法
ヘバーデン結節は指の第1関節(DIP関節)に生じる変形性関節症で、40代以降の女性に多く発症します。痛みや腫れ、関節の変形を伴い、物をつかむ動作や細かい作業が困難になるため、医療従事者として適切な治療法を理解することが重要なんです。
参考)へバーデン結節
この病気の原因は完全には解明されていませんが、加齢による軟骨の摩耗、指の使いすぎ、更年期に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少が関与していると考えられています。特に手を酷使する職業の方、肥満傾向の方、家族にヘバーデン結節の既往がある方は注意が必要です。
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ヘバーデン結節の保存療法による痛みの軽減
保存療法は手術を行わない治療法で、ヘバーデン結節の初期から中期段階における第一選択となります。テーピングやサポーターによる関節の固定が基本的なアプローチなんです。
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ヘバーデン結節のテーピング治療には、関節の過度な動きを制限し、炎症を鎮める効果があります。
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テーピングの具体的な方法として、伸縮性のあるキネシオテープ(幅1〜2cm程度)を使用し、第1関節に2〜3周巻く方法が一般的です。引っ張りすぎないように注意しながら貼ることで、関節を安静な状態に保てます。市販のビニールテープを代用する方法も推奨されており、粘着力が弱めで肌に優しく、水仕事の際も巻いたままにできるという利点があるんです。
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装具療法では、金属製のリングやサポーターで関節を固定することで、日常生活での負担を軽減します。特に痛みが強い急性期には、DIP関節を固定することで症状の改善が期待できます。
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薬物療法では、消炎鎮痛薬の内服や外用薬が使用されます。痛み止めの服用により、炎症を抑え、日常生活の質を維持することが可能なんです。
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ヘバーデン結節の注射療法による痛みの緩和
注射療法は、保存療法で効果が不十分な場合に選択される治療法です。ステロイド注射とヒアルロン酸注射が主な選択肢となります。
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ステロイド注射は、関節内に少量のステロイド薬を直接注入することで、炎症を強力に抑制し、痛みを軽減します。特に急性期の強い炎症や痛みに対して有効なんです。ただし、効果は一時的であり、根本的な治療にはならないため注意が必要です。
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ヒアルロン酸注射は、関節液の潤滑成分を補充することで関節の動きを滑らかにし、痛みを和らげます。ステロイド注射と比較すると効果は穏やかですが、副作用のリスクが低いという特徴があります。
へバーデン結節の最近の治療として、動注治療(動脈注射)という新しいアプローチも注目されています。これは変形性関節症の関節に増えた余計な血管を減らすことで、腫れや炎症、痛みの原因を取り除く治療法なんです。5分程度で終わる簡単な治療で、早期に開始すれば変形の進行を止められる可能性があります。
注射治療を受ける際は、効果の持続期間や副作用について医師と十分に相談することが重要です。
ヘバーデン結節のホルモン補充療法とエクオール
女性ホルモン(エストロゲン)の減少がヘバーデン結節の発症に関与していることから、ホルモン補充的なアプローチが注目されています。
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エクオールは大豆イソフラボンの代謝産物で、エストロゲン様作用を持つ成分です。不足したエストロゲンを補うように作用し、関節を取り巻く滑膜の腫れを抑えることで症状を和らげると考えられています。
ヘバーデン結節でエクオールは効く?という疑問に対して、二重盲検試験では痛みの軽減が報告されており、「指のこわばりが楽になった」「朝の指の動きがスムーズになった」といった患者の声があります。
効果を得るためには1日10mgのエクオール摂取が必要で、これは豆腐200グラムまたは納豆1パックに相当します。医療機関専用のサプリメント「エクエル」(大塚製薬)が広く使用されており、軽度の痛みであればこれで経過を見るのも選択肢なんです。
ただし、エクオールは関節の変形そのものを治す特効薬ではなく、効果には個人差があります。リスクが少なく安全に試せる点が大きな魅力で、痛み止めの長期連用に不安がある方や軽症の方にとって一つの選択肢となり得ます。
ヘバーデン結節の生活習慣と食事療法による改善
日常生活での工夫や食事療法も、ヘバーデン結節の症状緩和に重要な役割を果たします。
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食事療法では「引き算食」からはじめることが推奨されています。これは炎症を引き起こす恐れがある食品を避けるアプローチなんです。糖分が多い甘いもの、食品添加物が多く含まれる加工食品、栄養バランスが偏りがちなファストフードは避けましょう。特に小麦には炎症作用があるため、毎朝のパンをごはんに替えると効果が期待できます。
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和食中心の食事は、ヘバーデン結節の症状改善に有効です。新鮮な野菜、魚介類、豆腐などの大豆製品、海藻を豊富に利用する和食は、カルシウムやビタミンD、大豆イソフラボンなど、関節の健康をサポートする栄養素が含まれています。
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積極的に摂取したい食材として以下が挙げられます:
- 魚類(サバ、イワシなどの青魚):オメガ3脂肪酸が豊富で、炎症を抑える作用があります
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- ナッツ類(アーモンド、クルミ):抗酸化作用があり、関節の健康をサポートします
- 野菜(ブロッコリー、ほうれん草など):ビタミンやミネラルが豊富で、体の炎症を抑えます
- 豆乳や大豆製品:イソフラボンが含まれ、ホルモンバランスを整えます
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避けるべき食材として、カロリーの多い食事、糖質の多い食事、アルコールがあります。アルコールは全身の血管を拡張させ、関節周りの異常な血管を増やしてズキズキとした痛みを強めてしまうんです。カフェインの摂取もヘバーデン結節の発生に関係するという説があるため、気になる方はデカフェやカフェインレスのコーヒーに変えるなど工夫が必要です。
指の使いすぎを避けることも重要です。掃除や洗濯、重い物を持つ行為、パソコン仕事や楽器の演奏など長時間にわたる指の細かな動きは、軟骨をすり減らしてヘバーデン結節を発症するリスクを高めます。1時間につき10分は休憩を入れるなど、指への負担を減らす工夫をしましょう。
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ヘバーデン結節のリハビリとストレッチによる痛み管理
リハビリテーションやストレッチは、関節の柔軟性を維持し、痛みを和らげる効果があります。
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温熱療法は血行を促進し、痛みを和らげる有効な方法なんです。温かいタオルや温水で患部を温めることにより、関節の動きが滑らかになり、可動域が改善されることがあります。入浴中に温水に手を浸けるのも効果的です。一方、炎症がひどい急性期には冷却(アイシング)で痛みを和らげる方が適しています。
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軽いストレッチは、指の関節を無理のない範囲で伸ばしたり曲げたりすることで、関節の柔軟性を維持します。指を伸ばす際は、手全体をテーブルの上に置いて、指を軽く反らせる運動が効果的なんです。グーパー運動(手を広げた後、指を握りこむ動作)も指の柔軟性を保つために有効です。
へバーデン結節のリハビリ・治療法として、ボールグリップエクササイズも推奨されています。柔らかいボールを握ることで、指の筋肉を鍛え、関節周辺の筋力を強化できます。無理をせず、痛みが出ない程度に行うことが重要です。
マッサージは指の関節や手のひらを優しくマッサージすることで、血流を促進し、筋肉や関節の緊張を緩和します。ただし、痛みが出ている時期に関節を無理に動かしたり、ぐりぐりとマッサージをしたりすることは、関節の炎症を強めて痛みを増強させ、将来の変形を進めてしまうため避けるべきです。
日常生活での注意点として、指の冷えに注意することも大切なんです。手指の血行が悪くなると症状が悪化する可能性があるため、冬場は手袋をするなどの対策が必要です。
ヘバーデン結節の手術療法による根本的な痛みの解消
保存療法で症状が改善しない場合や、関節の変形が進み日常生活に支障をきたす場合には手術療法が検討されます。
関節固定術は最も一般的な手術法です。痛みの原因となっている骨のトゲ(骨棘)やすり減った軟骨を切除した後、関節をまたぐようにスクリューを骨の中に挿入します。このスクリューはねじ込むことで骨同士に圧迫がかかる構造になっており、関節を固定する角度は曲がりが0〜10度に設定されます。2つの骨は最終的に一体化し、関節がなくなるため痛みが100%なくなるんです。
参考)ヘバーデン結節の手術:関節を固定して大丈夫?|まえだ整形外科…
ヘバーデン結節の手術で「関節が動かなくなると手が使えなくなる」と心配される方が多いですが、第2関節(PIP)と付け根の関節(MP)が正常に動くため、日常動作への影響は想像しているほど大きくないことがわかっています。
関節形成術は、でっぱってしまった骨(結節部、骨棘)や水ぶくれ(嚢胞)を切除する手術です。骨棘を切除することで外観が細くきれいになり、痛みも軽減されます。
人工指関節置換術は、関節固定術と異なり動きを残せる手術法として近年注目されています。繊細な作業や音楽家など少しの動きを残すことが重要な場合に選択されるんです。シリコンインプラントによる手術により痛みはなくなり変形も改善しますが、耐用年数や側方動揺性という問題点があります。5年から10年後に再手術や関節固定術に移行することになっても、選択肢としての意義は十分にあるとされています。
手術を考えている方には、治療にも用いるスプリントを終日装着することで、関節を固定した状態を疑似体験することが推奨されます。仕事や生活で細かい作業が必要な方、楽器を演奏する方などには不向き・慣れが必要といった面もあるため、担当医師とよく相談することが重要なんです。
ヘバーデン結節の治療は、症状の程度や患者のライフスタイルに合わせて選択することが大切です。早期の診断と適切な治療により、痛みの軽減と変形の進行を抑えることができます。