包茎の治療方法を症状別に解説

包茎の治療方法

包茎治療の主な選択肢
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保守的治療

ステロイド外用薬やPhimostop™による段階的な包皮拡張で、軽度の症状に対応

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外科的治療

環状切開法や亀頭直下埋没法など、包皮切除による根本的な改善

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医療機器を用いた治療

Shang Ring™やPrePexなどの専用デバイスによる低侵襲治療


包茎治療は症状の重症度や患者の希望に応じて、保守的治療から外科的介入まで幅広い選択肢が存在します。真性包茎やカントン包茎では医学的必要性が高く早期の治療介入が推奨されますが、仮性包茎の場合は衛生面や心理的要因を考慮した上での治療判断となります。治療方法の選択には、包茎の種類、患者の年齢、費用、術後の審美性などを総合的に評価する必要があります。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10887835/

包茎の症状別治療適応

包茎は仮性包茎、真性包茎、カントン包茎の3つに分類され、それぞれ治療の緊急度が異なります。仮性包茎は手で包皮を剥くことが可能な状態で、日本人男性の60~70%が該当するとされており、医学的には緊急性は低いものの、恥垢の蓄積による悪臭やかゆみ、心理的負担から治療を希望するケースが多くみられます。

参考)包茎手術おすすめクリニック7院【2025年10月】料金が安い…


真性包茎は包皮口が狭く亀頭を露出できない状態で、無理に剥こうとすると痛みを伴います。この状態では正常な性交渉が困難なだけでなく、亀頭包皮炎やHPV感染による陰茎がんのリスクが上昇するため、早期の外科的治療が必要です。

参考)包茎手術・治療や包茎の種類について|MSクリニック【公式】


カントン包茎は包皮の先端が狭く、勃起時に強い締め付けや痛みを生じる状態です。血流障害を起こすと陰茎組織の壊死に至る可能性があり、緊急治療が必要となるケースもあります。

参考)保険適用の包茎手術|費用は?条件・デメリット・後悔しない方法…

参考リンク:日本の包茎治療ガイドラインでは真性包茎とカントン包茎の早期治療の重要性が示されています

包茎手術・治療や包茎の種類について|MSクリニック

包茎治療における保守的アプローチ

軽度から中等度の包茎症例では、外科的介入の前に保守的治療が選択肢となります。ステロイド外用薬による治療は、0.05%クロベタゾールプロピオン酸エステルなどの高力価コルチコステロイドを4~8週間塗布する方法で、包皮の狭窄部位を柔軟化させます。この治療法は部分的または完全な臨床的寛解を得られる可能性がありますが、長期的な効果の持続性については十分なデータがありません。​
Phimostop™は医療用シリコン製の22段階のサイズ調整可能なチューブ状デバイスで、段階的な包皮拡張を行う保守的治療法です。イタリアで開発されたこのデバイスは、包茎輪に対して緩やかな圧力をかけ続けることで、瘢痕組織を弱化させ新しい弾性組織の成長を促します。85名の包茎患者を対象とした前向き研究では、治療完了者の52%が手術を回避でき、そのうち81%が中央値24ヶ月の経過観察期間中に良好な状態を維持しました。​
保守的治療の副作用として、ステロイド外用薬では皮膚萎縮、毛細血管拡張、免疫抑制による悪性腫瘍リスクの上昇が報告されています。Phimostop™の副作用は少なく、大きいサイズのチューブ使用時の不快感が主な訴えです。​

包茎手術の術式比較と選択基準

包茎手術の基本術式は環状切開法で、余剰包皮を輪状に切除して縫合する最も一般的な方法です。この術式は手技が比較的容易で、真性包茎やカントン包茎では保険適用となる可能性があり、3割負担で約6,000円~30,000円程度の費用となります。しかし、切除部位が陰茎の目立つ位置になるため、術後にツートンカラーと呼ばれる色調の不一致が生じやすいという審美的な欠点があります。

参考)保険診療の包茎手術について|MSクリニック


亀頭直下埋没法は、亀頭の直下で包皮を切除し縫合することで、手術痕を冠状溝(亀頭の下の溝)に隠す美容形成的手術です。傷跡が目立ちにくく自然な仕上がりになるという利点がありますが、環状切開法より高度な技術を要するため費用は高額になる傾向があります。術後の審美性を重視する患者には第一選択となる術式です。​
背面切開法は包皮の背側を縦切開して包皮口を拡張する方法で、主に保険診療の真性包茎治療で用いられます。手技は簡単ですが、Dog ear変形と呼ばれる変形を残すことがあり、余剰包皮は切除しないため仮性包茎の状態になりやすいという欠点があります。​

術式 手術痕の目立ち ツートンカラー 保険適用 技術難易度
環状切開法 目立つ なりやすい あり(条件付き) 低い
亀頭直下埋没法 目立ちにくい なりにくい なし 高い
背面切開法 やや目立つ 少ない あり(条件付き) 低い

参考リンク:包茎手術の各術式の詳細な比較と症例写真が掲載されています

包茎手術おすすめクリニック7院【2025年10月】

包茎手術後の傷跡管理と審美的結果

包茎手術では包皮切除を伴うため、術後に必ず縫合部に傷跡が残りますが、ほとんどの症例では時間経過とともに目立たなくなります。手術直後から抜糸までの2~3週間は傷跡が明確に残っており、ツートンカラー、包茎手術で傷跡は目立つ?跡が残る原因や傷跡修正可能なクリニッ…


術後半年から1年が経過すると、傷跡の色素沈着が進み、陰茎の皮膚に馴染んで目立たなくなります。亀頭直下埋没法では縫合線がカリ首直下のシワに隠れるため、より自然な仕上がりが期待できます。傷跡の目立ちにくさには個人差があり、体質や色素沈着の程度によって異なりますが、適切なデザインと術後ケア(保湿・圧迫固定・紫外線対策)により、傷跡をほとんど目立たなくすることが可能です。

参考)包茎手術について|札幌中央クリニックメンズ


ツートンカラーは包茎手術の代表的な審美的合併症で、縫合部を境に亀頭側のピンク色と陰茎根部側の茶色が明確に分かれてしまう状態です。この現象は、グラデーション状に変化する中間色の包皮を2~5cm切除することで、色調の急激な変化が生じるために起こります。ツートンカラーを避けるには、亀頭直下法や根部切除法など、切除線の位置を工夫した術式を選択することが重要です。

参考)包茎手術のツートンカラーとは?原因や修正可能なクリニックも

包茎手術における先進的デバイスと技術

レーザー包茎手術は、CO₂レーザーを用いて包皮切除を行う先進的な術式です。150名の患者を対象とした前向きランダム化比較試験では、従来の手術と比較してレーザー群で手術時間が短縮(21.1±2.7分 vs 10.5±0.9分、p<0.05)し、出血量が少なく、術後合併症率が低下したと報告されています。術後疼痛もVAS(Visual Analogue Scale)評価で術後1日目および7日目ともに有意に軽減されました。唯一の欠点は、従来法と比較して創傷治癒に若干の遅延が見られる可能性があることです。​ Shang Ring™は中国で開発された二重のプラスチックリング構造を持つ使い捨てデバイスで、内側リングと外側リングの間に包皮を挟み込んで圧迫壊死させる方法です。702名の成人患者を対象とした大規模症例集積研究では、平均手術時間が4.26±2.57分と非常に短く、リング除去までの期間は11.59±3.28日でした。主な合併症は感染(1.14%)、術後出血(0.3%)で、夜間勃起時の軽度疼痛が全患者に認められました。軽度の浮腫は通常2週間程度で消失しますが、高度浮腫では2~3ヶ月持続する症例や、半年以上継続する稀なケースも報告されています。​ 縫合材料の選択肢として、従来のナイロン糸に加えて、Quill™無結節組織閉鎖デバイス(双方向バーブ縫合糸)や、DERMABOND(2-オクチルシアノアクリレート系組織接着剤)、包茎手術用ステープラーデバイスなどが開発されています。70症例でQuill™デバイスを用いた研究では、術後血腫1例(1.4%)、創部感染1例(1.4%)、性交時疼痛1例の合併症が報告され、全て保存的治療で改善しました。​

参考リンク:包茎手術の最新技術と医療機器についての科学的レビューが掲載されています

Phimosis in Adults: Narrative Review of the New Available Devices and the Standard Treatments

包茎治療の費用体系と保険適用条件

包茎手術の費用は保険適用の可否によって大きく異なります。保険適用となるのは真性包茎またはカントン包茎で、排尿障害や繰り返す炎症など医学的必要性が認められる場合に限定されます。保険診療では環状切開法または背面切開法が標準術式となり、3割負担で手術費用は1~3万円程度となりますが、機能改善が主目的で審美性の選択肢は限られます。

参考)包茎手術の費用が気になる方へ!保険適用される条件や費用相場を…


自由診療での包茎手術費用は、術式やクリニックによって幅広い価格帯が設定されています。スタンダード包茎手術では仮性包茎が5~5.5万円、カントン包茎が8.5~9.35万円、真性包茎が12~13.2万円程度が相場です。亀頭直下埋没法などの美容形成術では7.7万円から、Vカット法では27.5万円、オーダーメイド特別手術では33万円程度の費用が必要となります。

参考)包茎手術にかかる費用は?相場・保険適用・クリニック選びのポイ…


費用が高額になる場合は高額療養費制度の活用が可能です。この制度では、ひと月の医療費が自己負担限度額(所得によって異なる)を超えた場合、超過分が後日払い戻されます。事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いが自己負担限度額までで済みます。​

クリニック選定基準 確認事項 重要度
費用の透明性 総額の明示、追加料金の有無 ⭐⭐⭐
カウンセリング体制 十分な説明時間、質問しやすさ ⭐⭐⭐
術後アフターケア 定期診察の回数、緊急時対応 ⭐⭐⭐
医師の技術と経験 症例数、専門性 ⭐⭐⭐

包茎手術のダウンタイムと術後ケア

包茎手術は局所麻酔下で30~40分程度で完了し、日帰り治療が可能です。手術中は麻酔により痛みを感じませんが、術後に麻酔効果が薄れると個人差はあるものの、ズキズキとした痛みが生じる場合があり、その際は痛み止めを使用します。​
術後の入浴制限については、手術当日はシャワーや入浴は禁止で、翌日からシャワーのみ可能となります。湿潤療法を採用しているクリニックでは、術後3日目から包帯を巻いたままシャワーを浴び、シャワーで創部を洗浄する方式が推奨されています。湯船につかっての入浴は抜糸後(術後8~10日目以降)から可能です。

参考)宮川クリニック – 愛知県丹羽郡扶桑町の婦人科・泌尿器科・内…


性行為(性交渉・マスターベーション)は抜糸が完了し、医師の許可が出るまで禁止です。湿潤療法では術後14日目から、従来法では術後21日目から再開可能となります。運動については、ランニング程度の軽い運動は術後1週間から、身体接触を伴うスポーツや激しい運動は3~4週間程度控える必要があります。

参考)包茎手術後に注意すべきことは?日常生活に戻れるまでの期間の目…


縫合糸の選択では、抜糸不要の吸収糸と抜糸が必要なナイロン糸から選べるクリニックが多くあります。ナイロン糸の場合は術後2週間で抜糸が可能ですが、吸収糸は抜糸しない場合、糸が溶けて脱落するまで5~6週間かかるため、ダウンタイムは長くなります。遠方の患者や再来院が困難な場合は吸収糸の選択が推奨されます。​

参考リンク:包茎手術後の詳細な生活指導と段階的なケア方法が解説されています

包茎手術後の注意 – 宮川医院

包茎治療におけるカウンセリングとクリニック選択

包茎手術を検討する際、医療機関でのカウンセリングは極めて重要なプロセスです。カウンセリングでは、医師による包茎の状態診断、最適な手術方法の提案、費用とリスクの説明、術後経過の見通しなど、具体的な情報提供を受けることができます。理想的なカウンセリングの要件として、丁寧な説明があること、質問しやすい雰囲気であること、費用について明確な提示があること、リスクや合併症についても正直に話してくれることが挙げられます。

参考)https://www.mens-life-clinic.com/medical/phimosis/column/column96/


術後のアフターケア体制も安心して治療を受ける上で不可欠な要素です。確認すべき項目として、術後診察の回数とスケジュール、緊急時の連絡先と対応時間、相談体制(電話・メール・窓口など)があります。遠方の患者でも安心できるよう、術後の経過報告を写真で行えるサポートを提供しているクリニックもあります。

参考)https://www.mens-life-clinic.com/medical/phimosis/column/column105/


クリニック選びで避けるべき落とし穴として、費用の安さだけで即決することが挙げられます。広告やホームページに記載された費用と実際の請求額が異なるケース、「切らない包茎手術」など効果が一時的で何度も繰り返す必要がある治療法を勧められるケース、不要なオプション治療を無理に勧められるケースなどが報告されています。明確な治療内容の提案があるか、費用の総額が事前に明示されるか、追加料金の発生条件が明確かなど、慎重に確認することが重要です。​

参考リンク:包茎治療のクリニック選びで重視すべきポイントと注意点が医師監修で解説されています

【医師が監修】包茎治療・手術のクリニック選びに迷ったら!