ミカファンギンの副作用と対処法について

ミカファンギンの副作用

ミカファンギンの主要な副作用
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血液障害

白血球減少、溶血性貧血、血小板減少

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循環器系副作用

ショック、アナフィラキシー、高血圧

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肝腎機能障害

肝機能障害、黄疸、急性腎障害

ミカファンギンの重大な副作用

ミカファンギンナトリウムの投与に際して注意すべき重大な副作用には、血液障害、ショック、肝機能障害、急性腎障害などがあり、適切な観察と対処が必要です 。血液障害では、白血球減少(頻度不明)、好中球減少(1.1%)、溶血性貧血(血管内溶血を含む)、血小板減少(いずれも頻度不明)が報告されています 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068888.pdf
特に溶血性貧血については、投与開始直後にあらわれることもあるため、溶血が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う必要があります 。ショックやアナフィラキシー(いずれも頻度不明)では、血圧低下、口内異常感、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の症状が出現し、投与中止と気道確保、アドレナリン、ステロイド、抗ヒスタミン剤の投与等が必要です 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00009541.pdf
肝機能障害・黄疸(いずれも頻度不明)では、AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害が認められ 、急性腎障害等の重篤な腎障害(頻度不明)も報告されています 。これらの重篤な副作用は早期発見と適切な対処により重篤化を防ぐことが可能です。

ミカファンギン投与時の肝機能障害対策

ミカファンギンによる肝機能への影響は注意深いモニタリングが必要な副作用の一つで、肝機能検査値の上昇は比較的高頻度に認められますが、その多くは軽度かつ一過性です 。肝機能検査値上昇の発現頻度は2-8%とされており、多くは投与開始後1-2週間以内に発現し、投与中止後通常は速やかに改善します 。
参考)ミカファンギンナトリウム(ファンガード) href=”https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/micafungin-sodium/” target=”_blank” rel=”noopener”>https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/micafungin-sodium/amp;#8211; 呼…
小児においては成人に比べ肝機能障害の頻度が高いことが観察されており、小児での投与時は特に注意が必要です 。肝機能障害や黄疸があらわれることがあるため、定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分観察することが重要です 。既存の肝疾患を有する患者や他の肝毒性のある薬剤を併用している患者では特に注意が必要で、重度の肝機能障害や黄疸を認めた際にはミカファンギンの投与中止を検討する必要があります 。
ラットに4週間反復静脈内投与した試験において、高用量群の32mg/kg投与群に血中AST及びALT等の上昇と単細胞壊死等の肝障害像が認められており 、長期間の高用量投与では肝変異細胞巣の増加や肝細胞腫瘍のリスクも示唆されています 。

ミカファンギンの血液学的副作用監視法

ミカファンギンによる血液学的副作用は比較的まれですが、発現した場合には重篤化する可能性があるため注意深い観察が重要です 。報告されている血液学的副作用には貧血(1-3%)、白血球減少(<1%)、血小板減少(<1%)などがあります 。 白血球減少、好中球減少、溶血性貧血(血管内溶血を含む)、血小板減少があらわれることがあるため、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うことが必要です 。これらの副作用は多くの場合で基礎疾患や併用薬の影響も考慮する必要があり、ミカファンギンとの因果関係の評価が難しいことがあります 。 海外臨床試験では、白血球減少22例(6.2%)、貧血10例(2.8%)、血小板減少9例(2.5%)などの血液学的異常が報告されており 、定期的な血液検査によるモニタリングを行い異常値を認めた際には速やかに対応することが大切です 。特に好中球減少は1.1%の頻度で報告されており、免疫機能の低下につながる可能性があるため継続的な監視が必要です 。 参考)ミカファンギンNa点滴静注用50mg「ニプロ」の効能・副作用…

ミカファンギンの消化器系副作用と管理

ミカファンギンの使用に伴い発現する消化器系副作用として、発熱、悪心・嘔吐(2-5%)、下痢などの消化器症状が最も頻度の高い副作用として挙げられます 。国内臨床試験では、下痢、軟便、悪心、嘔吐が報告されており 、これらの症状の多くは軽度で一過性であり、投与継続中に自然軽快することが多いとされています 。
海外臨床試験における全患者の2%以上に認められた主な消化器系副作用として、嘔吐14例(4.0%)、嘔気9例(2.5%)、下痢7例(2.1%)、腹痛7例(2.0%)が報告されています 。また、別の海外試験では、嘔気14例(4.3%)、嘔吐9例(2.8%)、下痢7例(2.1%)という報告もあります 。

消化器症状の管理においては、症状の程度と持続期間を評価し、軽度で一過性の場合は対症療法を行いながら継続監視します。重篤な下痢や嘔吐が持続する場合は、脱水や電解質異常の予防・治療を行い、必要に応じて投与量の調整や一時的な投与中止を検討することが重要です。

ミカファンギンによる過敏症反応の対処法

ミカファンギンによるアレルギー反応や過敏症反応はまれですが、重篤化する可能性があるため注意が必要です 。報告されている過敏症反応には発疹、掻痒感、蕁麻疹、顔面浮腫、そしてまれにアナフィラキシー反応などがあります 。特に初回投与時や投与速度が速い際に発現しやすい傾向があります 。
過敏症反応のリスク因子として、他の薬剤でのアレルギー歴、アトピー素因、初回投与、急速静注が挙げられています 。薬物過敏症の既往歴のある患者、特に他のキャンディン系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者には注意が必要です 。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)などの重篤な皮膚反応も報告されており 、過敏症反応を疑う症状が出現した際には直ちに投与を中止して適切な処置を行う必要があります 。

過敏症反応の早期発見のため、投与開始時は患者の状態を慎重に観察し、皮疹、発熱、呼吸困難などの症状に注意を払うことが重要です。アナフィラキシー反応が疑われる場合は、気道確保、アドレナリン投与、ステロイド投与などの救急処置を迅速に行う必要があります。