ケフラールの副作用と安全な使用法

ケフラールの副作用

ケフラールの副作用概要
⚠️

軽度な副作用

発疹、蕁麻疹、下痢、腹痛などの一般的な症状

🚨

重篤な副作用

アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症など

🔬

腸内細菌の変化

抗菌作用による腸内環境の乱れと消化器症状

ケフラールの一般的な副作用症状

ケフラール(セファクロル)は広く使用されているセファロスポリン系抗生物質ですが、様々な副作用を引き起こす可能性があります 。

参考)くすりのしおり : 患者向け情報

主な副作用として報告されている症状には以下があります。

特に消化器症状の中でも下痢は最も頻度が高く、小児においては軟便になりやすい傾向があります 。これは抗菌作用により腸内細菌のバランスが乱れることが原因とされています 。

参考)https://minacolor.com/articles/4791

ケフラールによる重篤な副作用とショック

ケフラールによる最も危険な副作用として、アナフィラキシーショックがあります 。発生頻度は約2,000例に1例程度と報告されており 、服用後数分から1時間以内に症状が現れることが多いです 。

参考)ケフラールカプセル250mgの基本情報(副作用・効果効能・電…

アナフィラキシーの主な症状。

実際の症例では、歯科治療後にケフラール250mgを1カプセル服用した患者が、1時間後に悪寒、嘔吐、下痢、顔面発赤を呈し救急搬送されたケースが報告されています 。このような症状が現れた場合は直ちに使用を中止し、緊急医療機関での治療が必要です。

ケフラールによる中毒性表皮壊死融解症とその症状

中毒性表皮壊死融解症(TEN)は、ケフラールの重篤な副作用の一つで、ライエル症候群とも呼ばれます 。この疾患は皮膚の広範囲な剥離を特徴とし、体表面積の10%以上に水疱やびらんが生じた場合に診断されます 。

TENの症状。

  • 全身症状:高熱、のどの痛み、全身倦怠感、食欲低下
  • 皮膚症状:全身に大小さまざまな紅斑、水疱、びらんが多発
  • 粘膜症状:口唇・口腔粘膜、鼻粘膜の発赤とびらん
  • 眼症状:結膜の充血、眼脂(めやに)

薬害救済制度の記録によると、ケフラールカプセル250mgによる中毒性表皮壊死症で視力障害1級の認定を受けた症例も報告されており 、その重篤性が示されています。皮膚・粘膜病変の進行は非常に早く、症状は急激に悪化するため、早期の発見と適切な治療が極めて重要です 。

参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001mgio-att/2r9852000001mgm4.pdf

ケフラールによる間質性肺炎とPIE症候群

ケフラールは間質性肺炎やPIE症候群(好酸球性肺炎)といった肺に関する重篤な副作用を引き起こすことがあります 。これらの副作用は頻度不明とされていますが、発症すると重篤な経過をたどる可能性があります。

参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00062324.pdf

間質性肺炎・PIE症候群の症状。

PIE症候群は急性経過をとることが多く、薬剤服用後1週間以内に呼吸困難、乾性咳、発熱が出現します 。気管支肺胞洗浄検査では好酸球分画の増加(25%を超える、平均約40%)が特徴的な所見となります 。
これらの肺疾患が疑われる場合には、直ちにケフラールの投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与などの適切な処置を行う必要があります 。

ケフラールと腸内細菌叢の関係性

ケフラールによる消化器系副作用の背景には、腸内細菌叢への影響があります。腸内には100兆個以上もの腸内細菌が住みついているとされ 、抗生物質の使用により、このバランスのとれた腸内細菌叢が乱れることが副作用の原因となります 。

参考)抗菌薬を服薬してからの下痢 – 札幌はたけやま内科・胃カメラ…

腸内細菌叢への影響。

特に高齢者や基礎疾患を持つ患者では、C.difficileによるCDIのリスクが高まります 。CDIでは激しい下痢、発熱、腹痛、食欲低下、時には血便などを認め、軽症から死亡例まで幅広い重篤度を示すことが報告されています 。
また、セファロスポリン系抗生物質は高齢者においてビタミンK欠乏による出血傾向を引き起こすことがあり 、これも腸内細菌叢の変化に関連した副作用の一つです。

参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00044326.pdf