シンチグラフィの種類と放射性同位元素

シンチグラフィの種類と特徴

シンチグラフィの種類と用途
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骨シンチグラフィ

骨転移や骨折の検出に使用される代表的な核医学検査

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脳血流シンチグラフィ

認知症や脳血管障害の診断に活用される機能評価検査

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心筋シンチグラフィ

心筋梗塞や狭心症の病態評価を行う循環器診断検査

シンチグラフィの基本分類と定義

シンチグラフィは、体内に投与した放射性同位体から放出される放射線を検出し、その分布を画像化した検査法です 。核医学検査やRI検査とも呼ばれ、腫瘍や各種臓器の機能診断に幅広く使用されています 。検査の種類は約30種類にも及び、それぞれ異なる臓器や病態の評価を目的としています 。

参考)シンチグラフィ – Wikipedia

シンチグラフィの大きな特徴は、CT検査やMRI検査が主に形態的な評価を行うのに対し、臓器の機能や代謝情報を評価できる点にあります 。放射性医薬品の種類によって、どの臓器に分布し、どのような機能を反映するかが決まるため、検査目的に応じた適切な薬剤選択が重要となります 。

参考)シンチグラフィ・SPECT検査

各検査には特定の放射性同位元素が用いられ、テクネチウム99m(^99m^Tc)、タリウム201(^201^Tl)、ガリウム67(^67^Ga)、ヨウ素123(^123^I)などが代表的です 。これらの核種は半減期が短く、体への放射線影響を最小限に抑えながら診断に必要な情報を提供します 。

参考)http://hospital.tokuyamaishikai.com/introduce/%EF%BD%92%EF%BD%89%E6%A4%9C%E6%9F%BB/

シンチグラフィの骨関連検査種類

骨シンチグラフィは、テクネチウム99m(^99m^Tc)を用いた代表的な核医学検査で、骨代謝が盛んな部位に集まる性質を利用しています 。^99m^Tc-HMDPや^99m^Tc-MDPといった骨親和性薬剤が使用され、骨転移の検索に特に有用です 。
この検査は、静脈注射後約4時間経過してから撮影を行うのが一般的で、全身の骨格系を一度に評価できる利点があります 。骨転移、骨折、骨髄炎、関節炎などの診断において高い診断能を示し、早期発見に重要な役割を果たしています 。

参考)シンチ検査

また、心アミロイドーシスの診断において、^99m^Tcピロリン酸シンチグラフィが ATTR心アミロイドーシスに対する特異的な診断法として注目されています 。この検査では、ATTR型アミロイドーシスに特徴的な心筋集積パターンを示し、確定診断に重要な情報を提供します 。

参考)核医学検査

シンチグラフィの脳血流・神経系検査種類

脳血流シンチグラフィは、テクネチウム99m(^99m^Tc-ECD)やヨウ素123(^123^I-IMP)を用いて脳の血流を評価する検査です 。現在、多くの施設で^99m^Tc-ECDと^123^I-IMPの2種類の薬剤が使用されており、検査の前日や当日には食事制限は必要ありません 。

参考)脳血流シンチグラフィ|国立国際医療研究センター病院

この検査は、脳血管障害の病態評価、認知症や変性疾患の鑑別診断、てんかん焦点の検出に役立ちます 。特に認知症の診断において重要な役割を果たしており、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の鑑別、進行度評価に広く用いられています 。
検査時間は30分から1時間程度で、目からの情報による脳の活動を抑えるため目隠しをして実施されます 。脳血流は脳血管の要因のみならず、脳の変性疾患でも低下することが知られており、疾患の鑑別や早期診断において高い有用性を示しています 。
脳脊髄腔シンチグラフィでは、インジウム111(^111^In)が使用され、髄液の流れや髄液漏れの診断に用いられています 。この検査は正常圧水頭症の診断や脳脊髄液減少症の評価において重要な検査手法となっています 。

シンチグラフィの心血管系検査種類

心筋シンチグラフィは、心臓の血流状態を評価する代表的な循環器核医学検査で、タリウム201(^201^Tl)やテクネチウム99m(^99m^Tc)を用いて実施されます 。負荷心筋シンチグラフィでは、運動負荷または薬物負荷をかけた状態と安静時の2回検査を行い、心筋の虚血性変化を詳細に評価します 。

参考)心筋シンチグラム

検査では自転車エルゴメータによる運動負荷や、ペルサンチンなどの薬物負荷が用いられ、心拍数を目標値まで上昇させた後に放射性医薬品を投与します 。運動直後と安静時の画像を比較することで、心臓のどの部位で血流が低下しているかを正確に把握できます 。
^99m^Tc-テトロホスミンを用いた心筋シンチグラフィは、冠動脈疾患の診断において高い精度を示し、狭心症心筋梗塞の鑑別診断に重要な役割を果たしています 。負荷をかけた場合に心臓に検査薬が十分集まらず、安静時に集まった場合は心臓が負荷に耐えられない状況と判断され、負荷・安静ともに集積が悪い場合は心筋梗塞の可能性が疑われます 。

参考)心筋シンチグラフィ|国立国際医療研究センター病院

肺血流・換気シンチグラフィでは、テクネチウム99m(^99m^Tc)、キセノン133(^133^Xe)、クリプトン81m(^81m^Kr)が使用され、肺塞栓症の診断や肺機能評価に用いられています 。

シンチグラフィの腹部・消化器系検査種類

肝シンチグラフィには複数の種類があり、それぞれ異なる診断目的で使用されています。肝受容体シンチグラフィ(アシアロシンチ)では、^99m^Tc-GSAを用いて肝機能を詳細に評価します 。この検査は肝細胞膜表面のアシアロ糖タンパク受容体と特異的に結合し、肝予備能の評価が可能です 。

参考)肝受容体アシアロシンチとは?評価の仕方は?基準値は?

^99m^Tc-GSA肝受容体シンチでは、HH15とLHL15という定量的指標が重要な評価項目となります 。HH15は心臓での集積を示し、値が低いほど正常(0.5-0.6)で、LHL15は肝臓への集積を示し、値が高いほど正常(0.91-0.96)とされています 。肝機能が悪化するとHH15が上昇し、LHL15が低下する特徴的なパターンを示します 。
通常の肝シンチグラフィでは、テクネチウム99m(^99m^Tc)を用いて肝硬変、急性・慢性肝炎の診断や、肝細胞癌、肝転移、肝嚢胞などの診断に使用されます 。黄疸症例でも肝機能の評価が可能な点が大きな利点となっています 。

参考)301 Moved Permanently

腎シンチグラフィでは、テクネチウム99m(^99m^Tc)やヨウ素131(^131^I)を用いて腎機能や形態を評価します 。腎血流や糸球体濾過機能、尿細管機能の詳細な解析が可能で、慢性腎疾患の診断や治療効果の判定に重要な役割を果たしています 。

シンチグラフィの特殊・炎症性検査種類

ガリウムシンチグラフィは、炎症や腫瘍の検出を目的とした特殊な核医学検査で、ガリウム67(^67^Ga)を用いて実施されます 。主な適応疾患は「SLIM」として知られ、サルコイドーシス(Sarcoidosis)、悪性リンパ腫(Lymphoma)、炎症・感染(Inflammation)、悪性黒色腫(Malignant melanoma)の診断に特に有用です 。

参考)301 Moved Permanently

^67^Gaは炎症巣に集積する性質を持ち、感染性心内膜炎をはじめとした不明熱の原因検索に広く利用されています 。集積機序としてはトランスフェリンと結合し、トランスフェリンレセプターを介して細胞と結合すると考えられています 。

参考)ガリウムシンチグラフィとは?画像診断のポイントは?

検査法としては^67^Ga(74~111MBq)を静注し、48~72時間後に全身前後像の撮像を行うのが一般的です 。半減期は78時間と長く、前処置として下剤を投与することが推奨されています 。循環器領域では心筋炎心サルコイドーシス、感染性心内膜炎の診断において重要な役割を果たします 。
甲状腺・副甲状腺シンチグラフィでは、ヨウ素123(^123^I)、テクネチウム99m(^99m^Tc)、タリウム201(^201^Tl)が使用されます 。副甲状腺シンチグラフィでは^99m^Tc-MIBIを用いたダブルフェーズ法やサブトラクション法により、副甲状腺機能亢進症の局在診断が可能です 。

参考)カーディオライト®注射液第一 – PDRファーマ株式会社