不正乱視とハードコンタクトの矯正効果と選択基準

不正乱視とハードコンタクト

不正乱視のハードコンタクト治療概要
👁️

角膜表面の不規則な歪み

角膜がデコボコになり焦点が複数できる状態

🔍

涙液レンズによる矯正

ハードレンズと角膜間の涙で表面を平滑化

⚕️

専門的な処方が必要

個人の角膜形状に合わせた特殊フィッティング

不正乱視の症状と見え方の特徴

不正乱視では焦点が定まらないため、物がぼやけて見えたり、二重・三重にブレて見えたりします 。特に線や文字がダブって見える症状が顕著で、夜間には明るい光からのまぶしさが増加し、対向車のライトなどがギラギラと眩しく感じたり、光が滲んで見える現象が起こります 。

参考)https://www.miyata-ganka.com/astigmatism

また光源が滲んで見えたり、光の周りに星のような模様が見えることもあります 。これらの症状は距離に関係なく現れ、視界全体が歪んだり不鮮明になることで日常生活に大きな支障をきたします。

参考)https://lens-shop.miteme.co.jp/a/blog/post/01-016

眼精疲労、頭痛、肩こりなどの身体症状も伴いやすく、はっきり見ようとして目を細めたりまばたきが増えることで、さらに目の負担が増加する悪循環に陥りがちです 。

不正乱視にハードコンタクトが効果的な矯正原理

不正乱視の矯正においてハードコンタクトレンズが最適とされる理由は、涙液レンズの形成にあります 。ソフトコンタクトレンズは柔らかいため、角膜の凹凸に沿って変形してしまい、角膜の不規則な歪みを矯正できません 。

参考)https://glassfactory-shop.jp/blog/2021/04/%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E4%B9%B1%E8%A6%96%E3%81%AF%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%88%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%8B%E7%9F%AF%E6%AD%A3%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84/

一方、ハードコンタクトレンズは硬い素材で作られているため、角膜の形に沿って変形することなく、レンズと角膜の間に涙が溜まります 。この涙が光学的なレンズの役割を果たし、角膜表面の凹凸を平滑化することで、不規則な屈折を補正します 。

参考)https://machida-eyehp.com/2024/01/20/can-astigmatism-be-cured-correction-and-treatment-methods-for-astigmatism/

このメカニズムにより、眼鏡では矯正不可能な不正乱視でも、ハードコンタクトレンズなら良好な視力回復が期待できるのです 。

参考)https://www.plaza-eye-contact.co.jp/special/unauthorized_astigmatism/

不正乱視の原因疾患と角膜移植後の治療選択

不正乱視の主な原因疾患として、円錐角膜、角膜移植後、角膜外傷後、角膜炎後などがあります 。円錐角膜では角膜の一部が薄くなって前方に円錐状に突出し、進行すると徐々に近視・乱視が強くなって視力が低下します 。

参考)https://www.shinjuku-city-ganka.jp/guide/special/lenses/

軽度の円錐角膜では眼鏡やソフトコンタクトレンズで対応可能ですが、進行してくると円錐角膜用ハードコンタクトレンズが必要になります 。さらに重症化するとハードコンタクトレンズも装用困難となり、角膜移植が必要になる場合もあります。

参考)https://www.ocular.net/treatment/keratoconus.html

角膜移植後の患者では、角膜形状の異常に伴う角膜不正乱視が問題となり、視力補正のためにハードコンタクトレンズの再処方が必要になることが多くあります 。移植後の角膜では、通常のレンズフィッティングでは涙液交換が不十分になりやすく、特殊な処方技術が求められます。

参考)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1410102816

不正乱視治療における強膜レンズの革新的アプローチ

従来のハードコンタクトレンズで装用困難な重度不正乱視患者に対して、強膜レンズ(スクレラルレンズ)という革新的な治療選択肢が登場しています 。強膜レンズは通常のハードコンタクトレンズよりも直径が大きく、角膜に接触することなく強膜(白目)の上に装用します。

参考)https://kozawa-ganka.or.jp/scleral-lens/

この構造により、ドライアイ症状が強い方、不正乱視が重度の方、痛みに敏感な方でも快適な装用感とともに不正乱視の矯正が可能になりました 。また、レンズと角膜の間に涙が溜まることで、角膜上皮障害の改善、眼表面の保護、炎症の軽減など様々な治療効果も期待されています。
強膜レンズは日本では未承認のため自費診療となりますが、従来の治療法で効果が得られない患者にとって画期的な選択肢として注目されています 。

不正乱視患者のコンタクトレンズ選択と専門的処方の重要性

不正乱視の治療では、患者個人の角膜形状と症状の程度に応じた適切なレンズ選択が極めて重要です 。軽度では眼鏡やソフトコンタクトレンズ、中等度では通常のハードコンタクトレンズで対応できますが、重度以上の不正乱視では非球面ハードコンタクトなどの特殊なレンズが必要になります。

参考)http://www.tdc-eye.com/senmon/senmon05.html

ハードコンタクトレンズで不快感を感じる方には、ピギーバック法(ソフトレンズの上にハードレンズを装用する方法)を試みることもあります 。また、円錐角膜や角膜移植後など難症例では、豊富な経験を持つ専門施設での処方が不可欠です。
不正乱視の基本的な症状や矯正方法についてはアキュビュー公式サイトで詳しく解説されています
コンタクトレンズは高度管理医療器具であり、間違った使用方法では重篤な眼障害を引き起こす可能性があるため、必ず眼科医による処方と定期検査を受けることが重要です 。特に不正乱視患者では、角膜形状の特殊性から一般的な処方とは異なるアプローチが必要となるため、専門的な知識と経験を持つ医師による診療が推奨されます。