グルコン酸の医療効果
グルコン酸カリウムの低カリウム血症治療効果
グルコン酸カリウムは、低カリウム状態時のカリウム補給において89.7%の高い有効率を示します 。この薬剤の主要な効果は、陰イオン部分がほとんど薬理作用を示さないカリウム塩として電解質平衡（酸-塩基平衡に伴う）の調節等の作用を発揮することです 。カリウムイオンは、ほとんどの体組織でその細胞内にある不可欠の陽イオンであり、細胞の緊張の維持、神経インパルスの伝導、心臓の収縮、骨格筋と平滑筋の収縮に関与します 。
参考）医療用医薬品 : グルコンサンK (グルコンサンK錠5mEq…
投与方法は、通常1回カリウム10mEq相当量を1日3～4回経口投与し、症状により適宜増減します 。副作用発現率は約3.6%と低く、主な副作用として下痢、悪心・嘔気、食欲不振などが報告されています 。
参考）グルコンサンＫ細粒４ｍＥｑ／ｇの効能・副作用｜ケアネット医療…
グルコン酸亜鉛の吸収促進と生理学的効果
グルコン酸亜鉛は、消化管内における食物成分と亜鉛との結合が抑制されるため、吸収率は約60%程度となり、各亜鉛化合物と比べて高値を示します 。亜鉛は、亜鉛含有酵素（DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、アルコール脱水素酵素等）等の構造成分として、種々の生理機能に重要な役割を果たしています 。
参考）グルコン酸亜鉛の秘密｜サプリメントのヘルシーパスブログ
消化器系への刺激が少なく、胃に優しいため、空腹時でも摂取しやすいという特徴があります 。一般的にグルコン酸亜鉛の亜鉛量は12.8～13.0%と言われ、天然原料として知られる亜鉛含有酵母の亜鉛の量（約10%程度）よりも濃度が高いものです 。
参考）亜鉛不足のサイン・セルフチェック・原因と対策 – 東京原宿ク…
グルコン酸クロルヘキシジンの手指消毒効果
グルコン酸クロルヘキシジンは広範囲の微生物に作用し、グラム陽性菌には低濃度でも迅速な殺菌作用を示します 。0.5w/v%グルコン酸クロルヘキシジン含有エタノール製剤の手指消毒効果について、複数の研究で高い効果が実証されています 。
参考）302 Found
特に医療現場では、手指消毒効果と経済効果の両面で評価されており、0.5w/v%グルコン酸クロルヘキシジンエタノールローションと4w/v%グルコン酸クロルヘキシジンスクラブの比較研究も行われています 。これらの研究により、医療従事者の手指衛生管理における重要な選択肢として位置づけられています。
グルコン酸のキレート作用によるミネラル吸収促進
グルコン酸は強力なキレート剤であり、特にアルカリ性の溶液中でよく作用します 。カルシウム、鉄、アルミニウム、銅やその他の重金属イオンにキレート配位することで、ミネラルの吸収を促進します 。このキレート化合物として結合させる作用により、ミネラルを吸収させやすくすることができます 。
グルコン酸は胃及び小腸中における、ミネラルの吸収を促進することを目的として使用されます 。胃及び小腸においてはミネラル吸収促進性を持つ一方で、大腸においては、細菌の嫌気性代謝により酪酸となり、大腸内の環境を弱酸性にする効果もあります 。
グルコン酸のプレバイオティクス効果とビフィズス菌増殖促進
グルコン酸は「ハチミツ酸」とも呼ばれ、ハチミツに含まれる有機酸の約68%を占めています 。1日当たり2gのグルコン酸を摂取し続けるとヒトの腸内でビフィズス菌が有意に増殖することが明らかになっています 。グルコン酸だけでなく、グルコノデルタラクトン、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウムにもビフィズス菌の増殖効果が認められています 。
参考）https://fusokk.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/file01-1-1.pdf
グルコン酸の摂取により排便回数の増加が認められ、腸内環境の健全化に役立つことや大腸炎の発生予防効果のあることも明らかになっています 。腸内細菌によるグルコン酸の資化性についても研究が進んでおり、プレバイオティクスとしての機能が注目されています 。