光線過敏症を引き起こす湿布の一覧と対策

光線過敏症湿布一覧

光線過敏症を起こしやすい湿布薬一覧
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ケトプロフェン製剤

最も注意すべき成分で、モーラステープやミルタックスが代表的

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ジクロフェナク製剤

ボルタレンテープ・ゲルなどで光線過敏症の報告あり

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その他のNSAID外用剤

インドメタシン、フルルビプロフェン、フェルビナクでも発症可能性

光線過敏症の高リスク湿布製剤

光線過敏症を引き起こす湿布薬の中で最も注意すべきはケトプロフェン製剤です 。代表的な製品として、モーラステープ、ミルタックス、セクターテープ、ケトプロフェンテープなどがあります 。

参考)湿布と光線過敏症、その対策と注意点について

ケトプロフェン外用剤による光線過敏症は1986年の販売以降2010年5月までに2,028例報告されており、うち重篤症例が47例に上ります 。化学構造中のベンゾフェノン骨格が光線過敏症の原因となることが知られています 。

参考)https://higashinagoya.hosp.go.jp/files/000162632.pdf

日本のレセプトデータ調査によると、処方から2か月以内に光線過敏症と診断された患者の割合は、ケトプロフェン外用剤で0.05%、フルルビプロフェン外用剤で0.03%、インドメタシン外用剤で0.05%、フェルビナク外用剤で0.02%となっています 。

光線過敏症発症機序と症状の特徴

湿布薬による光線過敏症は光接触皮膚炎に分類され、光アレルギー性の反応です 。湿布の有効成分が皮膚から吸収されて皮膚内に残存し、紫外線照射により光化学反応を起こしてアレルギー原因物質に変化します 。

参考)湿布剤による光線過敏症  市販薬にも注意!

典型的な症状として、貼付部位に一致した長方形の紅斑、浮腫、水疱が出現します 。強い瘙痒感を伴うことが多く、重症例では全身に拡散することもあります 。

参考)湿布薬による光接触皮膚炎にご注意!

症状の発現時期は貼付中から剥離後1週間以内が多いですが、3~4週間後に発症する症例も報告されています 。月別発症頻度では5~8月の紫外線が強い時期に集中しています 。

光線過敏症対策と予防法

光線過敏症の予防には適切な遮光対策が重要です 。貼付部位は長袖、長ズボン、サポーターで覆い、紫外線に直接当たらないようにします 。
遮光効果は濃い色>薄い色、厚い布>薄い布、ポリエステル・羊毛>綿・レーヨン・ナイロンの順で高くなります 。ポロシャツのような鹿の子生地は遮光効果が高いとされています 。
剥離後も4週間は要注意期間であり、皮膚に残存する薬剤による遅発性の発症を防ぐため継続的な遮光が必要です 。UV-A防御効果の高いPA値が高い日焼け止め(PA++++)の使用も推奨されます 。

光線過敏症の治療と管理

光線過敏症が発症した場合、直ちに原因薬剤を中止し、厳重な遮光を行います 。基本治療はステロイド外用薬で、フルメタ、トプシム、プロパデルムなどのstrong~very strongクラスを使用し、顔や頸部にはロコイドなどのmildクラスを適用します 。

参考)公益社団法人 福岡県薬剤師会 |質疑応答

瘙痒が強い場合は抗ヒスタミン薬の内服、重症例ではステロイド薬の内服や点滴静注を行います 。通常約2週間で症状は改善しますが、症状消失後も数ヶ月間の遮光が必要です 。
早期発見・治療により経過は概ね良好ですが、光線過敏症と気づかずに紫外線暴露を継続すると重症化するリスクがあります 。色素沈着や色素脱失が残存する場合もあるため、迅速な対応が重要です 。

光線過敏症予防のための患者指導ポイント

医療従事者による適切な患者指導が光線過敏症予防の鍵となります 。ケトプロフェン外用剤使用中の患者への調査では、光線過敏症発現の可能性を知っているのは51%に留まっており、啓発が不十分です 。
他人への譲渡防止も重要な指導項目です 。モーラステープによる光接触皮膚炎のうち8.9%が他者からの譲渡によるもので、患者の27%が他人に譲渡経験があります 。
製薬会社の安全性情報も活用し、紫外線対策を知らない患者約50%、指示部位以外への貼付患者約40%という実態を踏まえた具体的指導が必要です 。湿布薬の包装に記載された注意事項を提示しながら説明することで理解促進が期待されます 。