パクリタキセルとカルボプラチンの副作用と対策

パクリタキセルとカルボプラチンの副作用

パクリタキセルとカルボプラチンの主要副作用
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骨髄抑制

白血球・血小板・赤血球の減少により感染症や出血リスクが高まります

末梢神経障害

手足のしびれや痛み、感覚異常が生じる重要な副作用です

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アレルギー反応

投与中から投与後30分以内に発症するリスクがあります

パクリタキセルによる骨髄抑制と感染症リスク

パクリタキセルによる骨髄抑制は、細胞分裂の活発な骨髄が障害されることで発症します 。白血球(好中球)の減少により易感染状態となり、発熱性好中球減少症のリスクが高まります 。投与後7〜14日目に最低値を示すため、この期間は特に注意が必要です 。

参考)カルボプラチン・パクリタキセル療法

感染症の予防には、うがいや手洗いの徹底、人込みの回避が重要です 。発熱、咳、寒気、のどの痛み、排尿時痛などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関への連絡が必要になります 。重度の好中球減少に対してはG-CSF製剤の投与が検討されます 。

参考)https://www.jichi.ac.jp/center/sinryoka/yakuzai/kensyuukai/gankagaku/fujinka/CBDCA_PTX_20240411.pdf

カルボプラチンによる血小板減少と出血リスク

カルボプラチンの主要な副作用として血小板減少があり、他のプラチナ製剤と比較して顕著な特徴を示します 。血小板減少は70-80%の高い発現頻度を示し、用量制限毒性となることが多いとされています 。発現時期は投与後14〜28日目がnadirとなります 。

参考)カルボプラチン(CBDCA)(パラプラチン) href=”https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/carboplatin/” target=”_blank” rel=”noopener”>https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/carboplatin/amp;#8211;…

血小板減少による出血リスクに対しては、圧迫による内出血や鼻血、血便、血尿などに注意が必要です 。けがや打撲に注意し、かみそりの使用を避けて電気かみそりを使用することが推奨されます 。血小板数が1万/μL未満となった場合は輸血が検討されます 。

パクリタキセルによる末梢神経障害の特徴

パクリタキセルによる末梢神経障害は軸索障害型で、神経の軸索に存在する微小管が障害されることにより発現します 。四肢や足底部の感覚異常、灼熱感が手袋靴下型の分布で現れるのが特徴です 。1回投与量175mg/㎡以上、総投与量500mg/㎡以上で発症リスクが高くなります 。
症状は可逆的とされていますが、投与中止後も症状が遷延することがあります 。対策としてマッサージによる末梢循環の改善、転倒や火傷防止の指導が重要です 。薬物治療として、デュロキセチン、ミロガバリン、牛車腎気丸などが用いられることがあります 。

パクリタキセルによるアレルギー症状の予防と対応

パクリタキセルによるアレルギー症状は、主に添加剤のポリオキシエチレンヒマシ油に起因するヒスタミン遊離作用が原因とされています 。症状は点滴開始後2〜3分以内、ほとんどが30分以内に発生します 。潮紅、呼吸困難蕁麻疹、掻痒感などが主な症状です 。
予防のため、パクリタキセル投与30分前までにジフェンヒドラミンファモチジン(またはラニチジン)、デキサメタゾンの前投薬が必須です 。初回投与時だけでなく、2回目以降の点滴時にも症状が現れることがあるため、毎回慎重な観察が必要です 。症状出現時は薬剤の変更や脱感作療法が検討されます 。

パクリタキセルとカルボプラチン併用時の独自副作用対策

パクリタキセルとカルボプラチンの併用療法では、相乗的な骨髄抑制作用により重度の好中球減少や血小板減少を引き起こす危険性があります 。併用時は投与量や投与スケジュールの調整、G-CSF製剤の予防的投与が重要な対策となります 。
制吐薬の適正使用において、中等度催吐リスクに分類されますが、高用量カルボプラチン(AUC≧4)の場合は高度催吐リスクに準じた制吐療法が推奨されます 。5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾン、NK1受容体拮抗薬を組み合わせた制吐薬プロトコールが標準的に用いられます 。
脱毛に関しては、投与2〜3週後から症状が発現し、治療終了後6〜8週後には毛が生え始めます 。新しく生えてきた毛質が一時的に変わることがありますが、約半年でほぼ回復します 。ウィッグや帽子、低刺激シャンプーの使用が推奨されます 。
関節痛・筋肉痛は投与2〜3日後に発現することが多く、1週間以内に自然軽快します 。近年、神経障害性疼痛の可能性も報告されており、NSAIDsや芍薬甘草湯による薬物治療が行われます 。
間質性肺炎のリスクもあり、軽度の発熱、咳などの風邪様症状から始まることが多いため、このような症状が現れた場合は自己判断せずにすぐに受診することが重要です 。特に治療前から肺に炎症がある患者や肺線維症を指摘されている患者では発症リスクが高くなります 。