ベンザリンの効果
ベンザリンの薬理作用機序
ベンザリン(一般名:ニトラゼパム)は、脳内のベンゾジアゼピン受容体を介してGABA(γ-アミノ酪酸)の働きを促進させることで効果を発揮します。この薬理作用により神経活動を抑制し、不安や緊張を和らげ、睡眠を促進します。
具体的には、中枢の抑制性神経であるGABAニューロンに作用して、大脳辺縁系や視床下部の神経の過剰活動を調整することで、抗不安作用、鎮静・催眠作用、抗けいれん作用を示します。この作用機序により、不眠の原因となる外来刺激が視床下部や脳幹網様体を中心とする賦活系に流入することを阻害します。
参考)https://www.amel-di.com/medical/di/download?type=8amp;pid=1363amp;id=0
ベンザリンの薬理効果は、鎮静催眠作用においてクロルプロチキセン睡眠増強作用の10.2倍、抗ペンテトラゾール痙攣作用では5.8倍の効力比を示しています。この強力な作用により、他のベンゾジアゼピン系薬物と比較して優れた催眠効果を発揮します。
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ベンザリンの作用時間と効果持続性
ベンザリンは中時間型の睡眠薬に分類され、作用時間は6~8時間と比較的長く設定されています。血中半減期は約27時間であり、服用後約1.6時間で最高血中濃度に達します。
この作用時間の特徴により、ベンザリンは入眠困難だけでなく中途覚醒型の不眠症にも効果的です。夜中に目を覚ましてしまう患者に対して、一晩を通じて安定した睡眠を提供することが可能です。
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臨床試験における有効性データでは、入眠時間の改善において76.5%、睡眠時間の延長において85.0%の有効率を示しており、高い治療効果が確認されています。麻酔前投薬としても88.0%の有効率を記録し、多様な適応症に対する効果が実証されています。
ベンザリンの適応疾患と効果範囲
ベンザリンの効能・効果は、不眠症を主として、麻酔前投薬、異型小発作群(点頭てんかん、ミオクロヌス発作、失立発作等)、焦点性発作(焦点性けいれん発作、精神運動発作、自律神経発作等)となっています。
てんかん治療においては、異型小発作群で55.8%、焦点性発作で56.7%の有効率を示しており、抗けいれん作用が比較的強いことが特徴です。この多面的な効果により、睡眠障害とてんかんの両方に対して保険適応を得ています。
不眠症治療における用法・用量は、通常成人で1回5~10mgを就寝前に経口投与します。年齢や症状により適宜増減が可能であり、個々の患者の状態に応じた細やかな調整が求められます。
ベンザリンの副作用と安全性
ベンザリンの主要な副作用として、眠気・残眠感、頭痛・頭重感、めまい、ふらつき、歩行失調などの中枢神経系症状があります。承認時の安全性評価では553例中41件の副作用が報告され、主なものは倦怠感33件、頭痛・頭重感6件でした。
参考)心理相談室アルファフォーラム – ベンザリンの副作用 (二ト…
再評価結果では3,294例中664件の副作用が確認され、ふらふら感168件、倦怠感120