セチリジンの副作用と安全な使用法

セチリジンの副作用

セチリジンの主な副作用
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中枢神経系副作用

眠気が最も頻発(成人の約6%)。倦怠感、頭痛、めまいも報告

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重篤な副作用

アナフィラキシー、痙攣、肝機能障害、血小板減少などの重篤な症例

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消化器症状

口渇、嘔気、食欲不振などが報告。特に高齢者で注意が必要


セチリジンは第二世代抗ヒスタミン薬として広く使用されているが、複数の副作用が報告されている。臨床試験における副作用発現頻度は15.9%(21/132例)であり、主要な副作用として眠気が10.6%(14/132例)で最も頻発している。本薬剤の副作用プロファイルを理解することは、安全で効果的な薬物療法を実施する上で極めて重要である。

参考)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/clt2.12392

セチリジンの中枢神経系副作用

セチリジンによる中枢神経系の副作用で最も注意すべきは眠気であり、成人患者の約6%に認められている。この眠気の発現機序は、H1受容体の中枢移行による影響であるが、第二世代抗ヒスタミン薬であるセチリジンは第一世代と比較して中枢神経系への影響は軽減されているとされる。しかし、患者の個体差により眠気の程度は大きく異なり、日常生活への影響を考慮した投与が必要である。

その他の中枢神経系副作用として、倦怠感、頭痛、頭重感、ふらふら感、しびれ感、めまい、浮遊感などが報告されている。さらに、不眠、振戦、抑うつ、激越、攻撃性、無力症、錯感覚、幻覚、不随意運動、意識消失、健忘、自殺念慮、悪夢といった精神神経系の副作用も頻度不明ながら報告されており、特に高齢者や基礎疾患を有する患者では注意深い観察が求められる。

参考)セチリジン塩酸塩錠10「オーハラ」の効能・副作用|ケアネット…

セチリジンの重篤な副作用の発現機序

セチリジンでは頻度不明ながら重篤な副作用が報告されており、医療従事者による十分な観察が必要である。最も重篤な副作用として、ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血圧低下、蕁麻疹、発赤等)があげられる。この発現機序は主にIgEが関与する免疫学的機序であり、マスト細胞の直接活性化によってもアナフィラキシー反応が惹起される可能性がある。

痙攣も重要な副作用の一つで、H1受容体の遮断により痙攣の抑制系が阻害されることで、痙攣閾値が低下することが機序として考えられている。特にてんかん既往歴のある患者では痙攣誘発リスクが高まるため、慎重な投与判断が求められる。

参考)第56回 抗ヒスタミン薬の痙攣はなぜ起こるの?

肝機能障害についても注意が必要で、AST、ALT、γ-GTP、LDH、Al-Pの上昇等の肝機能障害(初期症状:全身倦怠感、食欲不振、発熱、嘔気等)、黄疸が現れることがある。肝機能障害患者では、セチリジンの血清中濃度消失半減期の延長、Cmaxの上昇、AUCの増大が認められており、薬物動態の変化に注意を要する。

参考)医療用医薬品 : セチリジン塩酸塩 (セチリジン塩酸塩錠5m…

セチリジンの消化器・その他の副作用

セチリジンの消化器系副作用では、口渇が最も頻繁に報告されている。その他、嘔気、食欲不振、胃不快感、下痢、消化不良、腹痛、腹部不快感、胃痛、口唇炎、便秘、口唇乾燥感、嘔吐、味覚異常、口内炎、腹部膨満感、食欲亢進などが頻度不明で報告されている。

血液系の副作用として血小板減少が報告されており、定期的な血液検査による監視が推奨される。また、皮膚系の副作用や循環器系の副作用についても添付文書に記載があり、患者の状態を総合的に評価した投与が重要である。

セチリジンの妊娠・授乳期における安全性評価

妊娠期における抗ヒスタミン薬の使用は、胎盤通過性を考慮する必要がある。セチリジンは比較的安全性の高い第二世代抗ヒスタミン薬として位置づけられており、妊娠中の使用症例の蓄積も多い。薬物の胎盤通過には分子量、脂溶性、pKa、タンパク結合率、濃度勾配、トランスポーター、胎盤の状態などが影響する。

セチリジンの添付文書には「妊娠中においても内服した方が有益と考えられるときにのみ使用すること」と記載されているが、妊娠期における比較的使いやすい薬剤の一つとされている。授乳期については、母乳への移行に関するデータが限られており、授乳中の使用については慎重な判断が求められる。

参考)皮膚科 妊娠・授乳期における抗ヒスタミン薬について – 銀座…

セチリジン長期投与時のリバウンド現象と対策

セチリジンの長期投与に関して、効果が認められない場合には漫然と長期にわたり投与しないよう注意が必要である。季節性アレルギー性鼻炎患者では、好発季節を考慮した投与開始時期の検討が重要とされる。

抗ヒスタミン薬の突然の中止によるリバウンド現象については、セチリジン特有の詳細な報告は限られているが、他の抗ヒスタミン薬と同様に、段階的な減量を検討することが望ましい。特に長期使用患者では、急激な中止よりも緩徐な減量により、症状の悪化を最小限に抑えることが可能と考えられる。

参考)https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyt.2021.657397/pdf

医療従事者は、セチリジンの薬理学的特性を理解し、患者の状態に応じた適切な投与計画を立案することで、副作用リスクを最小化しつつ治療効果を最大化することが求められる。定期的な患者フォローアップと副作用モニタリングの実施により、安全で効果的な薬物療法を提供することが可能となる。