アリドネパッチの効果と機序

アリドネパッチの効果と機序

アリドネパッチの主要効果
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認知症進行抑制効果

アセチルコリンエステラーゼ阻害により記憶障害・見当識障害の進行を遅らせる

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持続的薬物放出

24時間持続的に薬剤が放出され血中濃度の変動が少ない

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服薬コンプライアンス改善

貼付状況が視覚的に確認できるため介護者の負担軽減につながる

アリドネパッチの作用機序とアセチルコリンエステラーゼ阻害効果

アリドネパッチの主要な作用機序は、脳内のアセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害することにあります 。アルツハイマー型認知症では、記憶や学習に重要な神経伝達物質であるアセチルコリンを産生する神経細胞が減少し、脳内アセチルコリン量が低下します 。

参考)アリドネパッチ(ドネペジル)の作用機序【アルツハイマー型認知…

アセチルコリンエステラーゼは、アセチルコリンを分解する酵素として機能しており、この酵素の働きが過剰になると、シナプス間でのアセチルコリン量がさらに減少します 。アリドネパッチに含有されるドネペジルは、このアセチルコリンエステラーゼを選択的に阻害することで、アセチルコリンの分解を抑制し、脳内アセチルコリン濃度を回復させます 。

参考)FAQ|医療関係者向け情報|興和株式会社

この作用により、コリン作動性神経系が賦活され、記憶障害見当識障害といった認知症症状の進行抑制効果が期待されます 。経皮吸収型製剤としての特徴により、持続的な薬物放出が可能で、血漿中ドネペジル濃度の変動が少ないという利点があります 。

参考)https://www.miyabyo.jp/di_topics/docs/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E5%9E%8B%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E6%B2%BB%E7%99%82%E5%89%A4%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%89%E3%83%8D%C2%AE%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%81%E3%80%8D.pdf

アリドネパッチの臨床効果と認知症進行抑制

国内第III相試験において、アリドネパッチはドネペジル経口薬と比較して統計学的に有意差のない有効性を示すことが確認されています 。軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者では27.5mgの1日1回貼付により、高度患者では最大55mgまで増量可能です 。

参考)2023年4月14日から発売 アルツハイマー型認知症治療薬 …

定常状態において、アリドネパッチ27.5mgの1日1回貼付は、ドネペジル塩酸塩経口製剤5mg 1日1回投与と同等のAUC0-24hを示し、生物学的同等性が確認されています 。血漿中ドネペジル濃度は初回貼付後緩やかに上昇し、その後定常状態に達するため、投与開始時を含め用量調節が不要という特徴があります 。
アリドネパッチの効果により、何も治療しない場合と比較して認知症症状の進行を遅らせることが可能です 。特に記憶障害、見当識障害(時間や場所の認識の問題)、日常生活動作能力の低下といったアルツハイマー型認知症の中核症状に対して有効性を発揮します 。

参考)くすりのしおり : 患者向け情報

アリドネパッチの経皮吸収製剤としての特徴

アリドネパッチは、アルツハイマー型認知症治療薬として日本初の経皮吸収型製剤(貼付剤)として2023年4月に発売されました 。経皮吸収型製剤の最大の利点は、薬剤の成分が皮膚から持続的にゆっくり吸収されるため、血液中の薬物濃度の変動が少なくなることです 。

参考)認知症への貼り薬とは?知っておきたい効果や副作用|朝日生命

貼付剤としての特徴により、以下のような患者群に特に有効です:①飲み忘れが多い方、②薬を飲むのを嫌がる方、③薬が上手く飲み込めない方 。介護者にとっても薬剤の使用状況を視覚的に確認できるため、服薬コンプライアンスの改善と介護負担の軽減につながります 。

参考)アリドネパッチ

使用方法は、背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に1日1回1枚を24時間毎に貼り替えます 。毎回貼付部位を変更し、一度貼った場所には7日以上の間隔を空けることで皮膚症状の発生を予防できます 。誤って過剰使用した場合や副作用が出現した場合には、パッチを剥がすことで薬物吸収を即座に阻止できるという安全性上の利点もあります 。

参考)アリドネパッチ27.5㎎

アリドネパッチの副作用と安全性プロファイル

アリドネパッチで最も頻度の高い副作用は貼付部位に関連する皮膚症状です。国内第III相試験において、27.5mg群では適用部位紅斑24.9%(43/173例)、適用部位そう痒感22.5%(39/173例)、接触皮膚炎11.0%(19/173例)が報告されています 。

参考)FAQ|医療関係者向け情報|興和株式会社

高度アルツハイマー型認知症患者を対象とした55mg群では、適用部位紅斑29.7%、適用部位そう痒感25.0%、接触皮膚炎20.3%とやや高い発現率を示しています 。しかし、健康高齢男性を対象とした反復貼付試験では、皮膚症状の多くが3-7日以内に消失することが確認されており、一時的な反応であることが示されています 。
消化器系副作用については、経口薬と同様に下痢、嘔吐、食欲不振などが起こることがありますが、発現率は3%未満と比較的低く、経口薬と大差ありません 。皮膚症状の対処法として、ステロイド軟膏や抗ヒスタミン外用剤の使用、一時休薬、使用中止などの適切な処置が推奨されています 。

アリドネパッチと他の認知症治療薬との比較優位性

アリドネパッチは、既存のリバスチグミン貼付薬(リバスタッチ・イクセロンパッチ)と比較して皮膚副作用の発現率が低い可能性があります。リバスチグミン貼付薬の国内試験では適用部位紅斑39.4%、適用部位そう痒感34.8%、接触性皮膚炎23.7%が報告されており 、アリドネパッチの方が皮膚忍容性に優れている可能性があります。
ドネペジル経口薬との比較では、有効性において統計学的有意差がないことが確認されており 、効果の面では同等性が保たれています。しかし、経皮吸収型製剤としての特徴により、血中濃度の変動が少なく、持続的な薬物供給が可能という利点があります 。
特に、多剤服用患者や嚥下機能低下患者、認知機能低下により服薬管理が困難な患者において、アリドネパッチは有用な治療選択肢となります 。コリンエステラーゼ阻害薬の中で唯一軽度から高度まで全ての重症度に使用可能なドネペジルの貼付剤として、治療継続性の面でも優れた特性を有しています 。

参考)アリドネパッチ(ドネペジル貼付薬)の特徴・副作用|明石市大久…