神経変性疾患一覧の分類と特徴的症状

神経変性疾患の分類と代表的疾患

神経変性疾患の基本分類
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大脳皮質・基底核系

アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症などが含まれ、認知機能や運動機能に影響を及ぼします

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小脳・脳幹系

脊髄小脳変性症や多系統萎縮症などが含まれ、運動失調や自律神経症状が特徴的です

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脊髄・末梢神経系

筋萎縮性側索硬化症やシャルコー・マリー・トゥース病などが含まれ、筋力低下が主症状です

神経変性疾患の分類方法と特徴

神経変性疾患は、複数の分類方法があります 。古典的には臨床・解剖学的分類として、侵される神経系の部位により大脳、大脳基底核、小脳、脊髄、末梢神経に分けられています 。近年では、神経細胞内に蓄積する異常タンパク質に基づく分類として、プロテイノパチーという概念が重要視されています 。

参考)神経変性疾患 – Wikipedia

具体的には、タウオパチー、TDP-43プロテイノパチー、FUSプロテイノパチー、αシヌクレイノパチー、トリプレットリピート病などに分類されます 。これらの分類により、共通の病態機序を有する疾患群として理解できるようになりました。

神経変性疾患における大脳皮質・基底核病変の症状

大脳皮質・基底核系の神経変性疾患には、アルツハイマー病パーキンソン病、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ハンチントン病などが含まれます 。これらの疾患では、認知機能障害と運動機能障害が主要な症状となります。
アルツハイマー病では、最近の記憶が他の精神機能に比べてはるかに大きな影響を受け、徐々に見当識障害、判断力低下、言語理解の困難などが進行します 。パーキンソン病では、安静時振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害の4大症状が特徴的で、症状は片側から始まり他の部分へ進行する特徴があります 。

参考)アルツハイマー病 – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – …

神経変性疾患における小脳・脳幹病変の症状

小脳・脳幹系の神経変性疾患には、多系統萎縮症と脊髄小脳変性症が代表的です 。これらの疾患では、運動失調が徐々に進行することが共通した症状となります 。

参考)脊髄小脳変性症 (せきずいしょうのうへんせいしょう)とは

脊髄小脳変性症では、歩行時のふらつき、手足の細かい動作の障害、ろれつが回らない構音障害が主要な症状として現れます 。多系統萎縮症では、小脳症状に加えて、パーキンソン症状、起立性低血圧や排尿障害などの自律神経症状が特徴的で、初発症状により MSA-C(小脳型)とMSA-P(パーキンソン病型)に分類されます 。

参考)脊髄小脳変性症

神経変性疾患における脊髄・末梢神経病変の症状

脊髄・末梢神経系の神経変性疾患には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、シャルコー・マリー・トゥース病などがあります 。これらの疾患では、筋力低下と筋萎縮が主要な症状となります。
ALSでは、手指の使いにくさや肘から先の力の低下、筋肉のびくつき(線維束性収縮)、筋肉のこわばりや痙攣、疲れやすさと脱力感が初期症状として現れます 。進行すると、話しにくさ、嚥下困難、呼吸筋の障害により全身の筋肉がやせて力が入らなくなりますが、感覚、視力、聴力、内臓機能は保たれることが特徴的です 。

参考)ALSの初期症状(肩こり・筋肉のびくつき・痛み)を現役医師が…

神経変性疾患の診断における特殊な考慮点

神経変性疾患の診断は一般的な検査では異常がないことも多く、決め手となる所見が少ないため診断が困難な場合があります 。特に発症早期では、年齢の影響や他の疾患との鑑別が重要となります 。

参考)神経変性疾患の診断と治療

進行性核上性麻痺(PSP)は、中年期以降に発症し、易転倒性、核上性注視麻痺、パーキンソニズム、認知症を特徴とします 。初発症状はパーキンソン病に似ていますが、安静時振戦はまれで、歩行時の易転倒性、すくみ足が目立つ点が鑑別のポイントとなります 。近年では、脳のMRIやCT、血流シンチグラフィやドパミントランスポーターシンチなどの精密検査の有用性が指摘され、診断精度の向上に貢献しています 。

参考)進行性核上性麻痺(指定難病5) href=”https://www.nanbyou.or.jp/entry/4115″ target=”_blank” rel=”noopener”>https://www.nanbyou.or.jp/entry/4115amp;#8211; 難病情報セン…