24ツムラの基礎知識と核心ガイド
24ツムラとは何か:製剤名・識別番号・基本情報
「24ツムラ」あるいは「ツムラ24」は、株式会社ツムラが製造販売する「ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)」を指す臨床現場での通称です。分包や薬袋などに記載される「ツムラ/24」という識別番号から、患者、医師、薬剤師、看護師が製剤を迅速に照合する際に用いられます。一般名は加味逍遙散で、薬効分類は漢方製剤です。YJコードは5200017D1083であり、医療用製剤として長く使用されてきた代表的な漢方方剤の一つです。
名称にある「加味逍遙散」は、逍遙散に牡丹皮および山梔子を加えた処方です。ツムラ製剤では、当帰、芍薬、白朮、茯苓、柴胡、牡丹皮、山梔子、甘草、生姜、薄荷などの生薬から得た乾燥エキスを用います。漢方薬では病名だけを起点に一律に選択するのではなく、患者の体質、随伴症状、病態の偏りを含めた「証」を踏まえることが重要です。そのため、「更年期症状があるから24番」と短絡的に扱うのではなく、添付文書上の患者像と実際の症状経過を照合する必要があります。
ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)は、1日製剤量7.5g中に4.0gの乾燥エキスを含有する顆粒剤です。添加物として乳糖水和物およびステアリン酸マグネシウムが用いられています。乳糖を含むことは、乳糖不耐症などで服用後の消化器症状を評価する際にも確認しておきたい情報です。なお、同じ「加味逍遙散」でもメーカーにより1日量、生薬配合量、エキス量、剤形、添付文書上の効能表現が異なり得るため、他社製品への変更時には「24」という番号だけで同一性を判断しないことが必要です。
参考)www.nikkankyo.org/…/017.pdf
効能・効果と用法・用量:病名より患者像を確認する
24ツムラの効能・効果は、「体質虚弱な婦人で、肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある」患者にみられる冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症です。ここで重要なのは、単に婦人科領域の疾患名が列挙されているだけではなく、患者像として体質虚弱、肩こり、易疲労感、精神神経症状、便秘傾向という複数の情報が明示されている点です。
「血の道症」は、月経、妊娠、出産、更年期など女性ホルモン環境の変動に関連して出現・増悪する精神身体症状を含む概念として扱われます。ただし、動悸、胸痛、息切れ、著明な体重変化、持続する抑うつ、不正出血、強い腹痛などがあるとき、加味逍遙散の適否を検討する前に、緊急性や器質的疾患、内分泌疾患、精神疾患を含めた鑑別評価が必要です。漢方処方は、必要な検査、標準治療、専門科紹介に代わるものではありません。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 販売名 | ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用) | 識別番号はツムラ/24 |
| 一般名 | 加味逍遙散 | 漢方製剤に分類される |
| 効能・効果 | 冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症 | 体質虚弱、肩こり、易疲労、精神神経症状、ときに便秘傾向を伴う患者像 |
| 通常成人用量 | 1日7.5gを2~3回に分割 | 食前または食間に経口投与。年齢、体重、症状により適宜増減 |
| 剤形・エキス量 | 顆粒剤、1日製剤量7.5g中の乾燥エキス4.0g | 他社の加味逍遙散とは規格が異なる場合がある |
用法・用量は通常、成人に1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。医療機関や薬局では、2.5g分包を1日3回とする処方が多い一方、服薬アドヒアランス、食事時刻、胃腸症状、患者の生活背景を確認することが大切です。食間は「食事と食事の間」であり、一般には食後およそ2時間が目安です。患者が「食間」を食事中と理解していることもあるため、服薬指導では具体的な時間帯まで共有すると誤解を減らせます。
処方監査で見る安全性:甘草・山梔子に関する注意
24ツムラには甘草が含まれています。甘草に由来する重要な副作用として、偽アルドステロン症およびそれに伴う低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液貯留、浮腫、体重増加が挙げられます。低カリウム血症を背景としてミオパシーが現れることもあり、脱力感、四肢のけいれん、筋肉痛、麻痺などは見逃せない症状です。血圧、浮腫、体重、血清カリウム値を、投与期間や患者背景に応じて評価します。
参考)medical.tsumura.co.jp/…/024-info130801.pdf
特に処方監査では、他の甘草含有漢方製剤、グリチルリチン酸またはその塩類を含む製剤との重複を確認します。複数の漢方薬を併用している場合、患者自身が市販薬、健康食品、他院処方を「漢方だから問題ない」と認識して申告しない可能性があります。お薬手帳だけでなく、服用中の市販薬、のど薬、胃腸薬、サプリメントの有無を具体的に質問することが実務上有用です。添付文書では、甘草含有製剤およびグリチルリチン酸・その塩類含有製剤との併用に注意し、偽アルドステロン症と低カリウム血症に伴うミオパシーのリスクに留意するよう示されています。
また、加味逍遙散に含まれる山梔子との関連で、長期投与時の腸間膜静脈硬化症にも注意が必要です。腹痛、下痢、便秘、腹部膨満が繰り返される場合、または便潜血陽性の場合には投与中止を検討し、CTや大腸内視鏡などの精査につなげます。腸間膜静脈硬化症では腸管切除に至った報告もあるため、「便秘がある患者に用いることがある」という効能上の文脈と、投与中に新規または反復する腹部症状を安全性シグナルとして捉える視点は分けて考える必要があります。
- 浮腫、急な体重増加、血圧上昇、筋力低下がないかを確認する
- 甘草含有漢方薬、グリチルリチン酸含有製剤、市販薬を含めた重複を確認する
- 長期服用例では反復する腹痛、下痢、便秘、腹部膨満、便潜血陽性に注意する
- 発疹、発赤、そう痒などの過敏症状や、食欲不振、悪心、下痢などの消化器症状を確認する
- AST、ALT、Al-P、γ-GTP上昇を伴う肝機能障害や黄疸を疑う所見では中止と評価を行う
投与前・投与中の確認:慎重投与と服薬指導の実務
著しく胃腸が虚弱な患者では、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などが現れる可能性があるため慎重に投与します。また、投与開始時点で食欲不振、悪心、嘔吐がある患者では、これらの症状が悪化するおそれがあります。更年期障害や月経関連症状を訴える患者では、もともとの不調として悪心や食欲低下が語られることもあるため、投与前の症状を明確に記録し、開始後の変化を追跡できるようにします。
添付文書では、本剤の使用に際し患者の証、すなわち体質・症状を考慮し、経過を十分に観察することが求められています。症状や所見の改善が認められない場合には継続投与を避けることが重要です。これは「漢方薬はゆっくり効くため、変化がなくても長期間続ける」という運用を否定する安全上のポイントです。処方意図に応じて評価項目と評価時期を設定し、目的症状の頻度、重症度、生活支障、併用薬の変化、有害事象を確認しましょう。
妊婦または妊娠している可能性がある女性には、本剤に含まれる牡丹皮により流早産の危険性があるため、投与しないことが望ましいとされています。月経不順や更年期障害を対象とする処方であるため、妊娠可能性の確認は形骸化させないことが大切です。妊娠を希望している患者、不妊治療中の患者、月経遅延がある患者では、自己判断での継続や市販加味逍遙散の追加使用を避けるよう説明します。小児等に対する安全性は確立しておらず、使用経験が少ない点も留意します。
服薬指導では、顆粒の味やにおいによる飲みにくさに配慮しつつ、自己流の服用変更を避けるよう伝えます。服用できないほどの悪心、嘔吐、下痢などがある場合は無理に継続せず、処方医または薬剤師へ相談するよう案内します。服薬状況を確認する際には、「飲めていますか」という抽象的な質問だけでなく、「朝・昼・夕のどの回が残りやすいか」「食前・食間の指示をどう理解しているか」と具体化すると、実際の服用状況を把握しやすくなります。
医療従事者が押さえる24ツムラの継続評価
24ツムラの継続可否は、効能に記載された疾患名だけで決めず、処方時に期待した症状が改善しているか、安全性上の懸念が生じていないか、患者像がなお加味逍遙散に合致しているかを統合して判断します。例えば、更年期のほてりといらだちを主訴に開始した患者で、睡眠、気分、肩こり、疲労感、便通、血圧、浮腫、体重の変化を定期的に確認すれば、有効性と甘草関連有害事象の両面を評価しやすくなります。
他の加味逍遙散製剤との比較や後発・代替製剤への変更時にも注意が必要です。製品ごとにエキス量、配合生薬量、添加物、分包規格、用法表記が異なります。ツムラ24から他社の加味逍遙散へ変更した場合、単に「同じ加味逍遙散」と説明するのではなく、処方内容、服用単位、1日回数、含有成分、重複投与の有無を再確認してください。日本漢方生薬製剤協会の資料では、ツムラ24は1日7.5g、乾燥エキス4.0gの顆粒剤として整理されています。
患者から「24番は更年期専用の薬ですか」「漢方なので副作用はありませんか」と尋ねられた場合は、いずれも単純に肯定しない説明が必要です。24ツムラは添付文書に定められた患者像に対して用いる医療用漢方製剤であり、更年期障害以外にも月経不順、月経困難、冷え症などが適応に含まれます。一方で、甘草に関連する偽アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパシーや、肝機能障害、長期投与時の腸間膜静脈硬化症など、見逃してはならない副作用があります。
したがって、24ツムラを安全に活用する鍵は、「漢方薬であること」を理由に監視を緩めないことです。処方前には証、随伴症状、妊娠可能性、胃腸症状、併用薬を確認し、投与中は目標症状の変化と有害事象を評価します。改善が乏しい場合や警戒症状がある場合には、漫然継続を避け、原因疾患の再評価、検査、専門科との連携、治療方針の見直しを行うことが、医療用漢方製剤の適正使用につながります。