ファビピラビルの副作用とその対策について

ファビピラビルの副作用

ファビピラビルの主な副作用
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高尿酸血症

血中尿酸値が上昇し、痛風発作のリスクが高まります

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肝機能障害

AST・ALTの上昇により肝臓への負担が増加します

💊

消化器系症状

下痢や嘔気などの消化器系副作用が現れることがあります

ファビピラビルの血中尿酸値上昇

ファビピラビルによる最も頻度の高い副作用は血中尿酸値の上昇です 。特定臨床研究では投与患者の84.1%で血中尿酸値上昇が認められました 。この副作用は薬物の代謝機序と深く関連しており、尿酸の生成促進により発現します 。
参考)https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_favip_0928.pdf
血中尿酸値上昇により痛風発作のリスクが高まるため、既に高尿酸血症や痛風の既往歴がある患者では特に注意が必要です 。しかし、実際の臨床研究では痛風発作を発症した患者は報告されませんでした 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066852.pdf

ファビピラビルの肝機能への影響

ファビピラビルは肝機能に影響を与え、肝酵素の上昇が認められます 。国内外の観察研究では、肝機能障害・肝逸脱酵素上昇が7.3%の患者で報告されています 。特定臨床研究では、ALT上昇が8.5%、AST上昇が4.9%の患者で認められました 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/000659872.pdf
重篤な副作用として劇症肝炎、肝機能障害、黄疸が報告されており、特に肝機能障害患者への投与には慎重な検討が必要です 。Child-Pugh分類による重度肝障害患者では、血中曝露量が6倍程度上昇するため注意が必要です 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000151799.pdf
肝機能障害の多くは一過性であり、投与終了後に改善することが確認されています 。しかし、投与期間中は定期的な肝機能検査によるモニタリングが不可欠です 。

ファビピラビルの重篤な副作用

ファビピラビルでは、頻度は低いものの重篤な副作用が報告されています 。最も重要な副作用は催奇形性であり、動物実験では初期胚の致死と催奇形性が確認されています 。このため、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌とされています 。
参考)新型コロナへのアビガン投与、妊娠可能性ある女性では着床不全リ…
精神神経系の副作用として、異常行動や痙攣、精神神経症状(意識障害、譫妄、幻覚、妄想等)が報告されています 。これらの症状は特にインフルエンザ罹患時に転落等のリスクを伴う可能性があります 。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs_reexam/2023/P20230515001/400022000_22600AMX00533_A100_1.pdf

ファビピラビルの消化器系副作用

ファビピラビルによる消化器系の副作用は比較的軽度ですが、患者のQOLに影響を与える可能性があります 。最も一般的な消化器系副作用は下痢であり、発現頻度は4.5%~5%程度と報告されています 。
参考)【薬剤師向け】「アビガン(ファビピラビル)」とは?効果や副作…
その他の消化器系副作用として、悪心・嘔吐、腹痛、胃炎などが報告されています 。重篤な副作用として出血性大腸炎も報告されており、注意深い観察が必要です 。
多くの消化器系副作用は軽度から中等度であり、対症療法により管理可能です 。しかし、症状が持続または悪化する場合は速やかな医師への相談が必要です 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8443786/

ファビピラビル投与時の独自のリスク管理

ファビピラビルの安全な使用には、従来の抗ウイルス薬とは異なる独自のリスク管理アプローチが必要です 。最も重要な管理項目は催奇形性リスクに対する厳格な避妊管理であり、女性患者では投与終了後10日間、男性患者では7日間の避妊が必要です 。
参考)ファビピラビル(アビガン) href=”https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/favipiravir/” target=”_blank” rel=”noopener”>https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/favipiravir/amp;#8211; 呼吸器治療薬 -…
長期使用に関するデータが限られているため、耐性ウイルスの出現や慢性的な肝機能障害のリスクも考慮する必要があります 。現在のガイドラインでは短期間の使用に限定し、長期投与が必要な場合は慎重なリスク評価が求められています 。
定期的な血液検査による尿酸値、肝機能、腎機能のモニタリングシステムの構築により、早期発見・早期対応が可能となります 。特に高齢者では血小板減少などの血液系異常のリスクが高いため、より頻繁な監視が必要です 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8479638/