リンパ球の種類と機能特性を理解する

リンパ球の種類と免疫機能

リンパ球の基本分類
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T細胞(Tリンパ球)

胸腺で成熟し、細胞性免疫の中心的役割を担う

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B細胞(Bリンパ球)

抗体産生細胞への分化により液性免疫を担当

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NK細胞

自然免疫の主要細胞として即座に標的を攻撃

リンパ球の基本的な分類と起源

リンパ球は白血球の主要構成要素として、生体防御システムにおいて中心的な役割を果たす免疫細胞です 。すべてのリンパ球は骨髄の造血幹細胞から発生し、その後の成熟過程において異なる特性を獲得していきます 。

参考)リンパ球の役割 – リンパ腫のお話

リンパ球は大きく以下の3つの主要な種類に分類されます。

各リンパ球は特異的な表面マーカーを発現し、形態学的にも機能的にも明確に区別されます 。正常な成人では、末梢血白血球に占めるリンパ球の割合は26-46%とされています 。

参考)リンパ球

リンパ球T細胞の多様な機能サブセット

T細胞は胸腺(Thymus)で成熟することからその名称が付けられ、細胞性免疫の中核を担います 。T細胞は表面に発現するCD分子によって主要なサブセットに分類されます。

参考)T細胞

ヘルパーT細胞(CD4陽性)は免疫応答の司令塔として機能し、他の免疫細胞を活性化します 。さらに詳細な分類として以下が知られています:

キラーT細胞(CD8陽性)は、ウイルス感染細胞やがん細胞を直接攻撃・破壊する細胞傷害性を持ちます 。パーフォリンやグランザイムといった細胞毒性物質を放出し、標的細胞のアポトーシスを誘導します 。

参考)疾患研究に役立つT細胞の基本

制御性T細胞は、TGF-βやIL-10を産生し、過剰な免疫応答を抑制する重要な機能を担います 。

リンパ球B細胞の抗体産生機構

B細胞は骨髄(Bone marrow)で分化・成熟することからBリンパ球と呼ばれ、液性免疫の主要な担い手です 。B細胞受容体(BCR)を発現し、特定の抗原を認識する能力を持ちます 。

参考)B細胞

抗原刺激を受けたB細胞は、同一抗原特異性を持つヘルパーT細胞の補助により活性化され、形質細胞へと分化します 。形質細胞は抗体産生工場として機能し、大量の免疫グロブリンを合成・分泌します 。

参考)http://www.gakkenshoin.co.jp/book/ISBN978-4-7624-7654-9/03.pdf

B細胞の分化過程は以下のように進行します。

リンパ球NK細胞の自然免疫機能

ナチュラルキラー(NK)細胞は、「生まれつきの殺し屋」として知られ、T細胞やB細胞とは異なり抗原受容体を持たない独特な免疫細胞です 。自然免疫の中心的役割を果たし、全身をパトロールしながらがん細胞やウイルス感染細胞を監視しています 。

参考)https://rebirthel.com/wordpress/wp-content/themes/rebirthel/assets/immunology_15.pdf

NK細胞の特徴的な機能メカニズム。

  • 直接的細胞傷害:グランザイムとパーフォリンを分泌し、標的細胞膜に穴を開けて破壊
  • アポトーシス誘導:Fasリガンドなどの細胞死誘導分子を発現し、標的細胞の自滅を促進
  • 受容体による認識:活性化受容体と抑制性受容体の2種類を使い分け、正常細胞と異常細胞を識別

NK細胞は事前の抗原暴露や感作を必要とせず、初回接触時から即座に標的を攻撃できる特性を持ちます 。健康な人でも毎日3,000-6,000個のがん細胞が発生しますが、NK細胞がこれらを排除し続けることで悪性腫瘍の発生を防いでいます 。

参考)悪性腫瘍の予防に対する自家NK細胞療法 |リブラささしま メ…

リンパ球減少症の臨床的意義と病態

リンパ球減少症は、末梢血中のリンパ球数が1,500/μL以下に減少した状態を指し、重要な免疫学的異常として認識されています 。各リンパ球サブセットの減少は、それぞれ異なる感染リスクを引き起こします。

参考)リンパ球減少症 – 11. 血液学および腫瘍学 – MSDマ…

主要な原因と病態機序

B細胞減少は抗体産生能の低下により細菌感染のリスクを増大させ、T細胞やNK細胞の減少はウイルス、真菌、寄生虫感染に対する防御能を損ないます 。重度のリンパ球減少症では感染制御が困難となり、生命に関わる状況となる可能性があります 。

参考)リンパ球減少症 – 13. 血液の病気 – MSDマニュアル…